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[オトフリートの言葉に、
笑顔のままの顔を向けて、首を傾ける。]
だって、えふでって、行けるんでしょう?
[言いながら、腕を真っ直ぐ上に上げて
天井―正しくは、その上を、指差した。]
…あら、えふでのおはなしじゃないかしら?
まちがったかしら?
[さしてから、色々な会話が交錯していたこともあって
違ったらどうしよう、と、少しだけ眉を下げる。]
[どんどんとエスカレートしていく勘違いに、処置ねぇなあ、と傍観していたら、問いを投げられた。
気だるげに視線を上げれば、そこには幼馴染の姿があり]
……飯。
あ、忘れてた。
[絵筆の盗難に気を取られてそれどころではなく。
長の所で出された香草茶を飲んだきりだった]
[その後もいくつか父とともに漁を行って終え。岸に上がり、いつものように魚を紐で繋ぎ。海水通路を歩く。
違う区画から出てきたリディの後姿を声をかける間もなく見送って。泳いで獲るのは結構しんどいぶん元気だなぁ。と思ったりしつつ、家に戻って]
― 海水通路→家 ―
ただいま。今日は結構調子良かったぜ母さん。
[なんて渡しつつ、真水で塩を落としてタオルで拭いたり等などをする。]
は。
しまった、そうだった。
エーリッヒに話が――
[自分で発した言葉に、広場へと再び顔を向ける。
しかし先の出来事を思い出せば直ぐに向かう勇気は出ず、
年下のミハエルの後ろに隠れるようになる辺り、
やはり威厳なんて何処にもないの*だった*]
[咳払いにも困ったように笑うだけだったが]
ああ。
先程、ギュンターさんから聞きました。
…一体、誰がそんなことを。
[話が移れば笑みは消えた。
何だかんだですっかり頭から飛んでいたらしい]
・・・・いや、絵筆の話に間違いはない。
[エルザの指差す先を見上げる目と、応じる声には隠し切れない苦い色が混じる]
行けるかどうかは知らないが、な。
[小さく呟いてから、とぼけた返事を返した絵師を半眼で見据えた]
だから馬鹿だと言うんだ。
この事態の最中に絵師殿が栄養失調で倒れたなんぞという間抜けな展開は御免だぞ。
そうだ。
兄さんは…
[ミリィの言葉に、こちらも思い出して広場を見渡し。
姿を見つけて、そちらに向かおうとして]
…えっと。
どうしたんですか?
[ふと振り返れば、何だか奇妙な動きの薬師に怪訝な顔。
問いに答えはあったか。
理由は何となく察すことができたから、再び苦笑いを浮かべるのだけど]
[『絵筆でいける』。
聞こえたその言葉に、ほんの一瞬表情を苦いものが過ぎったのには、誰か気づいたか。
全てを知るが故に、容易く真理を伝える事は禁忌とされる身故の苦々しさに]
そう言われても、飯どころじゃなかったし。
まあ、大丈夫、大丈夫。
非力でか弱いけど、しぶとさだけは自信あるから、倒れるとかはしないから。
[半眼で向けられる言葉に返すのは、理由がわからなければ冗談や虚勢とも取れる、軽い言葉]
[そして作業も終えたところで休息。
昔。まだ幼い頃はよく酸欠になったり体を拭うのを怠ったり、波や疲労なので風邪を引いたり倒れたりもしていたが、今はそんなこともなく余裕もある。成長したのだんだなぁ。となんとなく思っていればなにやら外が騒がしくて気になる。
父と母もなにやら喋っているが]
んー…なんかあったんかな。…俺ちょっとまた水汲んでくるなー
[なにやら真剣に話している様子だからそれだけ言い置いて、また桶を頭に載せてバランスをとりながら、騒ぎの大きいところ…中央広場をめざして歩き出す]
行けない、の?
[オトフリートの言葉に、
目をぱちぱちと瞬いて首を傾けると、
セルシアンブルーの髪が顔にかかる。]
行けるって、パパからきいたの。
…ばかってゆっちゃ、だめ。
[エーリッヒを睨んでいるように見える彼の
服の裾を掴もうと、手を伸ばしながら頭を横に振る。]
どこがどう大丈夫だ?
倒れなければいいというものじゃない。
[軽い言葉は、毎度の如くばっさり斬って]
ミハエルの悪い見本になってどうする。
[恐らく痛いだろうと思える所も突いておいた]
―広場―
[とりあえず人が多く話し声も聞こえるため立ち止まって聞いてみれば、オトフリートとミリィとに子供が出来た。とか。広間で先ほども…などと聞こえて]
ぁあ…昨日の続きか…またすんげーのが出てるな…
[喧騒はそういう理由か。とか。絵筆のことは想像もせずにそっちか。などと思う]
……それは、そうだけど。
[倒れなければいいという問題じゃない、という言葉。
昔、師父に向けて言ったなぁ、などと考えたのは、軽い現実逃避かも知れない]
……て、痛いところを突付くなぁ。
[悪い見本、の一言には、ただ、苦笑するしかできず]
ああ、いいのいいの。
こいつに馬鹿言われるのは、いつもの事だから。
[幼馴染に手を伸ばすエルザには、その苦笑のままこんな事を言って]
[エルザが手を伸ばしたのには気付かずに、その手が裾を引いてから、はっとしたように顔を見る]
・・・ああ、いや。悪かった。
[子供のようなその表情に、どうにも弱いようで、裾を掴んだ手を軽く叩いて宥める]
[結婚式がどうだとか。ミリィがオトフリートに袋を投げつけていたとか。聞こえ]
なんかすげー大変そうだな…こりゃ
[違う大変な出来事にまだ行き着いていないまま、噂の内容はこれなのだろう。なんて思いつつ、桶を頭に載せたまま泉目指して歩けば]
よっ。エルザ。それに…
[幼馴染や絵師殿や元教師の姿をみて、空いてる手をエルザに振り替えしつつ近づいて]
ども。こんにちは。なんだか大変みたいですね…
[...の言ってる大変はオトフリートとミリィの噂の件である]
……ああ。
[やってきたアーベルに気づいて、軽く手を振り]
まあ、大変といえば、ほんとに大変だねぇ。
[振られた話題が勘違いの方とは思わず、どこか人事めいた口調でこう返す]
そうっすよね。ミハエルの兄さん。もうその噂だらけだし
[周囲を見渡しつつ人事めいた口調にこちらも人事のような口調。
違うらしいのに子供がどうとか結婚式がとかなるとそりゃ大変だ。とかで]
こんなことにまでなるとは…まあ仕方ないのかもしれないけど
[自宅は結構隅なほうにも関わらず昨日の段階で自分の両親まで噂は広まっていたし]
[エーリッヒにいいと言われ
オトフリートが謝るのに、笑顔を向けて
うん、と深く頷いた。]
食べてないのがばかなのなら、
食べれば良いわ?
[両手の平を合わせ、立てた手を口元へと持っていく。]
ああ、大変だな。絵師殿がば…いや、油断していたおかげで、えらい騒ぎだ。
[アーベルの勘違いにはやっぱり気付かずに、こちらも相づちをうつ]
ん。
[何だか自分の名前が聞こえた気がして、軽く首を傾げ。
広場中央に着くと、ここ数日で見かけることの多い面子が揃う]
…こんにちは。
[取り敢えずは挨拶を。
丁度来たらしいアーベルにも同じく。
勿論勘違いの内容に気付けるわけがない]
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