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[母親が慌てた様子で階下へと降りて行く。
オレも立ち上がってその後を追った]
……固まられるよりは良い、が。
見失うのも面倒だな。
[呟きは極小さく。
焦燥にかられている母親には届かないだろう。
階下の母親に追いつくと、玄関に並ぶ靴を見る。
幼馴染のものも無くなっていた]
……一人で出歩くなとは言ったけど、外に出るなとは言わなかったもんな。
また探さねぇと。
[オレは眉根を寄せ、焦りを装いながら靴を履く。
母親も同じように靴を履き、ついて来る。
掛けられていた鍵を外すと、碌な休憩も食事もせぬまま、オレは外へと出た。
それでも、その身体がふらつくことは*無い*]
いや、マーキングし忘れたから場所の確認だけ。
千恵はメインディッシュ、まずは前菜の瑞穂を喰う。
…ああ、そうだ。
喩えお前でも千恵に手ぇ出したら承知しねぇからな。
[伝う聲は低く、昏い]
―自宅―
[窓辺で燻らす、紫煙。
それをぼんやり眺めていると、風が鈴の音を運んできた]
……桜花、か。
[桜の色の瞳の童女。
三年前も今も、それが何であるかは知る由もない]
しかし、史さん大丈夫かね。
[『司』としての不安定さもそうだが。
泊まるような宛はあるのかとか。
そんな事まで含めて心配だった]
……とは、いうものの。
[案じて探しに行くと、今度は寝室占拠者との言葉を違える訳で。
それはそれで、後がうるさい]
……黒江嬢も、大丈夫ならいいが。
[呟きながら、窓の外。
通りの様子をぼんやり眺める。
見知った者が通りはしないか、と*注意を払いつつ*]
[伽矢から瑞穂ちゃんも外に出たらしいと聞く。
私は外に出て行く伽矢に少し待ってくれるよう頼むと、台所に戻った。
隅に置かれていたメモ用紙を掴み、伝言を記す]
『千恵ちゃん・瑞穂ちゃん
千恵ちゃんを探します。
戻ったら、ここから動かないで。
またここに戻ります。百華』
[台所に先程使った包丁とペティナイフが出しっぱなしになっていた。
私はメモに『包丁お借りします』と追記し、刃物を手にとった。
台所にあったタオルと布巾でそれぞれくるむと、メモを食卓に置く]
お待たせ。
[靴をはき外に出て、伽矢に包丁を差し出した。
私はペティナイフを握り締める]
襲われたら、使いなさい。
[私は息子の異変に気付かなかった。
異常事態なのだから、食欲がない。疲れも気にならない。
そう*思っていた*]
―街のどこか―
[外をあてもなく歩いている。
千恵のこともそうだが、神楽も探していた。]
千恵ちゃんはたぶん中央広場なのかな?
[先ほど一緒に家に向かうときも桜のことを気にしていた]
静音さんはどこだろう。
[歩きながら考えることは一つ]
伽矢くんや千恵ちゃんが…もしそうだったら…
[私は本当に浄化することができのか?浄化することは、相手のことを、
その先のことは考えることは結局できなかった。
そのときはそのときと、結論は先延ばしすることにした。
自分は憑魔を浄化すると決めたのだから覚悟はしておいた方がいいのかもしれない]
―礼斗の家付近―
[周りに人の気配はほとんど感じられない。まるでもうほとんどの人がいなくなったかのように感じられる]
千恵ちゃん無事だといいけど。
[もう少し神楽を探して見つからなければ中央広場にいってみよう。
そう思いながら歩いているとマンションの窓の所、人の姿が見える。
向こうも通りの方を眺めているため視線が合う]
あっ、こんばんは。
[挨拶をしながら、少しばかりの警戒。
向こうは自分にどんな印象を抱いただろうか。]
人探しているのですが、知りませんか?
千恵ちゃん、ウサギのリュック背負った女の子です。
後、静音さん高台にある神社の巫女さんなんですけど。
[礼斗の返答を*待つ*]
―自宅―
[外を眺めている所にかかる、声。
視線を向けたなら、目に入るのは少女の姿]
……生き残り?
って、女の子が一人で動き回るって、正気か!
[思わず呆れたような声を上げるものの。
投げかけられた問いに、一先ず気を落ち着けた]
うさぎのリュックの千恵ちゃん……って、あの時の子か……?
[小さく呟く。
思い出すのは綾野が警告を発した日、桜の傍で言葉を交わした少女]
……とりあえず、この道は通っていない。
で、静音神社の神楽の居場所なら知ってるが。
……急ぎの用件か?
[居場所を即答しないのは、多少は警戒*しての事*]
───礼斗の家───
……ふ。
[ゆっくりと目蓋を開けた。
その先に見える光景が、いつもの神社の光景でないことに多少困惑したが、周りに香る紫煙の匂いですぐに自分が何処で寝ていたのかを理解した。
時間としてはどれくらい眠っていたのかはよく把握できてはいない。だがしかし、短時間であっても、体や心に染み付いていた疲れはほぼ抜けたようだった。
司に宿っている治癒能力というのが効果を表しているのは想像に難くない出来事だ]
ん〜……。
[それでも、眠りから覚めた後のけだるい感じは消せるものではなく、神楽がもそもそと寝床から這い出て、寝ぼけ眼で辺りを見回した]
ひふみ〜ん?何処〜……ふぁ〜ぁ。
─自宅─
[吸殻となった煙草を灰皿に落としつつ、問い返しへの答えを待つ間……に、聞こえた声、に。
……緊迫している自分が、空しくなった。
かも知れない]
……本当に。
大丈夫か……。
[何となく、額を抑えたくなったのは、耐えた。
頑張って耐えた]
んー……。
[声が聞こえてきたほうへ、目をこすりながらフラフラと歩き出した]
おー、うん。大丈ふぁ〜。
[言葉の最後にあくびが重なった。警戒心のかけらもない。
そのまま、幾度か顔を揺らして少しは目を覚ますと、礼斗の近くまで歩き、窓の外を見ているのに遅まきながら気づいた]
どしたん?
誰かいるの?
ん? ……そういえば、あの女は何処に行ったんだ。
千恵を探しに行く段でも梃子として動こうとはしなかったのに。
[きょろり辺りを見渡す。]
─自宅─
……大丈夫、に見えんから。
[呟く声には呆れたような響き。
窓の下と、室内と。
視線だけを行きかわせて、一つ、息を吐く]
……尋ね人をしている子がひとり。
とりあえず、迂闊に声出さんように。
[探す側と探される側、その関わりまでは知らぬから。
警戒を解く理由はなく、神楽には小声でそれだけ返した]
─繁華街─
[母親に待って欲しいと言われ、オレは玄関を出た状態で母親が来るのを待つ。
しばらくして、母親はタオルと布巾に包まれた物を持って出てきた]
……これ。
[タオルを捲ってみると、包まれていたのは刃物。
正直邪魔だったが、受け取らないのもおかしいかと思い、オレは頷いて受け取る。
タオルが解けないように柄と共に掴み、左手に持ったまま移動を始めた]
―礼斗の家付近―
[呆れる様子と声には気づかない、まだ距離があったから。
返ってくる返答に少し考えながら]
たぶんその女の子だと思います。
通ってない、わかりました。
[神楽の事に対しての返答には]
急ぎとまではいきませんけど、無事なんですね?
[居場所は聞かずに神楽の安否だけを尋ねた]
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