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[止まった時計は刻を告げない。
火の消えた蝋燭は闇を照らさない。
小さな城の人気のない広間に
かつての栄華は見る影もなく、
食卓の空席や煤けた暖炉が無情を語る。
今はひとり、窓辺に寄せた椅子に座り、絵を描くものが在るばかり。
纏う衣服は寒さに耐えられるとは思えず、膝を立て壁に引っかけた足の先は素のままだった。
硝子の向こうに広がる世界を眼に映し、
無地の紙の上に線を重ね、写し取っていく。
光を採る窓は、風に震えていた。]
――…あれ。
[青年というには高い声が零れ手が止まる。
二の句を次ぐ前に、室内の影の形が変わった。
振り向いた先には、灯りを手にした男の姿があった]
アーヴ。
ねえ、お客さんみたいだよ。
[燭台に移されていく焔。
一つ、また一つと点る度に、陰影が深くなる]
お仲間さん、なのかな?
[問いに答えは返らない。
扉の先に消え行く背を見送り、
彼方へと視線を向けた。]
……血の臭い?
[向けられた言葉に返すのは、薄い笑み。
左の腕には、未だにその色彩を違えようとはせぬ、紅。
その存在など知らぬとでも言いたげな]
もっとも、ここに突っ立っていても意味がなさそうなのは確かだしな。
中に入るという案には賛成だね。
[薄く笑んだまま、言って。
自身を通り過ぎる視線を追うように、背後を振り返る。
目に入るのは、駆ける姿。蒼氷は細まり]
……は。
あちらも御同輩か、それとも……。
[近付いて明らかになったのは、赤と黒の領域を隔てるように立つ黒い門であった。
更には、その手前に佇むふたつの人影。]
[男はハッと立ち止まった。]
よぅ。
あんたは、ここの住人さんかい?
それとも……いつの間にかここにいた、御同輩……かな?
[右手の親指を、肩越しに黒の門へと向け。
立ち止まる男に投げるのは、飄々とした口調の問いかけ]
[額を押さえる様子に、僅かに眉を顰め。
右手を下ろし、左腕、紅の滲む辺りを緩く押さえつつ]
俺は……ハーヴェイ、と。
そう、呼ばれていた。
気がついたら花の中に居て、人がいるかとここまで来た。
……こっちの旦那も、御同輩らしい。
[緋色が造り出す道。それは真っ直ぐ森の外へと繋がっていた。徐々に緋色が疎らになり、頭上を覆っていた深い緑も途切れて行く]
[開けたその先に見えて来たのは森では見かけることの無かった黒。遠目から古びた黒き門を紅紫の瞳で捉え、しばらくその場に立ち尽くしていたが、その前に人が居るのに気付き、身を強張らせる。見知らぬ地で人を見つけたなら安堵しそうなものであるが、警戒の色を見せたのはそれらが全て異性であると見て取れたことにあろう]
[咄嗟に傍の樹の影へと隠れ、門前に居る人物達の様子を探る]
[端的に、自身の事を告げた後。
何気なく、視線を周囲の緋へとめぐらせる。
濃き色に過ぎる思いは、どこか、冥く。
それが何故か……と、思い巡らす内]
……ん。
[遠くない樹の陰。感じるのは、人の気配]
誰か、いるのかよ?
[─誰か、いるのかよ?─]
[再びビクリと身を強張らせた。隠れていると言う負い目がその反応を引き起こす]
………。
[姿を現すかどうか逡巡。その後に樹の影からゆっくり、顔だけを覗かせた]
……女?
[木陰から覗いた顔に、小さく呟く]
その様子だと……どうやら、御同輩の一人……って所かね。
[続いた言葉は、顔を出した少女に向けて、というよりは独り言のよう]
[人影に声をかけるのを、クインジーはただ聞いた]
[藍の男の問いには答えず、次いで視線は樹へと向かう]
[顔を覗かせた女を見た後、扉へと目を戻す]
先に行くぞ
[炎の揺らめきは窓から僅かに零れていた]
[入り口へと近付くと、揺らめく炎の灯りが強くなる]
――邪魔するぜ
[重い戸を引くと、燭台を持つ男の顔が*闇に浮かんでいた*]
……三人居る……。
本当に、何なのよ、ここは。
[茶の男の言葉は聞こえていない。ぽつりと呟いたこちらの言葉も、果たして向こうに聞こえたかどうか]
[こちらのことが知られても、直ぐに彼らの傍へと向かう気は起きず。警戒の色は消えない]
ん……ああ。
[先に行く、という声に返すのは、気のない声。
黒の門を潜る黒を見送り、蒼氷は再び、樹の陰へと向いた]
[少女の呟きは風に散らされたか、少なくともこちらには届かず。
向けられる警戒の色に、軽く肩を竦める]
やれ、やれ。
ここで突っ立ってても埒は開かんかねぇ。
この中に事情通がいる事を期待して行った方が、時間は無駄にならんか。
あ。
[黒の門の奥、扉が開くのが見え思わず声が漏れた。その奥に揺らめく小さな焔。それを持つ者の顔までは見えなかったが、焔の位置的に誰か居るのは見て取れた]
他にも、居るってこと?
あの人達皆、ここの人達なのかしら。
……ここが何なのか、分かるかしら。
[自分が何故この地に居るのか。誰かが連れて来たのだとしたら、何故城があるのに森に置き去りにされていたのか。もしここに連れて来た張本人が居るのだとしたら、問い詰めることが出来るかも知れない]
…よしっ。
[意を決すると、樹の蔭から出て人が居る方へと駆け出した]
ああ。
ここで、突っ立ってるよりはマシだろうよ。
[尋ねる男に頷き、門の内へと踏み込む]
[先に進めば、焔揺れる入り口。
そこに立つのは、先に行った赤髪の男と、燭台を手にした男]
[先に行った赤髪と、燭台の男は何か言葉を交わしていたか。
そちらには特別の興味はなかった。
恐らく、彼が問いを投げていたとしてもそれは自分の問いたい事と、さして変わらぬだろうと思っていたから]
……あんたが、ここの主……か?
[問いに返るのは、自分は『番人』である、との答え]
『番人』……?
ここは、一体何処……いや、なんなんだ?
[微か、苛立ちを交えた問い。
それへの答えはなく、ただ、休息が必要ならば部屋が使える、との説明がなされたのみ]
[二人の背中ごし、揺れる蝋燭の炎に照らし出された男性の顔がぼんやりと、薄闇のなか浮かび上がっているのが見えた。
既に若くもなく、まだ年老いてもいないその顔に、彼は確かに見覚えがあった。]
わ、ちょっと、待って。
[門をくぐって行く者達を追うようにして自分も門の内側へと入る。赤と、青と、茶の髪をした青年達。その先の扉の内側に居るのは燭台を持つ壮年の男性。駆けたことで少し息を上げながら、先に居た青年達の後に並ぶようにし、交わされる言葉を聞く]
[幾つかの問いと答えの応酬。
しかし、得られたのはこの城の設備を使いたければ使えばいい、という事実のみ]
……やれ、やれ。
肝心の事にはだんまり、か……。
[吐き捨てるよな呟き。
苛立ちを帯びた蒼氷が、いつの間にか後ろに続いていた者たちに向けられる]
どうやら、衣食住の心配はないようだぜ。
……それ以外は、話す気がないのか、本当に知らんのか、見当もつかんがね。
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