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[首を傾けたまま、内に聞こえる声に目を少しだけ見開く。
…そう、クレメンスにしか気がつかれないくらい、自然に。
そしてそっと、心の中で思ってみる。]
…私の声は、届くの?
[傍まで行くと覗き込むように目の前でしゃがんで]
オトフリートさんだ。
お疲れなの?
[ぼんやりしている顔の前で手を振った]
[未だにカウンターでぐだぐだとブラックコーヒーを飲んでいる。]
……そろそろ帰っても大丈夫そうだとは思うんだが、どうだろうな。
拙いか?
[既に15杯目。]
うん。蕾だけだった時もとても綺麗だったよ。
だんだんとほころんでいくんだ。
花が開く瞬間は、僕は見逃してしまったけれど。
そうだね。
来年に、来年の春に来ればきっと見れるんじゃないかな。
[小さく口元で笑んで。]
僕はここが好きなんだ。この樹がとても好きなんだ。
いつも、きているよ。
ああ、もういっぱいだったのかな。
そうだね、あそこはとても良い場所だから。
とてもすごしやすいんだよね。
きっと大変だろうけど。
[くすくすと笑いながら、桜のはなびらを見上げ。]
ーKirschbaum・店内ー
[微笑む]
いえいえ、ただ、お加減が悪いようだと聞いたまでです。先日も少し元気が無い様に見受けましたし。
良くなられたのなら、幸いです。
ん……。
[呼びかけに、うっすらと目を開いて]
ああ……君ですか。
いや、疲れたのではなくて……ちょっと。
体質にあわないものを、とってしまいまして……。
[ちら、とハインリヒに視線を向ける]
ハインリヒさんは相変わらずのようですねえ。甘いものの食べ過ぎで病気になられなければいいのですが。
そだね、また来年……。
ここに流れ着けたなら。
[薄紅が、少し色を強めた気がして。]
なんだかこの樹、君のことが好きな気がするな。
大変?
あぁ……確かにある意味大変な場所かもしんないね。
[くすと笑う。]
−西部・桜−
ああ。
もう、咲いていたんだね。
[とてとてと通りをあるいてきたベアトリーチェは、先客も気にせず、巨きな桜の木の幹に小さなてのひらで触れます。ほのかにあたたかさが感じられる気がしました。]
来年も、ここに来れたら良いね。
君も。
……僕も。
[苗床は小さく笑う。
次いだ水の精の言の葉に、わずか首をかしげる。]
そう、かな?
もしそうなら、ずっとずっと、見ていたからかもしれないね。
ずっとずっと、長いこと。
そう、大変な場所だと思うんだ。
特に、今は。
なんでこんなに、なんだろうね。
[ヒトじゃないヒトの多さについて言っているつもりでも、その言の葉は不足しているだろうか。]
何かが起きそうだね。何か、おおきなものごとが。
何もかわらなければ、良いのにね。
体質にあわないもの。
[首を傾げて]
オトフリートさんも食べすぎたの?
[そこで自分と同列に考えるのはどうだろう]
……つらい、の?
[聞きながらそっと右手を伸ばして頭を撫でようとする。
その手からはふわりと何かが放たれて。
無意識に使った力では、気休め程度にしかならないだろうが]
[注文した特大プリンパフェを目の前にして、スプーンを
突き刺そうというその瞬間。
クレメンスの声が聞こえた。]
……ぐお。
神父サマもこの店の常連だったのか。
[かくんと肩落とし。弱みを握られた気分。]
……神父サマ、これは俺の数少ない楽しみなんだ。
俺、甘い物喰うなと言われたら生きていけない。
[大袈裟な。]
[...は、クレメンスに向けて少しだけ口の両端を上げて微笑みのような形を作った後、店主が運んできた食事に手をつけようとして]
…!
[カウンターで、男が今にも食べようとしている特大のパフェを店主ごしに見て少し驚いた。
そして再び神父に視線を戻した後、手元の食事に目を落として食べ始めた。]
食べすぎじゃありませんよ。
……実は……コーヒーが体質に合わないのを、忘れていまして……。
[にも関わらず、何となくで飲んでしまい、体調を崩して。
無意識の内に、生命の力──彼にとっては、養母にあたる竜王の力を求めて、庭の樹にもたれていたらしい]
……でも、だいぶ、ラクにはなっていますよ?
[感じた力に、ふと、自然な笑みがこぼれる。
均衡を司る影輝の力は、それを崩した身には心地良い]
ーKirschbaum・店内ー
[肩を落としたハインリヒに、笑みを向ける]
常連という程ではありませんが、美味しいコーヒーを飲みたければ、この店が一番ですしね。
いえいえ、甘いものを食べるななどとは一言も。
ただ、少々心配になっただけです。甘いものばかりを食べていたお年寄りが目に白い膜が出来て亡くなったとか、いろいろ悪い噂を聞きますから。
[ふわ、ふわ、舞う。
春の風に、やわらかく。
夜闇の中、薄紅色の欠片。
彼女は、綺麗、と小さく呟いた。
自然が美しいのだと感じるようになったのは、少女の中に在り始めてから]
[しばらくそうしていたのですが、声に顔を向けると、いつだか見たような男の子と、まったく知らない男の人とがいるのが見えました。]
こんばんわ。
[にこっと微笑いながら、ぺこっとお辞儀をしました。]
…………。
さりげなく、脅されている気がしてならないのは気のせいかな?
神父サマ。
[妙に引きつった笑顔。
オーダーしたプリンパフェに手を付ける事すら忘れているように見える。]
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