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……ま、俺らがあーだこーだと騒いだところで。
じいさまが『結社』だっつーんなら、本気でやる気……なんだよな。
[ぽつり、小さく呟く。
やや、俯き加減の蒼の色は窺えず]
……しっかしまあ。
何が基準かしらねぇけど。
やり難い人選してくれやがるなぁ、っとに……。
─宿屋・食堂─
[声を掛けられれば、手を上げ応えていたが、新たに入ってきた人物にスッと目を細める。]
……………じじぃ。
[呟いた言葉は、いささか棘のある響きを含んでいたか。
そうして、睨んだ視線のまま語られる言葉を聞いていたが、]
……人狼伝承、か。まさか今の俺の始まりにこうして現実に遭遇することになるとはな。皮肉の利いたこって。
しかも、じじぃが『あの』結社員とはな。
[ぶつぶつと一人呟いていたが、短くなった煙草を揉み消すと、]
さぁて、仮にじじぃの話が本当だとして。
みんなはどうするよ? じじぃの言うことに従うか?
[新たな煙草に火を点け、辺りを見回す。]
はぁ?
[話しを聞いてまず最初の反応はそんな感じだった]
じいさん、ボケるにはまだはやいんじゃないか?
[そこに集まった人の中にそんな人狼といわれる化け物はいるようには思えず、
そもそも無実であっても殺すというその言葉にはとても賛同はできず、それでもその様子から本気度は伺え]
冗談ってわけじゃなさそうだからな、
そこまでいうなら、何か見つける方法あるっていうんだよな?
じんろう…
[へなりと眉を下げる。御伽噺に出てくる、人を襲い喰らう存在。その恐ろしさは親が子供にいう事を聞かせる物語だけではないと、目の前の自衛団長は斯くも語りて。]
おじいちゃん…それって…。
[結社。Freemasonとも呼ばれた其れ。都会の都市伝説くらいには聞きかじっていた程度で、娘はそう深くは知らない。その証たる銀の刺青を晒し、その宣言を持って執行されるべき『処刑』を老年の団長は掲げた。]
なんで―――…
如何して、なのだい…??
[彼の決意は固く、其れは揺るぎ無い意思だとしても、娘は尋ねずには居られなかった。]
結社……―――。
そうだね、人狼も居るのだから、
そういう存在もあっておかしくないのか。
[幼い日、読んだ物語を思い出す。]
嗚呼、そうか、私は物語の中だと――狂い人なのかなぁ。
[繋がって行くピース。
物語が真実の欠片、拾っていると云うのならば
占い師や霊能者なども存在するのかと……―――。
聲に出さなかったのは、
ひとえにこれ以上妻を不安がらせない為に。
けれど、本をよく読むリヒトには、
ヴァイスの裡は読めたかもしれず。]
[燃える紅は、
なにかを決意するようにギュンターの背を見つめた。
物語の中、狂い人は……―――。
必要ならば、占い師や霊能者、騙ることも厭わないと。]
[少女は既にブリジットから離れ。
自衛団長に問いかけるそれぞれを、どうすれば良いのか解らぬまま、所在なげに立っていた。
こんなことには自分も納得はいかないし身重のイレーネまでも疑うことが理解もできなかったが、自衛団長の人柄はわかっているだけに問い詰めて苦しませることもできなくて。
だから、ただおろおろと見ているしか出来なかった。]
[ユリアンの紡ぐ言葉>>298にゆると目を伏せる]
――……。
[小さく息を吐き]
御伽噺の通りなら――…
団長殿のような結社が居て
占い師、霊能者、それから守護者だったか。
実際居たとして名乗り出る無謀な奴、居るのかね。
[御伽噺と現実の区別がつかぬほど青年は子供ではない。
柳眉は物思うように顰められた]
[ゲルダに濡れタオルを持ってきた際、ライヒアルトから言われた言葉には笑顔で頷き幼馴染にも笑いかけられたというのに。
その笑顔も今は青褪め不安げな表情にとって変わられていた。]
きゃ…!
[そんな折、唐突に赤毛の男の叫ぶ声に驚き、思わず身じろぎしかけて足がもつれた。]
……結社だって言うならさ。
もうちっと説明してってくれてもいいじゃないか。
銀の印を疑うわけじゃないけども……。
[旅の噂に聞く結社。
村人が知るよりはもう少し詳しかったかもしれない]
なあ、アーベル。
[普段ならもっと噛み付きそうに思える青年を見た。
ふとその通り名が頭に浮ぶが、それはいくらなんでもと打ち消した]
[御伽噺に出てくる登場人物を
人前でつらつらと紡いで見せた人ならざる者。
白の思惑など目に見えるようではあったが
ユリアンが既に紡いでしまったものを知らぬフリは出来ない]
――…実際居たとすれば厄介だな。
さて、如何動くべきか。
―宿屋 食堂―
[去りゆく団長から言葉は返ったか。
腕を組み、目を閉じ、嘆息した]
心外ね……
[笑いだした赤毛の男にちらと目を遣り、話しかけはせずに再び伏せる]
わからないわ。
唐突すぎるもの。
[煙草を持つ女性への答えか、目を閉じたままぽつと洩らした]
―宿屋・一階食堂―
[いすに座るとぐってりテーブルにつっぷして]
それじゃまるで、こんなかで疑い会えっていってるようなもんじゃないか。
[つぶやく言葉、テーブルの上のサンドイッチに手をつけるものはこの状況でいたかどうか]
こんなかに…ねぇ…。
[それなりに知ってる仲のもの、よく知ってるもの。
宿屋に集められた面々を見回して]
やっぱ、悪い冗談にしか聞こえないな。
[妻が自分の名を呼ぶ声を聴き、
手にかかる力と温もりに、はっと我に還る。
燃える紅は、瞬いて、常の色に落ちついた。]
私の所為で、ごめんね。
でも、君は、私が護るから。
[自分たちが疑われるのは、自分の容姿以外にないと
思いこんだ言葉を見上げてくる愛しい人に告げる。
そっとその身を一度抱いて、離した後、
周りの様子を伺うように、紅は見る。
と、占い師、霊能者、守護者……―――。
幼い日、物語で見た単語が耳に入れば、ふるっと身を震わせた。]
あ、あいつもいるのか。
[ダーヴィッドの笑い声に、その存在に気づき]
まぁ、不審者には変わらないんだろうけどさ……
[しばらくはどっちにせよ商売にならないなと、宿だけでなく食堂とかのことも思っていた]
[騎士風の赤い髪の男が突然声をあげれば怪訝な貌]
一体何だってんだ。
[見慣れぬ顔に目を眇めて]
……と、クロエ、大丈夫か?
[赤い髪の男の声に驚いたクロエへと視線を向け
手を差し伸べる仕草]
…!
[赤毛の男が叫ぶのに娘は身体をこわばらせた。一つ後ろに下がって伺うようにするが直視は出来ず。深い傷は無かったとの診断をライヒアルトから聞けば、ほ、と胸を撫で下ろす。]
御転婆だと想われてしまったようだね…
今回は完全にヘマをしてしまったのだよ
ン―――今度からは気をつけるね
…あちこち皆に見られるのも恥ずかしいし
[綺麗な肌、と称す青年の声に何処かむず痒い貌を覗かせ、矢張り娘は何処か落ち着かなさそうにしていた。自分の不甲斐なさと、置かれた現状にへなりと下がり眉のまま佇んで。傷を伺う様子のクロエには、大丈夫だよ、と手当てを指差して見せた。]
うお?
そういえばあんたは誰なんだ。
[突然に意味の分らないことを言い始めた男に視線を移す。
記憶を探ってみるけれど思い当たれなかった]
アーベルじゃないけどさ。
はい、そうですかって従える話でもないよね。
団長さんに殺されたくもないけど。
[ブリジットに返したのは一般論とも言えそうなもの。
素直な心情ではあったけれど、答えにまではなってない]
[なんとか体勢を保とうとしたものの勢いは止まらず尻餅をつき。
情けなく思いながらもその場から立ち上がれずにいたのだが、蒼鷹が目の前に止まってこちらを覗くのが見えれば表情が緩み。
その頭をよしよしと撫でて微笑んだ。]
ごめん、ちょっと驚いただけ。
大丈夫だから、ベル兄のとこに戻りなさい?
君だって久しぶりに会えたんだから。
[そう言う自分に蒼鷹はどう答えたろうか。]
[ブリジットの声に、はっとしたようにそちらを向く。
ああ、ブリジットちゃん帰って来ていたんだ、またこんな時期に……
などと思ったが、流石にそれは口にはしなかった。
改めて周囲を見る。
御伽噺の人狼が、ここに居るのだと色眼鏡をかけて周囲を見ても、
処刑する人を選ぶ事は、難しいように思えた。
ただ赤毛の――あまり普段近づかない、
良くない噂だけは聞く人が、
自然と目についてしまうのは仕方が無いだろうか。
声高に人狼と、
叫ぶ人をあまり見るには耐えかねて、視線はすぐに外された。]
ゼルギウス。
お前さんのせいって訳じゃねぇだろ。
如何いった基準で集められたかは知らねぇが
仮にも結社を名乗る団長殿が
容姿だけで判断はしねぇと思うぞ。
……ま、納得いかねぇのも分かるがな。
[身重であるイレーネの事があるからこそ
ゼルギウスも心配なのだろうと宥めるように声を掛ける]
う、うん、大丈夫。
えへへ、何もないとこで転んじゃうなんてどんくさいね私。
[蒼鷹のお陰で少し常の調子を取り戻せたか、ライヒアルトから手を差し伸べられると恥ずかしそうに笑ってその手をとり立ち上がった。]
ありがと、ライ兄。
クロエっ
[バランスを崩す幼馴染を呼び止め。声を掛けるより早くライヒアルトが手を差し出したのを見守り。]
クロエこそ大丈夫、なのかい…?
具合が悪いなら―――休んだりライヒ君に診て貰うと好いのだよ
[ゆっくりと歩み寄ってしゅんとしたように肩を落とした。]
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