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何か、光るのが見えたから……
鬼火かな、なんて。思って。
[普段の物言いを心掛けても、それには程遠い。
笑みも、上手くは浮かべられなかった。]
機会……?
……、斬るとか、どうとか。
物騒ですね。
……ユーディットさんは、元気そうですね。
生き生きとして、見えます。
[今となっては、ユーディットの言う「斬る」は、到底、単なる冗談とは思えない。そして、その感覚に相違はないだろう。]
うん、ボク元気だよぉ。
すっごく機嫌もいいんだ、ボクもご主人様も。
分けてあげたいくらいだよ、あははははは。
[満面の笑みでブリジットを見る。
視界の端、ティルの姿は見落とさないように気をつけつつ]
…いや、何でもない。
僕は僕の思うように動きたい、という話。
[余計なことを言った。後悔が過ぎる。
だからそれでその話題は切り上げるように]
確かに物騒だ。
けれどそれが僕らの生活には馴染んでもいたから。
[薄い笑みを浮かべたままブリジットに軽く首を傾げてみせ]
勝負というとついそちらが浮かんでしまう。
悪い癖かもね?
……、
そんなに、楽しいことですか?
今の、状況。
[ユーディットの笑顔とは対照的に、
ブリジットの表情は暗い。]
ティルは、そうなんだ。
わたしの生活には、馴染んでない、よ。
……………。
[そうは言いながらも、勝負と言われて思い浮かんだのは、彼女も――
そして、ここに「招待された」という事実が示すことは、一つで。]
掛かっているものが大きいから、かな?
[ユーディットの言葉に左手の力を抜く。
いつでも力を入れられるように]
馴染んでない、か。
それでもここにいる人なんだよね…。
[窺うようにチラリとブリジットに視線を走らせた]
ブリジットさんは、楽しくない?
そっかぁ、残念だねぇ。
ボクは楽しいんだよぉ。
予感に、ワクワクするっ♪
でもねぇ、ブリジットさんもそぉだけど、004ちゃんとか、イレーネさんとか、ナターリエさんとかも…なんだろ、ちょっとなんだか違うよねぇ。
まぁ、ボクは全然それでも構わないんだけどねぇ。
[ほんわかした雰囲気の広間を思い出して、にこにこ笑みながら言う。
黒い銃を持った手はそっと前に持ってきて、いつでも何かあったときに動かせるよう、両足の幅は肩幅くらいに開かれる。]
――……わたしは、馴染みたくないもの。
ただ、平穏に、 いきていたい。
[それは、贅沢な願いなのだろう。]
わたしの言葉は、そのためにあるものじゃ、ない。
[ユーディットの構えにも隙はない。
動けぬがゆえに苛立ちは募り]
言葉…?
[でもそれをギリギリのところで抑えて。
ブリジットの方をちらりと見た]
あはははは。
やらなきゃやられる。
そういう世界は…シンプルでいいよぉ?
[ティルの言葉と行動を見ながら、トントン、と2,3歩下がりつつブリジットに笑いかける。]
ボク、寒くなってきたからもう戻るよぉ。
まったね〜♪
[底抜けに明るい声を出しながら、屋敷の方へと軽く*走り出した*]
…そう。
[後ずさるブリジットは視界の端に捉えたまま]
シンプル、ね。
そこは同意しておく。
[去ってゆくユーディットに息を吐いた。
相手を知っているだけに緊張を解けなかった。ともすれば暴走しそうな力を抑えるのと同時ではそれなりに消耗もするわけで]
…巻き込んでごめんね。
僕はまだ戻らない。
それじゃ。
[それだけ言うと廃墟群の更に奥へと姿を*消した*]
シンプル、だけれど……。
[嫌だよ。
否定を紡ぐ前に、ユーディットは去ってしまった。
ついで、ティルが立ち去るのにも、何を言うのでもなくて。]
わかってる、
わかってるよ。
そうしなくちゃ、いきられないんだって。
[独り呟く言葉は、自身に言い聞かせるよう。]
[駆け出して行ったイレーネを見送った後、またふらり、外へ。
宛もなく、廃墟群の中を歩いていく]
未来……か。未来、ね。
[呟く口元を掠める笑みを見る者は。
今は、なくて]
はー……ガラじゃねぇってのに。
[呟く声は、呆れ声]
だいったい、これから騒動起きるってのに。
沈んでどーする、俺。
[早口に呟き、目に付いた廃ビルへと足を踏み入れる。
廃墟や廃ビルと言った空間での戦いは、得意とするものの一つ。
得物の──意思を取り込んで変質する糸の特異性を存分に生かすのであれば、戦場とできそうな場所の目星はつけておくべき、と思ったのだが]
……ここは、ちぃと使えそうにない、な。
[呟きながら、内部を見回す。
かつてはバーか何かがあったのか、辛うじてそれとわかるカウンターなどの設備や、装飾の残滓が見え隠れする、空間]
仕方ね、他……っと。
[他当たるか、と。
呟いた矢先、蒼の瞳が黒光りするものを捉えた]
……へぇ。珍し。
[それが何か、を見定めた時、口をついたのはこんな呟き。
足は、引かれるようにそちらへと]
ピアノ、か……こんなとこに良くもまあ、こんなん残ってたなぁ……。
[この辺りが五十年前の『変異』による破砕区域か、その後の組織間抗争による破壊区域かは知らぬものの。
いずれにしろ、そんな空間に、こんな物が残っているのは珍しい事で]
……鳴ったら、ちょっとしたお宝だな。
[冗談めかした呟きと共に蓋を開けて、煤けた鍵盤に指を一つ、落とす。
予想外に返る、澄んだ音]
……おっと。
[思わぬ反応が嬉しくなり。つい、本来の目的も忘れて音を紡ぐ。
連なる音は旋律へと変化して、廃墟へと零れる]
[頭で理解していたとて、
心で割り切れなくては仕方がない。
だけれど、否、だから、酷く不安定だった。]
体調、崩したら、拙いよね。
――じゃないんだから。
[小さく、声を落とした。]
[広場から、崩れたビルの並ぶ廃墟へと戻っていく。
手にした端末の飾りは指に絡めとられて、音は鳴らない。
代わりのように薄く唇を開きかけて、
微かな音色を聴いた。
光の次は、音。
先程よりは、警戒のいろが浮かぶ。
けれどやはり気になるらしく、足は止まった。]
[音を聴く者がいる、という可能性には意識は回らないようで。
こちらも今はいない、姉に教わった旋律を、ゆっくりと紡いでいく。
静かな曲が多いのは、無自覚の苛立ちを鎮めたい思いの現われかどうかは、定かではないが]
っと……。
[それでも、感覚はやがて、人の気配を捉え]
……誰か、いる?
[手を止めて、音の代わりにに問いを外へと]
[音色を拾い集めるうちに、細められる緑の瞳。
其処に危険は感じられず、訪れるのは、むしろ安堵。それと、ほんの少しの寂しさ。 誘われるようにゆっくりと、歩み出した。
わざわざ「招待者」が用意したか、それとも過去の名残りか。
とうに機能を失った店の残骸を慎重に避けて歩み、]
え? ――きゃ、
[……投げられた問いに意識が逸れて、避け損ねた。
近くの棚の上に残っていた装飾品が、派手な音を立てて落ちる。]
あぁぁ。
[何処かの執事の事は言えない。
と思ったのはともかくとして。]
[短い声と、物の落ちる派手な音。
身構えたのは一瞬──しかし、それはすぐに、とけて]
……なに、してんだか……大丈夫かー?
[そこにいるのが誰か、何が音を立てたのかを大体把握すると、ため息混じりに問いかける]
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