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[心配そうに近寄ってきた黒猫に、娘はすこしほっとしたように近づいて。ふれることの出来ない手は、すこし震えていただろうか。
何かを伝えようと、彼女の指が動く。
小さな三角形を指で作り、自分の目を指差してから、
その指を左右に振る。そのあとそれを、ぐぅるりと回して。
ブランの続ける鏡の宮殿の話など、
すでにどうでもいいように、一生懸命に]
そういうもの、かねぇ……。
[笑うニーナの言葉に、ひょい、と肩を竦めてため息をつき。
疲れたようにも見えるその様子に、僅か、眉を寄せ]
ここまでで、歩き疲れた?
[無理しないでね、と声をかけておいて。
ため息をつくリックの様子に微か、笑って、避けられなければまた、頭をぽむ、と撫でるだろうか]
ま、頑張って追い抜いてくれたまえ。
[手が届いても届かなくても、投げる言葉は、どこか楽しげな響きを帯びて]
[シャーロットの身振り手振りでは、何が起こったのかは判らず。
落ち着くように、宥めるように声を掛ける]
ええ、ええ、もう大丈夫。落ち着いてください。
暴れ馬に蹴られたら大変ですから、余り近づかないようにした方がいいかもしれませんね。
他にも楽しそうなものがありますし…鏡の宮殿などいかがですか。
[まさか目が動いたなどとは思わず、他の施設を差してみる]
[ふと、黒猫とその行く先を見る。その眼に懸命な様子の娘は映るか。]
如何か、したんですか?
[少し離れた場所の女性と黒猫を交互に見比べる。]
[黒猫は尻尾をゆらゆらとさせつつ、心配げに娘を見つめ。
黒猫の主もまた、その様子に眉を寄せるか]
……なんだ……目?
[小さな呟きは、娘に届くだろうか]
そうですね、人の本当の願い――純粋な願いほど単純なのかもしれません。
私の願いも単純なものですし。
[単純だからこそ切実、と繰り返し]
ええ、我らが求めるのは永遠の美のみ――
はい、はい、と。
[成長期が来たら、というリックの言葉には、やはり余裕を込めて頷いた。
黒猫はラッセルの視線に気づいてか、そちらを見て、なぁう、と心配そうに一声鳴いて、また、娘へとその目をむける]
[遠すぎて、ハーヴェイの言葉はとどかなかったのだろうか。
娘はリックに向かって、何度も何度もうなづいて。
やがて、ぐるり、指をもう一度回す]
[娘の様子と、リックの言葉と。
先ほどからの様子と、それぞれを組み合わせつつ、回転木馬を見やり]
……ん……?
[微か、違和感を感じたのは、気のせいか、それとも]
[女のほうは、心配そうに娘を見やって。
近くにいた医師の男に話しかけるだろうか]
こんなふうに、人と話せることに、
興奮しているんだと思うのですけれども…。
ああ、ほら、シャーロット、
鏡の宮殿があるそうですよ……?
おや、ニーナさん? 大丈夫ですか。
[ハーヴェイやリックに一生懸命何かを訴えるシャーロットから静かに離れ、疲労の混じった吐息を零すニーナに心配そうに近づく。
もしも辛いようなら、連れて来た責任を取って送って行こうと*考えながら*]
[リックの問いには、さあ、と肩をすくめて]
時々、回転木馬を怖がるお嬢さんはいますけどね。
さっきまで楽しそうにしていたのに、どうしたんでしょうね?
どうしたの、ハーヴェイさん?
……って、怖がる客がいるんだ。
なんだか尋常ならざる様子、だけど。
魔術師さん、何もしてないよね?
……不思議だなぁ。
ええ、少々興奮気味のようですね。
彼等に訴えたいことが伝われば落ち着くでしょうし、少し様子を見ましょう。
[鏡の迷宮なら楽しめるかもしれませんしね、と*優しく笑んで*]
[ぶんぶんと、エレノアの言葉になんども首を振って。
少女は困ったように立ち尽くす。
なにかを伝えたいようで、
それは馬の目のこと、ただ*それだけなのだろうか?*]
馬の目?
[鳴く黒猫と、零れる言葉に木馬のほうを見る。]
・・・・
何か、変わったことでも?
[特に感じるところはなかったのか、疑問の声を零す青年に視線を向ける。]
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