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―命竜王の宮殿―
[さて転移を使えばすんなり、命竜王の宮殿に戻れたのは幸いだったが。
中は実に酷い状況だった。
ここでは黙して*語るまい。*]
―――。
[こくこくと、お茶を飲みながら、ふと思いを馳せた。
―――そういえば、名簿をちゃんと眺めたことなかったから、あまり名前とか覚えて無いわねぃ。
ま。感じる感覚で属性は分かるから、それでいいかしらぁ]
こんにちは。
[なんとなく力の抜けた様子で、入ってきた流水竜に会釈をする。精神竜がミルクを渡しても、それに文句は言うつもりは無かった]
……それは嬉しいな。
[心を預けるよう求めた時から青年は全てを被る覚悟を決めている。けれど、頼れと言われたり頼られるのはやはり心が温かくなって、口元に自然と笑みが戻る。台所に戻っていたのは幸いだった]
わかりました。
ですが流石に今動くのは危険ですね。
もう少しギュンターの…今の騒ぎが落ち着くのを待ちましょう。
[盆を持ち再び戻る途中、周りを見回すようにして頷き返した]
何もないのにそんな事をいうのは止めてください。
[恨めしそうに一度目を向けて、花茶へと落とす。
口に含んで落ち着かせ、]
もうあんなことはなさらないで下さいね……
噛まなくても。
折角なら、長く楽しんだほうがいいんじゃない?
[ 指摘に顔を赤らめる機鋼の竜に、影はゆるりと首を振る。]
……。
事故、だったらしいから。
[ 少し名残惜しげに水面から目を離し視線を周囲に彷徨わせると、疑問符を浮かべる氷破の竜を認め、一言添えた。しかしそれは明らかに言葉が足りない。]
おそらくは、どちらかがだろうな。
[アーベルの声には同意するような声を返す。]
ダーヴィットみたいな奴がいるくらいだ。
察知できる竜が居てもおかしくはないだろう。
どうだろうな。なまじ誰が手を下したか、までは。
そもそも、もう爺さんは結界の中だ。
残り気があろうが薄すぎて辿れないとは思うが。
[淡々と自意見は述べる。]
[ナターリエは、オトフリートの言葉を聴くと、少しだけ含み笑いを漏らした。
―――その言い様だとまた誤解されるでしょうに]
―――ええ。
私としても、あのような形は不本意ですからねぃ。
今後があるとしたら、もう少し正式な形でお願いするわぁ。
[やはり、誤解を受けそうなセリフで返した]
[二竜の交流には口を挟まない。
同じ秘密と罪を持つもの同士。
距離が近くなるのは当然ちゃ当然だろう。
自身はその輪から、一歩はなれた場所に立ち、伺う。
アーベルと交流は薄い故、彼の変化は分からない、が。
オティーリエの変容には、表でだけ微か眉を潜めた。
どちらがどちらを襲うかには、相変わらず口を挟まない。]
事故です。
それ以上のなにもありません。
[影輝の竜の言葉に、しっかりと頷いた。
当然自分の言葉が誤解されうる可能性を含んでいると、考えてはいない。]
……遠慮します。
[流水を見る目は、やはり少し恨めしそうであった。]
[ その写しの侭、影輝の竜は一堂を見回して、口を開く。
闇竜と水竜の会話から意識を逸らそうとしている、という心遣いがあったのかは、甚だ疑問ではあるが。]
ギュンターが、恐らくは何者かの手によって結界の内に落ち、
竜王とも連絡が取れないとなると、ますます悠長にはしていられませんね。
次第に皆への混乱も広まるでしょうし。
竜都に留まる続けるが良策とも限らなさそうです。
[ 手遊びしているカップが、微かに高い音を奏でた。]
私は一度、郷に戻るつもりです。
少し落ち着いた頃には、警戒も弱まりましょう。
[周りの様子も見ながら考えて。]
――ダーヴィッド殿の力も厄介ですが、
もし手繰れるものがいたら、そのほうが厄介ですね。
[当然見ることはなかった微笑であれど、
その感情は伝わっているようで。]
[香る茶に頬を緩ませるのが、それに浮かぶ微笑を隠した。]
[機鋼竜へもミルクを渡し終え、もう一度椅子に戻る。
なにやら妖しい遣り取りが気にならなくもなかったが、事故の話題にまつわる心の動きを感じ取れば当人同士にしか真実はわからないように思われた]
一度、領域を見に戻るのはいいかもしれません。
それぞれの見て来た事を持ち合えば竜郷の現状を正しく把握できるでしょうから。
私も一度戻ろうと思います。調べたいものもありますし。
[戻ると言い出した竜に同意し、青年も一度戻る事を告げる]
―命竜王の宮殿―
[着いた瞬間寄ってくるのは竜竜竜。
城の中に住む竜全員が、なまじ泣きながらやれ命竜王様の様子はとか、クレメンス殿が付いていながらとか、群がる群がる超群れる。
潰されないのは命竜の最後の理性が残っているからか。
何人かはやはり刃物を持っていた。目的は自害か他傷かまでは、知らないし知りたくもない。
とりあえず明後日の方向を向いて見なかったことにしたかったが。
そうはいかないと言わんばかりに、刃物はこちらにも向けられる。
おいおい目が血走ってるとか意識は半ば体からはみ出。
ぎゃーぎゃー言う竜らに、半分くらいプチ切れた。]
ああああもうお前らあああ!!!
[ブリジットが少し引いて見る様子に目を細め
ナターリエとオトフリートの遣り取りには眼鏡の奥の目をパチパチと小さく瞬かせた。]
取り敢えずどう動くべきでしょうかね。
その「揺らすもの」とやらを探すべきなのでしょうか。
[呟きは誰に向けたものでもなく
独り言のように小さく]
[ 其処で言葉を切り、沈黙を置く。
他の返答があれば其方を見はしたものの、黒の瞳は大方、小さな泉の底、滑らかな磁器を映していた。或いは、水面に映る己の姿を。
憩いの一時とも話し合いの場ともつかぬ其処で、一人また一人と去ろうと、影は交わされる会話に耳を傾け、冷めていくカップを包んだ侭、*暫しの時を過ごす*]
…機鋼の砦はセキュリティが発動しています。俺は戻れなくもないですが、兄達がいますし、情報はこちらでも取れるので、ここに残ります。
[それぞれの領域に戻ろうとする竜達に、とりあえずそう告げる。事実には違いないが、それだけが理由ではないのだが]
―命竜王の宮殿―
[土下座に虚を突かれたのか。
一端の沈黙の後、すすり泣くような声に変わる。
それにようやく溜息をついて立ち上がり。]
はぁ…姐さんから連絡一応きたんだろ?
ああうん、一回だけか。
まぁ遠いし、姐さんの方も色々あって…ってああもう違う違う、無事だって、姐さん兄さんと会えて超元気だから!
[嘘ではないが、真実でもない。
命竜王も自身領域、生命の海の様子を気にして、伝える声に翳りはあったが、それを伝えたらさっきの状況に逆戻りしかねないので隠した。
そんなこんなで封印の中の様子を適当に捏造かましながら伝え。
ようは影竜王始め、他の竜王と一緒なんだから、向こうを心配する必要は無い。
代わりにこっちの持ち場の方をしっかり見て置くように、それを竜王が望んでいると。
そう告げれば、多少はマシになったのか。
各自持ち場へと向かってゆく。]
[ナターリエの、ぽつりと呟いた声を耳に拾い、
眼鏡を人差し指で上げつつ目を向ける。]
あぁ。
…――犯人、とやらが居ればですが、単独犯とは限らないのですね…。
異変に便乗して色々な思わくを持った者が竜郷を狙わないとも限らない。
時は一刻を争う、かもしれませんね…――
[眉を水平にして眉間に皺を寄せ
表情を険しくする。]
[遠くにいても伝わるクレメンスの心の声に、僅かに驚きが過ぎる。精神の竜で無い者の声がそこまで遠く届くとは思わず、次いで得た力ゆえかと納得した]
剣を探す前に此方を探られるのは困りますね。
結界内を探られないか確認しておかないと。
[クレメンスにそう返して、オティーリエの言葉にも同意して]
一度落ち着いて話し合った方がいいかもしれません。
剣を持っていそうな者か、それとも邪魔しそうな者か…
[結界内に送り込む事は容易くは無いから、誰にするかよく考えないといけないと微笑の気配を感じつつ囁いた]
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