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[裕樹が怒るような様子に少し首をかしげながら]
アートさんどうしましたの?
[思い当たる節はないが自分を見てから怒ったような気がしたので気になった]
私何か悪いことしてしまったかしら…?
[七重が裕樹に向ける言葉に、思わず笑いそうになりつつ。
お湯が出る、という報告にわあい、と文字通り飛び上がって喜んだ]
これで水しか出ない、とかだったらさすがに辛かったもんねっ。
……綾様は……わかんない。
あたしがかなたんと一緒に倉庫行って、戻ってきた時にはもういなかったんだ。
[綾野の事を問われれば、こう返すしかなくて]
どこ、行っちゃったんだろね。
五月蝿い。
お前が男だったら今すぐその服剥いで捨ててやるのに…。
[かなり、恨みのこもった低い声で七重にぼそりと呟いて。
涼からきょとんと邪気なく尋ねられると、やや苦い顔のまま。]
…お前じゃねぇから。
ナタリーの格好が気に食わねぇだけだ。
[と端的に言った。理由とかは言わない。]
…管理人は、俺らが戻った時にはもう居なかった。
[綾野の所在は、ぶっきらぼうに言っておいた。]
[そうして、今度は帰ってきた涼をジィィッと見ていたが、]
………………主に胸元がエロいね。
[ぽつりと、ある種トンデモナイことを呟いた。]
頑張れ、二人とも。
[倉庫まで行かないうちに足を止め、人の気配を探る]
また随分と扇情的な格好になったね、赤猫。
[囁きは表でエロいと言われたのと同時だっただろうか]
アートたん鬼畜ー!
けーだーもーのー!!
[裕樹に低い声で、服を剥いで〜、などと言われると、騒ぎを広げるように大袈裟に言い、両手で自分の身体を抱える。
一応、冗談で言っては居るが。
綾野の行方は他の人に聞いても、誰も知らないようで]
えー、そうなの?
綾姉どこ行ったんだろ…。
そう言えば何か進展あったのかな。
[パソコンに向かっていた綾野を思い出し、モニターに近付く。
最初見たシステムメッセージがまだあるのだろうか、と考えながらモニターに視線をやり、ぴたりとその動きが止まった。
モニターに表示される文章を見て、表情が消える]
あ、綾野さんは……うん、ときさんやアートさんの言った通り
帰ってきたらもう……。
えっと、部屋にいた人は何か知らない、のかな?
[こてしと首を傾げると、誰となくそう問いかけた。]
嘘、だよね、誰かの、冗談、でしょ…?
[モニターに書かれていた文字。
普段よく見る、LiGでの襲撃メッセージ。
そこに書かれていた名前は──綾野。
困惑と不安を胸に抱きながら、行きすがら手当たり次第に扉を開け、その中を確認する。
誰も居ないと知ると、扉を開け放したままに次の扉へと]
綾姉!どこ!?
居るなら返事して!!
[廊下に戻ったなら駆けながらそう呼びかけて。
返答が無いことにますます不安を募らせる]
やかましい、けだもので鬼畜はそっちだろうがよ。
[無理矢理人の服半分剥ぎ取ってスカートまではかせた奴がそれをいうか!
と、七重に言いたくなったが我慢した。
スカートはいたとか知らない奴にまで知られるのは恥でしかない。
綾野に関しては知らぬまま。
七重が画面に移動する様子は憮然とした顔で眺めていたが。]
…どうし
[た、と言い切る前に、七重が急に血相変えて部屋を飛び出したのを見て、自分も画面を見る。]
………………っ、これは。
[始まりの合図がそこにあった。]
もうっ!
レンとHALのエッチっ!
[とがめるようなコエは恥ずかしさの方がまだ少し勝っていただろうか]
べ、別に特別な意味があったわけじゃないのっ!
─ →資材置き場─
…綾姉……どこ行ったのよぉ…。
[探しても探しても見つからない綾野。
泣きそうな声になりながらも呼びかけ続け、辿り着いたのは以前に一度来た資材置き場。
扉を開け、薄暗い中で目を凝らす]
綾姉!居たら返事し……っ!?
[呼びかけを口にし、言い終わろうとした時だった。
薄暗さに慣れ始めた目が影を捉える。
最初は誰なのか判別出来なかった。
ただそこに誰かが居ると言う気配を感じただけ。
けれど、それは動く気配を見せず、じっと壁際に座り込んでいる]
……綾、姉?
それとも、別の、人?
[その影は自分の声にも反応しない。
言い知れぬ不安が過り、息を飲むように喉を鳴らすと、ゆっくりとその傍へと近付いて行った]
いいじゃないか。
似合うよ。
[クツクツとした笑いは、やがて抑えきれない嗤いゴエに]
アッハハハハ!
悪いね二人とも、今回は俺の勝ちみたいだ!
[人間ではありえないスピードで、殆ど音も立てずに走り出す]
[七重のただならない様子にそれらのことも忘れて自分もPCにかけよる。
そこには見慣れたLiGのシステムメッセージ、七重の飛び出した廊下の方に視線を向けて]
綾野さんいらっしゃらないんでしたっけ?
皆で探した方がいいかしら?
―PC部屋→廊下―
…探してくる。
[涼に同意するかのように、自分も七重の後を追い部屋を出た。
七重の声が遠くからあちこちに反響する。
何処を探そうか迷いながら、まだ開いていない扉を開け中を覗くが、人影はない。]
…まさかな。
[呟き、無意識に手は携帯へと伸びる。
歩き探しながら、携帯の画面を覗くと、そこには。]
…………………。
[書かれてあった文章に、一瞬安堵し、次にそれ以上に不安が押し寄せてきた。]
つまり…やっぱりリアル人狼って事か、よ。
[携帯を握り締めたまま、ぎりと歯を食いしばった。]
[似合うといわれれば逆に嫌な感じはしなかった]
そ、そうかな?
でもあまりじろじろ見られて言われると…恥ずかしい…。
[怒る様子は完全になくなり恥らうようなコエ、
続いた言葉には]
あっ、レンに先こされちゃったね残念。
[その言葉さほど残念そうではなく、恥じらいとかうれしさとかいろいろ混じって複雑なものになっていた]
―廊下―
[虫食いなどもなさそうだった。
持ちやすいように畳み直した毛布を抱えて廊下に出た]
何かあったのか?
[七重の声が聞こえてきて首を傾げた。
それが綾野を呼ぶ声だと気づいて、表情を引き締めた。
手は塞がったまま足早に廊下を進む]
つまりは…………先を越された、ってことだね。
あーあ、レンさん巧かったからなぁ。
次こそは、ボクが獲物をゲットさせてもらうんだからね!
[びしぃと宣言。]
あ、ちなみに赤猫さん。
それって流行りの『つんでれ』ってやつですか?
[首こてしと傾けて、赤猫に問う。さっきの宣言台無しである。]
[こつり] [こつり]
[自分の足音が部屋に響く。
一歩進むごとに影は形をはっきりとさせて行き。
やがて投げ出された様な手足が目に映る。
更に近付けばその影はスカートを穿いていることに気付く。
薄暗いために色までははっきりとしない。
壁際に座り込む影の足元まで近付くと、輪郭ははっきりと目に映った]
…綾姉?
何、してるの?
ねぇ、綾姉ってば……。
[それは紛れもなく綾野だった。
しかし声に反応は無く、俯くような形で座り込んだまま。
何やら妙に嗅ぎ慣れた匂いもする。
それは嫌な予感を掻き立てるもの。
けれど、眠っているだけかも知れないと思い、綾野の肩に手をかけて揺すってみた]
[揺らした綾野の身体が重力のままに床に倒れ込んだ。
力無く横たわるその姿に身体が強張る]
あや、ねぇ?
[再びの呼びかけにも反応は無い。
壁に手を付き綾野を覗き込もうとして、異変に気付く。
手にべったりと何かが付着している。
壁についた手と、綾野の肩を揺すった手の両方にそれは付いていた]
あ、ああ、いやぁ、うそ、でしょ…?
[色は分からない、けれど匂いでそれと判る。
───血だった]
い、や……綾姉ええええええええええええええ!!!
[悲痛な叫びが部屋を支配する。
扉は開け放たれたままであるため、廊下にも響いていたことだろう。
綾野は首を掻き切られ、胸にも穿たれた穴があった。
人の手腕では為し得ぬ痕が──]
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