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やめ、て、やめてっ。
[乗り出そうとするクレメンスをぐいっと両手で押して]
なんか、やだ。なんか、怖い。向こう行ったら、ダメ。
[少し息が荒い]
・・・もう、戻ろう?この穴からは、出られないよ・・・。きっと、危険なのよ・・・首、落ちてるんだもん。
今、何かが横切って…
[死]
[咳き込む]
きっと、「あの子」(女の子)の首は、その何かが。
ここからは出られないようだね。
[咳が落ち着き、口元を押さえていた手を離す]
[息を整える。自分のものすごい動機に気付き、胸に手を当てた」
・・・戻ろう?
[手をクレメンスへ差し出そうとして、咳き込む様子に]
風邪も、引いたの?神様の試練って、色々あるのね。
神様はいじわるだからね。
ナターリエの風邪がうつってしまったんだろう。年かな?
[イレーネの言葉を返して、ウインクをした。彼女に手助けされて、立ち上がる。]
温かい飲み物を口にしたいね。
[にっこりと微笑み]
私は、エスプレッソに泡立てたミルクを注いだカプチーノが大好きなんだ。
具合の悪い人が、多い、ね。
クレメンス、熱、ありそう。戻ったらよく休んで。
[咳き込むクレメンスの背中をそっとさする。
クレメンスが向こう側に行こうとしたのは、モノクルが無いせいだと、思った。
それは神の試練とはとても思えなくて。
でもそんなことを、言うのはかわいそうだ。
クレメンスを支え、*屋敷へと歩く*]
[屋敷に近づくにつれて甘い匂いが強くなる。
あの男が放つ、飢えと乾きを満たす事を指し示す、甘い甘い匂いだ。昨晩の食事も、口にしてもロクに味が分からなかった。
年老いた男だというのに。
神様はきっと、哀れな男を贄にするためにシルシを刻んだのだろう。]
[ 腕に寄り添う、自分から見れば、娘のような年頃のイレーネ。
白く柔らかい肌に、ぷっつりと血が円らに浮かぶ光景が白昼夢として過ぎる。]
[昨晩広間で少女に言われた言葉に、僕は何と答えたのだったか。良くは覚えていないから、多分適当に受け流したのだろう。それともその後、あの老人の話を聞いた所為だろうか。]
・・・
[寝覚めは何時も通り、決して良いとは言えず。備え付けられたシャワーを浴びた後、クローゼットから服を出して着替える。白のシャツの上から薄手の炭色の上着を。
サイズも好みにも合って居るのがまた気色悪い。]
[そう言えば、と開けた事のない隣の箪笥に目が行く。何気なく引き出しを一つ開いた。]
・・・・ッ
[中に入っていたものに一瞬絶句。元通りに仕舞うこともせず次々と他の引き出しを開く。
不気味な光を放つ刃、刃、刃。
錆の浮いたもの、刃こぼれ一つ無いもの。大きいものから小さなものまで、殆どの引き出しに入っていて。
『武器を取って殺せ』
老人の言葉が蘇る。]
・・・・・悪趣味な。
[吐き捨てるように呟いた。]
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