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……この、感じ……?
[いや、まさか。
最初に考えたのは、それ。
……しかし、光を文字となす本(それが何か、は、異なる世界──機鋼の著しく広がった世界の『記録』から、察してはいたのだが)に、新たなページが追加されるのに気づけば、自然、目はそれを追って]
……ぉーぃ。
[思わず上がったのは、小さな声]
[輪を追いかけてついた先。それは二階建ての屋敷。草原の中に佇むそれに向かい、輪はハインリヒを誘導する]
へぇ…のどかな場所に佇む一軒家か。
誰か住んでるのか?
[進む輪に訊ねかけるももちろん返答は無い。そのまま屋敷へと近付き、ノックもせずにその扉を開いた]
……っと。
[扉の開く気配に、振り返る。
感じたのは、強い風]
さて、これで何人目……かな。
[あとどれだけ来るのやら、と。
声に出さずに呟いて]
[勿論返事が返ってくるはずも無く。
ちょっとだけ落胆しながら、それでも目を擦って]
ええと、ここなら力使い易そう、かな?
[呟きながら目を瞑り、ゆっくりと集中し始めて。
周囲の気配を辿り始めて…]
はい?
[ビックリして目を開いた。
外に満ちていたのが予想外すぎる気配だったから]
…何て言ったっけ。
[人間界ではまだあまり感じ取ることが少ない力。15番目の属性]
んあ?
[なんだか頭上で、落っこちたっぽい音がした]
んー
[伸びをして起き上がる。増えた気配が、ひとつ、ふたつ、みっつ…]
…………もしかして15属性全部呼び込まれてるとか?
[なんだか、とっても覚えのある状況に、密かに冷や汗たらり]
えーと?
とりあえずハジメマシテ、かな。
[足を踏み入れた屋敷。その先、広間に居た青年に向けて声をかける]
何人目?
他にも誰か居るんか?
つかここどこよ?
[相手の言葉から浮かんだ疑問、そして先程から浮かんでいる疑問が口を突いて出る。案内をしてくれた輪は目の前の青年の下へと向かっただろうか]
いやいやいや、ここに精霊珠は無いわけだしっ!
[妄想を振り払うように、ぶんぶんと頭を振って、寝台から降りる。階下からは甘いマロンパイの匂い]
あ、美味そう。
[食い気に釣られて、広間へ向かう]
―自室→広間―
あっれ、貴女は確か…。
[声をかけられた方へと視線を走らせる。見知った顔、ではあるが自分は相手の名を知らず。右手を後頭部にやり軽く掻いた]
仕事先で顔は拝見してるんだが、名前は聞いてなかったな。
お久しぶりと言うべきだろか。
[わたわたっと手を動かして。
それから深呼吸を一つ。
改めて集中。ゆっくりと世界を構成する他の力を追いかけて]
うん、間違いない。力強い機鋼の力。
でもの属性もいっぱいなのね。
[ブツブツと口に出しながら思考を纏めてゆく。
次に点在している人の気配を追いかけて]
あれっ?
[属性以上に憶えのある気配が幾つか。
パチパチと目を瞬いた]
[見知った顔と言葉を交わす間、広間にある本には新たにデータが書き込まれていった]
────────────
■名前:”風来坊”ハインリヒ=ヴォルケ(Heinrich=Wolke)
■種族:人間
■属性:疾風
■職業:探偵と言う名の何でも屋。主に情報を扱う。
■年齢:33歳
────────────
人間界で探偵業を営む。
普段のんびりとした雰囲気を醸し出している。
不要な争いなどはしない性質(面倒だから)。
ヨレたTシャツにデニムのジャケットを羽織っている。下はジーンズ。
首下にはフェザーのシルバーアクセサリが一つ。
護身用として腰にトンファーを据えている。
機鋼界へは欠伸した瞬間に何故か居た。
────────────
[アーベルに抱きかかえられて到着したのは、界の東にある屋敷。
そこの広間の椅子に座らされ、ちょこんとしていたが]
……あれ。何でハインリヒさんがここにいるわけ?
[入ってきた人物に小首傾げ。]
お久しぶりです。自己紹介をしたことはなかったかもしれません。
改めまして、ユーディットと申します。
[スカートのすそをもちぺこりとお辞儀をする]
まあ、始めまして、ですかねぇ。
俺は、オトフリート……オトフリート=ヴァイスと申します。
[実際に、会った事はない相手な訳で。
彼が古い歴史書に詳しかったりすれば、やけに詳しい上に分厚い歴史書を一冊だけ記した歴史学者の名との一致に気づくやも知れないが]
まあ、話せば長い事ながら……なので。
まずは、お茶でもいかがです?
[知り合いらしいユーディットとの会話を見つつ、軽い口調で問いかけて]
[もう一つ聞こえた少女の声。しかしその声は聞き覚えがあれども言葉の雰囲気が何か違うような気がして]
…ミリィ?
いや、それはこっちの台詞…。
…つーかお前ホントにミリィか?
[視線をやれば醸し出す雰囲気すら異なる良く知った顔。その顔にいつもならない眼鏡がかけられては居たが]
[挨拶をしている間にデータが読み込まれ]
────────────
■名前:ユーディット
■種族:魔族
■属性:氷破
■職業:メイド
■年齢:外見年齢17-8歳、実年齢は400歳程度
────────────
数百年前より、人間界に滞在中。
メイドとして人の中に入り込み、気に入った人間を見つけては契約を交わし願いにより人生を大きく変える様を見ては喜んでいる。
ことさらに破滅する方向に誘導しているわけではないが破滅する人間が大多数であるのは確かである。
機鋼界へとやってきたのはただの気まぐれ。
────────────
あ、こんちはー
[広間に居た新顔に気付くと、にこにこと手を振る]
オトさーん、ケーキ焼けました?
[時空竜、と呼ばなくなったのは、一応の気遣い、らしい]
[瞬きをする彼女についていつの間にか書き込まれていたページ。]
────────────
■名前:ミサト・ヤクモ(八雲 美里)
■種族:人間
■属性:翠樹
■職業:バウンティハンター
■年齢:自称(永遠の)18歳
────────────
自称流浪の賞金稼ぎ。東の方の民族の出。
人・獣・魔、そして精霊を問わず、それから齎される災厄を膨大な報酬と引き換えに排除することを生業とし、あちらこちらを放浪している。
右腕部に拘束服のベルトが巻かれた少しサイズの大きめの服の上にマントを羽織り、両手には魔法陣の描かれた手袋。
腰にはホルスターに挿された二挺の拳銃。片方はシングルアクションのリボルバーであるが、もう片方は複雑な魔術刻印の施された弾倉のない銃。彼女は前者を『クサナギ』、後者を『オロチ』ないし『魔銃』と称している。
なお、眼鏡をしているが、実は度は入っていない。本人曰く「気持ちを切り替えるためのスイッチみたいなもの。」
お供に魔獣の子供「シノ」。見た目は額に翠の宝石のついた子犬。
────────────
お知り合いでしょうか?
[声をかけてきた少女へと視線をむけ。ぺこりとお辞儀をした後、オトフリートへと振り返り]
わざわざすいません。
お茶をいれるのでしたらお手伝いしますが・・・。
[男性を案内してきた輪は、右手首の銀の腕輪へと溶けるよに消えて]
下りてくるなり、それですか、君は。
[呼びかけを変えながらの問いかけに、浮かぶのは、苦笑]
ま、だいぶ久しぶりに作ったんで、どうなってるかは自信ないんだけどね。
[とか言いつつ、一時期は菓子屋を開けと言われた事もあったりなかったりするのだが]
ええと。
とにかく確認した方が早い、かな?
[ちょっと呆然としてしまっていたらしい。
そーっと部屋の外へと出て、階段を探す。
見つけた気配は下にあるようだ]
―屋上→広間―
[丁寧に頭を下げられると、ついこちらもぺこりと頭を下げて]
ユーディット、か。
…ここに居るってことは、仕事はどうしたんだ?
あそこ辞めたのか?
[ここが新しい仕事場なのか、と考えたがここは人間界ではないわけで。我ながらアホな質問をしたか、と思いつつも訂正することはなく。何故彼女がここに?と僅かに首を傾げた]
[挨拶を返された青年には]
あ、お茶貰うわ。
俺はハインリヒ=ヴォルケだ。
[相手の自己紹介に合わせて自分も名乗り。空いている席へと腰を下ろす]
[手伝いを申し出るユーディットに、にこり、と笑って]
いや、紅茶を淹れるのは、俺の趣味みたいなモンだから、気にせずに。
……ああ、コーヒー飲みたいってリクエストがあったら、そっちはお任せしたいんだけどね。
[相変わらずといえば、コーヒーで眩暈を起こすのも相変わらずらしい]
[尋ねられ、少し表情を暗くして]
旦那様が亡くなられてしまいまして・・・。
色々とあって今はどこへも勤めていないんです。
次をどうしようか思案している最中なんですよ。
[あ、でも生活に困ったりはしていませんからと明るく笑う]
−東部・屋敷の屋根の上−
[賑わいからはやや離れた場所]
[土に塗れた両足を放り出して]
[左手首の枷から伸びる鎖を弄ぶ]
……、う、ん。
[一度は軽く引いてみて]
[二度目は強く引っ張れど]
[外れる気配は全く以て、無い]
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