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この声、まさか…!!
[悲鳴の聞こえたほうへ顔を向ける。消えた焚き火の傍らに、アーヴァインが、いや、アーヴァインだったモノが倒れている]
ああ、出てきやがった…!!
…アァァァァァァッ!!!!!
[暗闇の中に響き渡ったのは、まるで絞め殺される鴉の様なヒステリックな悲鳴。
その瞬間、明かりが復旧する。
目を見開いて自分の肩を抱いたまま、彼女は早口で他のものには聞き取れぬ言葉を垂れ流す。
ひゅう。
その声が風の音に変わる。
北風が空を裂くような呼吸を、胸を掻き毟るようにして繰り返す。]
停電・・・今の悲鳴・・・男の人?
[見慣れない男が消えた焚き火の傍らを見据え何かを叫んでいる。
ゆっくりと その 方向を みた]
[祈る。シャーロットの正体をしろしめす告示を願って。
突然、灯りが消えた。石は暗闇のなかで僅かに仄白く光ったが、それは清らかなものだった。]
……石は、反応しないよ。
これは人狼の反応じゃない。
それよりも、今、悲鳴が。
[悲鳴だけじゃない。鼻につく、鉄の匂い。]
(どうしておばあちゃんは私をいじめるの?
あのしゃべれない女の人も、はじめて会った男の人もなんであたしを指さしてるの?
あたし、あの人たちにはなんにもしてないのに。
なんであたしをいじめようとするの?
・・・あのおじさんのせいだね。
あの人がへんなことをしなければ、へんなことをさせなければ
あの人さえ居なくなれば・・・)
[その時、室内がふっと暗くなった。
人の身には、それは目を奪う帳だったろう。
だが、狼と呼ばれるそれにとって、人の呼ぶ闇などは何の妨げになるものではなかった。]
[急に灯りが消え、一瞬息を飲む。
この村ではいつものことだ。慣れているはずなのに、口から小さな悲鳴がもれたのは闇に混じって濃い血と獣の匂いがしたからだ。
この停電は、いつもと違う。電気が再び灯った時、...はその直感が、停電迄の議論に浮かされた錯覚ではないことを知った。]
ひっ……。
[吸い込んだままの息が、声にならない。カチカチと、自分の歯が震えた。]
[怪我をした黒髪の女が聞きなれない言葉を発した。焚き火の傍らに人が群がるが、彼女はそちらには向かえない。足が動かない。
自警団員が何人かやってきて焚き火の傍らから人の形をした【何か】を持ち去った。]
[停電の前の、デボラとミッキーの言葉。
二人の言葉が食い違う。]
それは……
[どちらかが、やはり、嘘をついているのか、と思ったときに。
あかりが、落ちた。それは唐突に。]
あ、…ァ……
[目を見開いたまま、手を伸ばす。
その手は海の方角を指したまま震え。
彼女の居た位置からは、アーヴァインの姿は見えていないはず。]
くっ…みんな、見るな!
[叫んだつもりだが、その声はかすれている]
誰か、シーツを。ああ、いい。オレがやる。
[ソファにかかっていたカバーを乱暴に引き剥がして、アーヴァインに被せようとする]
[デボラの声、暗闇の中で告げるミッキーの声。
結果に騒然とする前の一瞬の静寂の間に、悲鳴。
ネリーから渡された包み紙を持ったまま、
悲鳴が聞こえた方向を見つめた。]
…。
[悲鳴が、とか何?とか嫌だ、とか怖いとか
何かそういった事を言ったような気がするが定かでない。
明かりが消えてまた灯ったあと、嗅ぎ慣れない匂いと潮の匂いと、外へ横たわるものとその周りの人々を遠巻きに見ていたように思う]
あの倒れてたのって・・・人?どうしたの・・・?
[彼女は普通に振舞おうとしている。が自分の落としたドーナツを踏んでいることにも気付いていない。]
ミッキー君、デボラさん・・・なんか言った・・・?
[辺りは暗闇だったから
誰も何が起こったか正確に捉えたものは居ないようだけど
どうやら自分はそれを見ていた。
誰が自警団長を殺したのかを]
…でんき。
[久しぶりの、だが子どもの頃から慣れたなんでもないはずの停電だった──が。
イザベラにしがみつきそうになる。
再び灯りが付いた部屋の前にあったのは、アーヴァインの死体だった。]
[運ばれていくアーヴァインに白いカバーを被せる。その無残な姿を正視してしまい、背筋がぞっとした]
…うう…。
[胃液が喉元にこみ上げるのを感じて、動けなくなる。目を閉じても、屍の残像が消えない]
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