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─ギュンター宅─
思ったよりたくさん色が要るんだね。
それじゃユーディが来る前に準備しておくから。
[明日店にくるというユーディに笑顔で頷いて。
右肩を押さえたのは、故意に気付かぬ振りをした。
一人で帰れるといわれれば、そう、と微笑み]
そうだね、ベッティに迷惑かけすぎるのも良くないし。
それじゃ、あたしは先に失礼するね。
ユーディも気をつけて帰りなよ?
ギュン爺も、またね。
[そう言って笑顔で手を振り、ギュン爺の家を後にした。]
─エーリッヒの作業場─
けれどボクも、エーリ兄には勝てない。
だから、お相子だ。
[途中だった仕事が再開されるを見て首を傾け]
兄。しかし妹ばかりを見ていると、
他に敬遠されるぞ?
後悔のないように。とユリアンも言っていたし──
ん。仕事が長くかかるなら、
邪魔にならないよう、一時撤退してからまたこよう。
[師匠の所にも顔を出さないといけない。と、いいつつも、作業工程に未練はあるようで、壁に背中をつけた。]
─村の通り→食堂「白雪亭」─
[ユーディが走っていった方向までは見ていなかったため、そのまま食堂へとまっすぐに向かい。
中に入れば、すでにベッティが明日の仕込みを始めていたので慌てて謝りにいった。]
あああああ、遅くなってごめん、ベッティ!
取り置きしといてなんて言っちゃったから…
[その謝罪にはなんと返されただろうか。
自分の食事が温め直されて出されると、尚更申し訳なさに小さくなるも礼を言った。]
面倒かけちゃってごめんね、ありがとう。
では改めて、いただきます。
[そういうと、食事を口に運んだが兄の治療はもう終わっているのだろうか、と疑問が沸き。
ふと、顔をあげてベッティの方を向いて質問した。]
ねぇ、ベッティ。
レナ達、どれくらい前に出てったか覚えてる?
―ゼルギウス宅―
ああ。
そこに痛みは感じてなかった。
……っ!
[まだ開いている傷の方に薬が塗られた]
[上がりそうになる声を飲み込む]
[予想よりもっと痛かった]
[ゼルギウスの言葉に反応する余裕もない]
簡単に話すと、不思議な力で二人は秘密の会話ができるようになっている。
無意識だろうけど、今ゲルダはしゃべってなかったはずだ。
[すごい大雑把な説明だった]
不安にさせたのなら、すまない。
[謝罪のコエに、感情は含まれていただろうか]
─村の通り─
[とてとてとてとて。走る方角は、実は当てずっぽう。
とにかく今は一人になりたい、という意識が先に立っていたから、自分がどこにいるかなんてわかっていない]
ふに、にぃっ!
[足を止めたのは、危うく転びかけた時。
わたわたとバランスをとって、どうにか転ぶのは免れた]
……ふにぃ……あ、あぶなかった。
─自宅・作業場─
ははは、お相子か。
[他の調合済みの染色粉を袋に移しながら小さく笑った]
うーん、それもそうだねぇ。
ただでさえ俺は作業場に引き籠りがちだし。
ウェンディ程じゃないけど。
…ユリアンがそんなことを?
[ミハエルと交流の深い人物の名を出しながら作業を続け。ユリアンの言葉を聞くと、一度ミハエルを見た。心中では、ああ…、と何を意味しているかを察しては居たが]
そうだなぁ、『後悔の無いように』した方が良いなら、これから集中することになりそうだ。
話相手にはなれないかも知れないけど、作業を見ていたいなら居ても構わないけど。
[好きにすると良い、と壁際に居るミハエルに告げた]
[右を見る。
左を見る。
そーっと様子を伺う]
……誰にも、気づかれてない、よね?
[つい大声を上げていたから、誰かに気づかれる可能性もあるから、ついつい確認に力が入った]
にぃ……また転びかけたとか知られたら、怒られるんだよ……。
[先に散々言われていた事もあり。
ちょっとは気を使っている。らしい]
―自宅―
[横から溜息が聞こえ、一度ユリアンの方を見る。
何か問おうと口を開き掛け、けれど伝わる反応にそれは遮られた]
だから言っただろうが。
[代わりに痛みを堪えるようなレナーテに対し、低い声を発する。
薬自体の刺激は弱い筈だが、それを強めに擦り込むことが痛みを助長しているかも知れない。
痛み止めも合わせて塗っておいて]
痛み止めには粉薬もあるが、どっちにしようか。
[帰りに持たせる分について問いながら、包帯を巻いていく。
薄手のものを選んだのは「動きやすいように」という本人の要望によるものだ]
―パン屋・作業場―
ぇ、っ!
[ふと、気が削がれて、ナイフで指を切ってしまった。]
いたた…
[流れる血を押さえようと、慌ててエプロンの端で指を押さえた。
押さえながら、軽く周囲を困惑したように見回した。
作業は一旦止まってしまう。]
―自宅―
[室内の乱雑とした様子に、ちょっとだけ目をそらしたい気分。
しかし自分ではどこにあるのかわかっている様子で、迷わずに小さな山へと手を伸ばした。]
うん、これだ。
[ぺらぺらと捲ったページには、細かい文字。
ところどころ開いているのはイラストがあったところだろう。
二冊を拾うと、やっぱりいつもの如く鍵なんてかけもせず、家を出ていく。
目的地は……]
そうそう、パンだパン。
おまけが貰えるとかなんてお得。
[ほんの少し沈黙がありはしたが、さすがに忘れてはいなかったようだ。]
─エーリッヒの作業場─
ウェンもエーリ兄も篭りすぎる。
エーリ兄の作る色もウェンの好みも理解はするが
あれこれ見て歩くも大事で楽しい。
[訳知り顔でそういう本人は、実地を大事にしすぎて動き回り、よく師匠に落ち着けと怒られているのを兄なら知っているだろう。]
うん。そう言っていた。
頑固なレナーテがなかなか折れてくれないので
助け舟を出してくれたんだ。
作業の邪魔はしたくないから構わない…けれど
…む…、む。
[手の中の本にも視線を落として、外も見て、部屋の中を見回して、本をみて、と。やりたいこととやるべきことが多すぎて手に余る。と言いたげな顔で、壁際に背を預けたまま、本人にとっては重大な悩みに腕を組んだ。]
─食堂「白雪亭」─
そっか、ありがとう。
[ベッティの返事を聞いて、何時頃行ったのかわかってもわからなくても礼を言い。
帰りにゼルのところに寄っていこうと思いながら食事を進めた。
途中他愛無い話もしただろうが、出来る限り遅くならない程度に味わいながら食事を終えて。]
ごちそうさま。
残しておいてくれてありがとね、ベッティ。
遅くまで仕事させちゃってごめん。
[自分が最後の客ならば食堂の片付けも手伝ってから、食堂を*後にした。*]
……うん、大丈夫、大丈夫。
[幸い、見える範囲に人影はなかった。
なかったが]
……あれ?
そういや、ここ、どこだろ?
[違う問題はしっかりあった。
きょと、としながら、周囲を見回して]
にぃ……ルゥねえのお店の近く……かな。
[そう言えば、寄らないとならないのだった、と思い出し。
ふるる、と首を振った後、とてとてとパン屋の方へ歩き出した]
ぇ…っ!
………いたた…
[突然説明された内容への驚きは、手元に伝わり怪我になる。
見ることは出来なくても、声の様子から、何かやらかした事くらいは伝わるか。]
……不思議な力?
[とりあえず怪我を押さえながら、ユリアンが告げた事を反芻する。
喋ってなかったといわれて、口元に手を当てて。]
…不安、っていうか。
……うん、不安、なのかな。
[突然そんな事を言われても、というような感じで。
―――と告げた時、唇は動いてはいなかった。]
─エーリッヒの作業場─
……
[そうしてぐるぐると悩んだ結果──やるべきことより、後にも読めることより、今、目の前にあり家に戻る間に終わってしまうかもしれない事象を選択したようだった。]
じゃあ。もう少し。
[いる。と、答えて、壁から背を離し]
……近くによって見てもいいか?
[作業に動く兄にぶつからない範囲で傍によって、工程を見ている。]
―パン屋への道―
[小さめの本、といっても原本ではないが。
それを持って歩いていると、なんか危なっかしく見える歩き方…]
ユーディット!
[思わず声をかけてしまった。
少し走って近づいて、]
パン買いにきたの?
僕はそうだけど。
…ほんと、みたいだね。
[今も、唇は動いていない。]
変なの。でも便利。
遠くにいても話が出来るのって。
[わざわざ用事がある時家まで行かなくていいんだ、とか。
そんな暢気な事を思った。]
そういえばユリアンは今何処に居るの?
─自宅・作業場─
そうは言われても。
作業出来るのはここだけだからなぁ。
[ミハエルの物言いには苦笑しか出ず。良く動き回る妹にしてみればそう思われても仕方のない事]
ああ、レナーテが条件付きとは言え首を縦に振ったのはユリアンのお陰か。
[ユリアンの言った言葉から、知ってるんだろうなと悟ったが。ふと、ミハエルは知っているのだろうかと疑問が浮かぶ。視線を向けると妹は手元の本に視線を落としていて。悩む様子にまた苦笑が漏れた。悩んだ結果に訊ねて来る様子に]
ああ、構わないよ。
[言って微笑む。傍にミハエルが来るのを確認してから、作業を再開した]
─パン屋への道─
……ふにぇっ!?
[誰もいない、と思っていたところに声をかけられ、思いっきりひっくり返った声が出た。
近くで聞いていたなら、ちょっと耳が痛かったかも知れない]
……にぃ……ウェル、かぁ……びっくりしたんだよ。
[駆け寄ってきたのがウェンデルと気づくと、ふにゃり、と力を抜いて笑う]
あ、うん……帰る前に、買ってかないと、って思って。
そだね、一緒、いこ。
[すぐそこ、という言葉には、ちょっと笑いながら頷いた]
―ゼルギウス宅―
[感じていた以上に傷が深かったのかもしれない]
[ゼルギウスの低い声に首を竦めた]
粉薬の方で。
イレーネやミハエルに見せたくはないから。
[包帯を巻かれると軽く動かしてみる]
[薄いのを選んでくれたので違和感は少なかった]
ありがとう。
[息を吐いて感謝を口にする]
[余裕を取り戻すとユリアンの方を見上げた]
花。ってこれか?
なら出かける前にもう一度寄っていった方がいいかな。
怪我した?大丈夫?
[かけるのは気遣わしげなコエ、何があったのかはわからないので]
怪我したのならゼルに見てもらうといい。
今はゼルのところにいる。
[離れていてもというのにはそうだなと呟くようなコエ]
ああ、ゲルダ。
好きな人がいるなら、早めに告白しておいたほうがいい。
後悔は後からしても遅い。
[意味の深い言葉ではあったが、表面を捉えれば突発なことで、
先ほどの>>*18のことはそれでうやむやになっただろうか]
[声は大きかったが、そこまで酷い状態にはならなかった。ちょっとびっくりした顔をしたくらいである。]
なるほど。やっぱ買っておくほうがいいもんね。
転びそうなら掴んでいいからね。
怒られたくないし。
[本二冊は、ユーディットがいるのの反対側の手に持ち直して。
すぐ傍にあるパン屋へと、歩調を合わせていく。]
―→パン屋―
ゲルダ、いる?
忘れずに来たよ。
[たどり着いては中を覗くように声を投げかけ。]
─自宅・作業場─
[まずは下地とする色である濃い茶色。その染色粉を湧水に溶かし、大きめの白い布を浸けた。染め上がるまでの間に、残る準備を進める。同じ色でも微妙に、けれど視覚で差が分かるように調合して行き。それぞれの調合が終わった頃に浸けていた布を引き上げた。澄んだ湧水に浸して余計な染色液を取り除く]
……ん、こんなものか。
[染め上がった布は洞窟の天井のような色。それよりは少し濃いめだったかも知れない。布は作業場の隅にある干し棒にかけて乾くまでそのままに]
さって、問題はここからだな…。
[呟いて、作業台の隅に纏めた調合済みの染色粉の袋を一つ取る。小皿に湧水を汲み、その中に適量の染色粉を溶かし。更にそこにヒカリコケの粉末を少々加えた]
…………。
[仄かに光る染色液。その光具合と色具合を見ながら、納得の行く状態になるまで調整に集中した]
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