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―村の通り―
[ゼルとの会話は、ベッティから声を掛けられてそこで一度中断し、
調理してみたと見せてもらった壷の中身を覗き込み]
漬け物?
[見たままの様子、聞くまでもないのだろうか、そう口にしていた。
エーリッヒとウェンデルが皆と一緒に行かず、それぞれに帰るのにはわかったと見送り、
後で見たままを伝えるべきは自分だろうかとは、胸中に]
―村の通り―
[夢であることを願う言葉に、返す言葉はなかった]
ああ。
……悪いのは『死神』だ。
お前だって、被害者だろ。
[ある意味では一番の。相変わらず低めた声で囁く。
だが、他の者にまでそれを理解して貰えるかは分からない。
己も先に親友に明かされていなければ、どうしていたか]
─道具屋─
[軋む声と悔しげな顔]
[落ち着かせるどころか苦しませているようだった]
語り部は語るべき時に語るのだろう?
すまない。
無理をさせたいわけじゃなかったのだけれど。
[手の力を抜く]
[声だけでは止まらないユーディットを視線で追った]
[その後を追おうとするミハエルを開放する]
─道具屋─
…っ、レナーテ。行かなきゃ。
[酒瓶を抱きなおして、紅い瞳を翠の眼が見上げる。]
ボクは、語り部だから
生も、死も。
この目に映して、
本当は、…等価に、人に、語れなければ、
一人前とは──言えない身なのだよ。
[目を閉じて、息を吸ってゆっくりと吐く。語り部見習いが、死神の降る刻を越えなければ── 一人前と認められないのは、きっと、それが理由で、]
…、だから、
だから、本当は。
本当、は、朝、気づいたなら。
師匠と、一緒に、
真っ先に、その確認を、しに、行くべきで。
他の皆に、それを、伝えるべき役で
なのに
ボクは、
なのに、────逃げて、きたのだよ。
[見るのが怖くて。情けないと、困ったように腹立たしいように──怒って見える、複雑な笑みを浮かべて]
… だから、ボクは、レナーテに、
甘やかしてもらって良い身分では…ないのだ。
―村の通り―
[共に行かないエーリッヒやウェンデルへはおざなりながら手を上げたか。
ベッティが声を掛けてきて、会話はそこで途切れた。
親友と彼女が話すのを横に、暫くは何か考え込むように黙って。
途中でユーディットを見掛け、違和感のある歩き方とその足の擦剥けを見たならば、礼の如く眉を*顰めたか*]
悲しいときは…か。
[ギュンターが死んだ事が。死神に憑かれた事が。
悲しいんだろうか。悲しいんだろうなと、自問自答を繰り返す。
そして多分、この先もそれは続いていく。自分が死ぬか、終わりの時が来るまでは。]
あはは…そう、だね。
[気遣いに笑んだ。それは乾いた笑みだったが、暗くなるよりはいくらかましだろうかと。]
―村の通り―
[ベッティに話しかけられる前、親友に最後に返された言葉には]
そう、だな。
全ては『死神』の、か。
[そう言葉を返し、その免罪符でもう一人の心が晴れるのならばいいがと。
少なくとも自分にはこの親友がいることで、楽にはなっている。
向こうには同じような相手がいるのだろうかと]
─道具屋─
ミハエル。
誰も最初から全て上手くなんてできないよ。
ミハエルがそれを必要としたのなら。
それは悪いことではない。
まだ敵わないと思えば逃げなければいけないこともあるんだよ。
[身体を離した状態でもう一度頭を撫でる]
師匠もここに来るのを止めはしなかったのだろう?
だからミハエルは逃げたと思って悔しく感じていても。
意味のないことではないよ。きっと。
─村の通り─
[ユリアンの問いににこっとした笑みを浮かべ、]
そ、漬け物。よかったらどうぞ。
あ、他の皆さんもよかったらー。
[そう言って、ずずいと壷を差し出す。]
─道具屋─
一度に全てを乗り越えるのなんて無理だ。
私だってそうだったよ。
まったく同じではないのだろうけれど。
それに。
[膝をついてミハエルと視線の高さを合わせた]
私としては甘えてもらえるのも嬉しいかったりするのだけれどね?
[小さく笑って姿勢を戻す]
出来ることから順番にやっていこう。
今はとりあえず。
ユーディを追いかけることからかな。
まぁ、少なくとも、話を聞く相手はここにいる。
もう仲間みたいな、ものだし。
[そう告げる様子は、平時の時のように。
気遣いすぎるのも、かえって気にさせるかと思ったためでもあった]
─道具屋─
けれど、ボクは、自分が、
情、けな───、…っ
[レナーテの声は、自分と違い落ち着いていて。
撫でられてしまえば、じわりと視界が霞んだ。]
……っ、
[眼を瞑り──く、と、途切れがちになる声を呑む。]
―村の通り→ギュンター宅―
[壷の中身を一つ摘んで、口にしたそれは悪くは無い味]
んっ、さすがベッティだな。
魔法の手か。
[そんな話をしたことを思い出しながら、
さらにもう一つつまみ、しばらくして、ギュンターの家につけば、
知ることになる事実は、自分の予想とたがわないもので]
ああ、やっぱり、か。
[そう、*呟いていた*]
[ギュンターの事実を知り、ゲルダが何かショックを受ける様子であったなら、
そっと頭を*撫でていたかもしれない*]
え、何それ?
[ベッティが出してきた壷には興味を引かれて、中を覗き込んで―――少し固まる。
それでも好奇心もって一つ掴むのは職業病だ。
おそるおそる、口に入れる。
泣く事はなかった。]
あれ…青くない。
ね、ベッティ、これってどうやったの?
[ギュンターの家に行く間、そんな事を訪ねたりして。
事実を突きつけられるまでのほんの少しの間、心を*紛らわした。*]
うん………ありがとう。
感謝してる、いてくれて。
[一人で無いのはありがたかった。
一人だったら、容易く自分の命を絶っただろうから。
むしろ全体を見ればその方がよかったのかもしれないけれど。
死神が二人なのは、救いであり枷だ。
それを理解しながらも、それでも、今は二人でよかったと*思った。*]
─道具屋─
[ぐしっと慌てて顔を擦りかけ]
…、…〜、っ…!
[同じ高さで紅の目が笑うのに、先ほどまでとは違う理由で、ぐっ、と息を呑んだ>>338。]
…ッ …今泣いて決壊してしまうと、困、…っ
[意地を張るように声を張って、ぶん、と首を横に振り、肺に息を詰めなおす。]
ユーディを。あのままでほおってもおけない。
それこそどこかで転んでいかねないではないか。
[ユーディを追いかけ損ねてから随分たつ、と、思考を切り替えるように酒瓶を抱いて呼吸を整えた。追いかけるにしてもタイミングを失してはいたけれど、このまま逃げっぱなしというわけにも──いかない、と。]
─道具屋─
いつもの元気も戻ってきたかな。
[意地を張るような声に微笑む]
ああ。大丈夫そうなら行ってみよう。
その可能性はかなり高い気がするし。
走りにくければそれは私が持つよ。
[外に出ると不在用の看板を扉に掛ける]
[酒瓶は引き受けようかと*手を出した*]
─村の通り─
[差し出した漬け物の評価は好評の様子。ふふんと軽く鼻を鳴らすが、魔法の手というユリアンの評価には、んーと顎に指をあて軽く考えるが、]
魔法の手というか、料理についての知識とこの舌が齎すインスピレーション的な何か、なのかなぁ。
…………魔法なんて、そんな不確かなものじゃ、ないんだ。
[最後の言葉は聞き取れないほどの小さな呟き。]
うん。
… 懺悔してしまったら、
少し、気楽になった。
[息を吐いて、浮かべるのは力の抜けた笑み。]
…。
けれど。だな。
レナーテ。
[差し出した手に、持っていた酒瓶を両手で丁寧に渡して──首を傾ぎ]
ボクは然し、兄に弱いのだろうかな。
[真顔でポツリとそう言って]
ボクにあまり──甘えるを許すと、
きっと、際限が無いのだよ。
[荷が増えてたいへんだぞ。と、忠告じみて、そう言って。
──とん。と、村長の家に向けて、*歩を踏み切った*。]
─村の通り─
[ゲルダが恐る恐る摘んで、驚いた様子には、満足そうなにまぁとした笑みを浮かべ、]
ふふふ、これはねぇ…………
[そうして、工夫点などについて話しながら、ギュンターの元へと向かっただろう。
そこで待ち受ける事実を彼女はまだ知ることは*ない*。]
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