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[湯浴みを終える頃にはとうに昼餉の時になり。解いた髪もそのままに座敷へ戻るその途上、遠く雷鳴轟けばひたり、足を止め外を見やるか]
―こいつぁ一雨来るな。
[風に乗って紫黒の声が届かば此方も風に言の葉を乗せるか]
まだ決めかねるが―強いて言うなら揺藍かえいかのどちらかだな。
気に掛かると言うなら烏もだが―
[仲間云々と言うのではなく、底が知れないような―言外の意味は伝わったか]
―そちらこそ望みはないのか、妖女。
その中で云うのなら、
空の君だろうか。
まだ時はあるから、
早急に決める必要もなけれども。
誰その望みを聞く事はあれど、
己等の望みを言う事はないよ。
少なくとも、今は。
[空には薄く雲がかり、白き夜になったよう。
ぽつり一粒落ちたれば、それが合図であったよに、雨の帳が下りゆかん。]
[天も地も、その間さえ。全ては白く染まりゆく。]
[さああ……と。
音を立てつ、降る雨に。
慌てつ、鞠と仔うさぎを座敷へと。
しかし、自身は、何か思うよに。
降りしきる、雨の内に立ち尽くす]
〔雨は森にも等しく降り注ぎて、
緑もまた滴に濡らされてゆく。
されども深き色は薄まらず、
ますます闇の中へと没するか。
女は嘆く空を仰ぎて紫黒を瞬かし、
音もなく地へと降り立たむ。
其はまるで黒き蝶が下りたやう。〕
[無我の境地のそのままに、白拍子は舞い踊る。
額に結びし玉の汗が、雨と混じりて散りゆかん。]
[白き衣は雨に濡れ、袖翻るも重くなり。
やがて手に持つ扇すら、しとどに濡れて用なさず。
――はたり、それは落ちようか。]
……ああ、ああ。
我は………
[濡れるに任せ立ち尽くし、琥珀は虚ろに天を見る。
頬を伝う涙は、空の流したものや否や。]
〔白き野から緑の森へと眼差し移せば、
その先に見ゆるは藁葺き屋根の家数件。
濡れる草々踏みて其方へと歩みゆくも、
そこには人の姿はとんと見当たらず、
小さき生き物の雨宿りをするばかり。
壁に立てかけられしは蛇の目傘が一張、
手に取りて天に翳し広げて見てみれば、
滅紫に白き輪が色鮮やかに満ちてゆく。
緩やかな足取りで緑の森から白き野へ、
その先に見ゆるは立ち尽くす白拍子か。〕
[白き野に立つ白にも、緑の森に下りつ黒にも、
庭にて物思いに耽る童にも、雨は等しく降り注ぐ。]
[琥珀はやがて瞼の内に、青く鈍る髪ふると振り。
ふらりふらりと白の影、何処へかと歩み出さん。]
風邪をひいたら、叱られてしまう……?
[滴と共に、零れ落ちるは小さき声]
あたたかくしないと、いけないね。
[呟いて、伏せし紅緋を童子たちへ。
さざめき笑うものたちに手を取られ、湯殿へと。
瑠璃紺の絎紐を解き、白花色の小袖を滑り落とせば。
現れ出でるは、何れでもなき性なき身体。
それを湯に沈めて温めて。
温もり取り戻したなら換えの衣に身を包み。
小さき部屋を童子に求め、鞠と共に*独り眠りに捕らわるるか*]
[昼餉の最中表からさああ、さああと音がすれば粥を啜る手を止めて]
とうとう降ってきたか―
[声の色には外に出ているだろう者達への心配が混じるか]
はてな、どうかなされたかな。
天つ雨に水面が荒ぎにでもなられたか。
[眼差しは白の海に沈む舞扇を捉えるか]
迷い子になってしもうているよ。
[白にけぶる景色の中、紫黒のおなごは目を惹き付けて。
告げられし言の葉に、ややあって琥珀を朱の爪彩る手に向ける。]
…否。
[差し出す手に手を押し当て拒めば、冷えた身体が伝わろう。]
我には…もはや意味なきゆえ。
そなたが御身、冷やすしてはならじ。
[やや遅れて、言の葉付け足さん。]
…なにもない。
水面を鎮めんと…試みんと舞っただけじゃ。
[傘受け取らぬまま、舞扇の傍に腰かがめて掬い上げる。]
……そなたこそ、何故に。
[それは白き野に居ることか。
はたまた、天狗の招きに与りしことか。
琥珀は舞扇に注ぐまま、ぽつりと小さく呟いて。]
其方がなにもないと言うのなら、
此方にもなにもないと同じだね。
心はみえぬものなのだから。
[手は引けども先の言葉には応えず]
来たいと思ったからではないかな。
あるいは、居たくないと思うたがゆえに。
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