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[ユリアンの他にもう一つの声。男の心に緊張が走る。雪の上の足跡は、獣に踏み荒らされ、真っすぐに後を追うのは困難だった]
[いや、そもそも、後を追うべきでは無かったのか?]
ああ、その手もありましたね。
[それには素直に驚いて。]
…違いない。
[あの仲の良い二人を思い、同じように笑って。]
別に神父さんだなんて言ってませんヨ?
ああ、一応教会の人って事で怪しさは少し上がりますけど。
そもそも元から怪しいですケド。
[これにはいい笑顔で。]
[そして、遠くから微かに何かの音を聞いた。][掠れるようなそれを、確かに。]
のあー!なんか不自然!俺不自然デスよ!!
旦那ぁーーへるぷみー!
口調が嬢ちゃんじゃねー!
[赤い意識の中でじたばたもがくように声が騒ぎ出す。]
[部屋を出た。それと同時にか。
漂う血の匂い。その元はどこか。二階を少し動き、最も匂いが濃いところをそっとあけて
中を見て]
そっか…リディがか……悪いな。俺は墓堀じゃねえんだ
[リディには親しきものもいた、勝手になにかしていいわけではないだろう。それに部屋に安置されているならば。と、軽い黙祷をした後に、部屋を後にした。
気になることがまだ一つある。リディの部屋から程ではないが微かに漂う血の匂い
中に人の気配がないことを確認すると、その部屋を開ける
主なきその部屋には、血がついた瓶の破片が散乱しておりそのまま窓まで行き、外を見て、気づく。昨日ここから降りたものの姿]
この部屋の位置は……アーベルの部屋か
こんな寒いのにひとりでほっつき歩いてたら、
そりゃ、馬鹿でしょっ!
[声の発生源へと次第に近付きかけて]
[ベシッ]
[低い位置にあった木の枝に顔をぶつけた]
言われるまでも、ねぇ。
やってやらぁ……絶対に!
[激痛に苛まれつつ、意気を上げる。
表での怒鳴りあいも、それを補助しているようで]
……切り離しすぎの反動で、一番厄介なのが動き出そうとしてる……っての?
[確かに、あれは、やばかったけど、と呟いて]
とはいえ、今の集会場で、それから完全に隔絶なんてできるわきゃない。
……大丈夫、なのかよ?
やかましい。貴様はそっちを何とかしていろ。
[銀はよりイラついたような声で明るい声を一喝したが。]
[ふと、耳を欹てる。]
…何だ、その音は。
[誘われるようにそちらへと顔を向けて。]
[弾き終えた所で弓を下ろす。
息が上がっていた。まるで自分が喋り続けていたかのように]
…どう、なるかな…
[指が痛い。身体が熱い。
それでも肩は痛くない。むしろ、そこから力を得るように]
俺がやるなら、俺は安全な場所にいますしねぇ。
教会のといっても、ほらもう、破門されてましたし。
でも怪しいとは酷い。
[くすと笑って胸元に手を置く]
[そこに昔は十字架があった]
俺は大罪人ですけどね。
そうそう…今の教会では、知る人の方が少ないんですよ。
人狼とは何なのか。
恐らくシスターも知らないでしょうねぇ。
…さて、俺は何の罪を犯したんでしょう。何だと思います?
人狼のことを知られて、教会はそれを闇に封じようとしましたけれど。
どこにでも内部分裂というものは、おきますしねぇ。
……そんなの俺の勝手っ!
[声が途切れた。
鈍い音]
……たはぁ……このドジっ……。
[口をつくのは、昔と変わらぬ悪態。
とにかくこれ以上、歩き回るのは止めさせなくては、と。
不本意ながらも、そちらへ向かい]
[目ではなく、鼻頭だったのは不幸中の幸いかもしれない、が。
痛いものは、痛い。
歪んだ視界に映りこんだ人影目がけて、
上着を脱いで左手に持ち、思い切り投げつけた]
[二人の言葉に混じる物]
[それらは疑問を確信へと変えていく]
[ブリジットがこちらを見たような気がして]
[一つ、大きく息をして]
……何のお話をしていますの?
[声を掛ける]
[戻れない一歩とわかっていたけれど]
……っとに……って!
[見慣れた姿をみつけ、そちらに近づいた矢先]
……へ?
[さすがに、上着が飛んでくるとは思わず。
ストレートに顔面直撃]
おや、シスター
[突然声をかけられても、驚いたそぶりも無い]
さて、何の話だと思いますか?
俺の方は、まぁ、聞いての通りですけれどね。
[瓶の欠片が散乱していること意外に異変はあまりない。
誰かと争ったというわけではないだろう。]
ここにいても仕方ないか
[それだけ確認すると部屋を後にする]
…さぁ。予想だけならいくらでも。
大罪人って言うくらいだから、ただの人殺しとも違うデしょ。
そうですね…そう、大がつくくらいだから。
沢山人を殺す、その手助けでもしましたか?
アナタは何に与していたのか。
[くすくすと笑うその笑みは。][この場に神父しか居なかった事で慣れきってしまったのか。][だいぶ少女のものとは様相が変わってきて。]
でもいっそ、下着泥棒とかお似合いデスよ?
[笑みは、深まる。]
あー、寒っ!
[ただでさえ寒いのに、更に、上着を失った状態。
両腕で自分の身体を抱えこむようにするも、寒さは変わらない。
それどころか、危うく傷口に触れかけた]
……どうせ、寒そうな格好してるんでしょ。
よく平気だよねえ…… 馬鹿は風邪引かない、だっけ。
こんばんは、シスター。
[少女の声で、挨拶だけならあまり差はないだろうか。]
[そうして立ち上がり。]
お話の途中で悪いですが、用事を思い出しました。
それじゃあ、また後デ。
続きはシスターとでも楽しめる話題ですし、ね。
[そう笑み。][一人広間を離れて二階へと向かう。]
[最初は勘、そして今は単純な消去法で、男はアーベルが人狼と呼ばれる者に間違いないだろうと半ば確信していた。そして、ユリアンも、男がそう考えていることを知っているはずだった]
死ぬつもりか…?いや…
[それとも、また…いや、今度こそ…?]
[言葉は途切れて白い息に変わる]
下着泥棒は遠慮しますよ。
ほら、俺は神に、一応仕えていましたからねぇ。女性の下着に手を出そうとは思いません。
――ま、そんなところですか。
俺は…俺たちは、人狼を研究していたんですよ。
残念ながら先日、壊滅させられてしまいましたけどね。
ええ、また後で。
ブリジット君。
どうせ寒そうって、なんだよ。
[確かに、上着の類は持ってはいないが。
その辺りのコントロールはできるようになっており、その辺りは気にならなかった]
……俺は、大丈夫だから、ちゃんと、着てろ。
[はあ、とため息をつきつつ。
上着を雑に肩にかけ、一歩、離れる]
[怒声にはただ、深い笑み。][嘲りと。楽しさと。そして含むのは微かな。][細い糸のような微かな。]
…そうだ。いや、そもそもドゥンケルは始めから在った。
我等はそこから分かれ生まれ。
故にドゥンケルは我等自身。
ブリジットに尤も遠く、そして尤も近いモノ。
[紡ぐ言葉はどこか謎めいていただろうか。]
…さぁ、な。
[大丈夫か、にはそう答えた。]
イレギュラーな事はすでに起こりすぎている。
これがシステムという事なら。その環の中に在る以上、我等にも、先は読めぬ。
[そう言って、意識は細い音へとも向けられる。][誘われるように。][願いと。][甘い香りに。]
[声を掛けるのに驚いた様子もなく笑うのを、ただ見返す]
[逃げるように立ち去るブリジットを一度だけ見て]
[それから、真っ直ぐにクレメンスを見る]
……あなたは…あなた方は、どこまでご存知なのですか?
[それだけを、問う]
[声は少し震えていただろうか]
[男は、二度、止めようとした。そうして二度とも失敗した]
三度目の正直、か?
[腰のダガーを抜く。狼の群れはどこにいるのだろう?]
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