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[ピアノを撫でるコーネリアスの様子に、以前これを弾いていたひとの事をふと思い出しつつ。
ルーサーの言葉に、思わずくす、と笑みを]
厳命って、そこまで言われてるんですかあ?
あー……、
[ 見上げて来るトビーには困った様に視線を巡らせて、]
……無理、だな。
彼の方は、客人を引き留めるにはどんな手でも使うから。
宿泊費の代わりと思うしかない。
[さらりと云って片眉を寄せて口許には微苦笑を浮かべる。
静かに入って来たネリーにも気付けば、矢張り会釈を返す。]
貴女も此方にいらしては。会話は大勢の方が楽しいですから。
ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいわ
[ハーヴェイの言葉に、心から答える。
どうやら見ほれてくれたらしい、子供の姿を見れば、知らずに笑みが浮かんでしまったようだった。]
大丈夫? 昨日、大変だったでしょう?
[それから、やってきたネリーにも、挨拶と会釈をした。
彼女が隅にゆくのを見る。]
……ええ。
鼓膜を破壊しかねない歌声、とまで言われました。
楽器に至っては、演奏する前に壊してしまったこともあってね。
以来、音楽に関わる事は一切禁じられておりまして。
聞く方は止められてはいませんが、ね。
[その時の事を思い出したのか、沈痛な面持ち。]
うわ、そこまで……。
[予想をはるかに超える話に、思わず引きつった声を上げ]
でも、ボクも歌うのは全然ダメなんですよね。
弾くのは、何とかできるけど。
[ハーヴェイの酷いんだなと呟く声に隠された真意に気付くことなく、寝違えちゃったみたいで…と苦笑して。
ローズマリーの微笑んでの言葉には、仄かに赤くなって俯いた。]
えっと、その…勘違いしちゃったみたいで…。
大騒ぎしてごめんなさい。
[静かに控えるネリーの姿に、その背に隠れた事まで思い出して、ますます赤くなり。誤魔化すようにティー・オレを飲んだ。]
[場には女性と青年と少年がいた。少年が涙目になるのが見え、どうしたのかと思ったのだが、首元の白い包帯が見えた。まだ痛むのだろうか]
え、でも…
[青年の言葉に戸惑ったように、その場にいる他の使用人を見る。
使用人は彼女の傍にきて、お客様の相手も必要だから、と許可を下した]
…では、失礼します。
[頭を下げて、テーブルの傍へと移動する]
如何致しまして?
[ 軽く首を傾けローズマリーに声を返す。少し形式的な其の笑みは母譲りのものか。]
本当の事ですから。
[ が、其の表情も幾度目かのトビーの失敗を見れば苦笑というか半笑いに変わる。此方の方が余程自然ではあるが。]
……明日には治ると好いな。
あぁ、幽霊のことね? 彼は、幽霊じゃぁないわよ。
それにアーヴァインさんは、今も奥方さまを愛していらっしゃるもの。幽霊なんて、出ないわ?
[トビーを安心させるように、そう言って。
わたしは、とりあえず、使用人から水を一杯、貰う。]
今日は早めに休もうかしら。
[これも見せに行った方が良いでしょう]
お話、出来なくて残念だわ。また明日、お話しましょう?
[頭を下げて、わたしは*二階へと向かった*]
お料理かあ……。
じゃあ、楽しみにしてますねっ。
[にこ、と笑ってから、料理という言葉にふと、祖母の事を思い出す。
色々あって戻れずにいるが、一人で大丈夫だろうか、と考えて]
[(昨日の親切な人と認識している)ネリーがテーブルの方へ来るのを、少し嬉しそうに見やって。
ハーヴェイとローズマリーのどこか深みのありそうななさそうな会話に静かに耳を傾ける。
幽霊なんていないと言われれば、ハーヴェイにそう言われた時とは(ネタばらし後とはいえ)えらく違う態度でかしこまり、]
…そ、そうですよね…はぃっ!
[やや元気すぎるかもしれない返事をして、去っていくその背を見送った。]
おやすみなさいませ。
[緑髪の女性の後姿に声をかけた。少し変わった装いは東洋のものらしい。
女性が何をしにこの館に来ているか、は使用人同士の会話から理解していた。嫌悪…はあまりないのだけれど、旦那様のご友人であるこの館の主人がそのようなことを、と思うと複雑な気持ちになる。
表情には出さないようにして、テーブルのほうへと向き直った]
……お休みなさい。
[ ローズマリーに就寝の挨拶をしてから傍に来るも腰掛ける様子の無いネリーを見遣れば、少考の後、自分の隣の椅子を引いて、どうぞ、と声を掛ける。昨日はよくは見なかったが、彼よりも歳下のようだった。]
……座られた方が、話し易いのではないかな、と。
新しい使用人の方、ですよね?
[ 棒を持って来るとの言葉には、やけに元気な声でローズマリーを見送るトビーにチラと視線を移し、やや悪戯っぽい表情。]
そうして貰った方が好いんじゃないか、本当に。
え?
[ルーサーの問いに、一つ、瞬いて]
あ、えっと……ばーちゃん、どうしてるかなって、思って。
足、痛いの、落ち着いたかなあって。
[気になるなら戻ればいいのだろうけれど。
少しゆっくりしてきなさい、とうのは、他ならぬ祖母の言いつけでもあるため、そうも行かないのが現状なのだが]
おばあさま、ですか。
[よく姉の好きなチョコレートケーキを焼いてきてくれていた姿を思い出し。]
…冬の寒さも体に堪えるでしょうね。後でひざ掛けの良いのでも探してもらっておきましょうか。
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