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…………終わる筈がない。
私がいるんだから。
[呟きを拾うものはもういない。一人ただ広い世界で呟いた。
万一の『ある』をほんの少しだけ期待したが。
『ある』は、やはりありえない。]
―集会場・広間―
ああ、終わらないらしいね。
…運ぶなら手伝うよ。
[自分が殺した相手と思えば、躊躇が無かったとは言わない。
けれど腹を括ったかのように遺体を抱く司書へと声を掛けた。
反応はどうだっただろうか。肯定が返れば希望される場所へと運ぶなり、この場で包めるような何かを取りに行くなり。
否定されるなら大人しく引き下がるだろう。
罵倒されても、少し顔を背けるだけだ]
─集会場・広間─
……まあ、悠長かもしれません、けどね。
[困った風に告げられる言葉に、浮かべるのは苦笑。
軽めの口調とは裏腹、額には冷たい汗が浮かんでいる]
……ともあれ、治療をお願いします。
どうなるにせよ、これ以上腕を痛めたら、各方面にお叱りをいただきますから。
[動く右手で汗を拭いながら、こう言って。
医療室で手当てを受けたなら、さすがに大人しく個室に引っ込むだろう。
夜が明けたら、一度はノブと話そう、と。
そう、心の内で定めながら**]
─翌朝 / 集会場・広間─
[夜が明けて、最初に向かったのは、広間。
ノブを最後に見たのは、その場所だったから]
……ん?
[広間に近づくにつれ、感じる違和感──血の臭い。
確かに、広間は連日流血の場となってはいるが。
昨夜のそれが残っているにしては、濃いような気がして──]
……まさか……?
[誰かが、と。零れる呟き。自然、足は速まる。
広間の戸を開けて駆け込み、最初に目に入ったのは、ひび割れたモニター。
それから]
……ノブ……くん?
[モニターの下。一見すると、座り込んでいるようにも見える、影。
それが彼と気づいたのは、近くに朱を帯びて砕けた眼鏡が落ちていたから]
…………。
[ゆっくりと近づく。血の臭いが濃い。その源は、青年の額に穿たれた穴。
それを穿ったものは、モニターに突き刺さり、それを沈黙させていた]
……額を一撃……ですか。
[冷静な呟きと共に、突き刺さる銃弾を見る。
銃器の知識は乏しいが、連日目の当たりにしているせいか、思う所は──なくも、ない]
……父上。
正しい選択をできなかったら……すみません。
[不意に零れた呟きは、いささか唐突なもの。
けれど、瞳に宿る光は真摯。
しばし、その場に佇んだ後、近くに落ちていた毛布をノブの亡骸に掛けて瞑目する。
誰かがやって来たなら、冷静な様子で、見たままの状況を説明するだろう**]
─集会場・広間─
…あっちもだけどな。
[マイルズの発言>>13が聞こえると低く呟いた。
死にたがっているとまでは見えないが、何かが足りないようなそんな気分になって]
お願いだからさ。
司書さんが…原因だってんじゃないなら、そんな今にも死にそうな顔しないでくれよ。
[絶望に彩られた顔を見て、苦く呟くように言う。
サイキッカーとは何故だか言えず、その部分は言葉を濁した]
俺だってできるなら犠牲は減らしたい。
…死ぬ奴は少ない方がいいに、決まってんだから…。
[直接の死因ではなくとも、殺そうとして死んだ作家。
恐怖が引き金となって殺した友人。
その顔が浮かんできて強く目を*瞑った*]
─集会場・広間→治療室─
本当ですよ…!
演奏会、皆様楽しみにしていらっしゃってたのに…。
[この傷の深さでは、一週間で完治はしないかもしれない。
ほんの少しだけ怒ってから、だが主の顔をみればなるべく急いで治療室へと向かおうと広間を出た。
出る間際一瞬だけ振り返り、死んだ者、彼女を運ぼうとする人達、主を撃った人を確認するように見。
治療室にたどり着けば、昨日と同じように肩口を消毒し、少し強めに布で巻いた。]
縫うほどではないと思いますが…熱が出るかもしれませんね。
化膿止めも飲んでおいて下さいませ。
その前に何か口にしていただかないといけませんが。
[食欲はあまりないだろうが、薬だけ飲むのは逆効果だ。
主をそこに残したまま一度広間に戻る。そこはまだ混迷していただろうか。
居る人らには何も告げず何も見ず、隅のほうに置かれっぱなしの袋を漁りパンとパックの飲料を見つけるとそれを手にして再び戻った。
一口だけでも食べるように促し、終えれば水と薬を渡してそれも飲ませた。]
―集会場・治療室→広間―
[そうして一通り治療の世話を終えれば、主が使っている部屋まで送り届ける。]
今日はゆっくりお休み下さいませね…。
私は……ジョエルさんが居る部屋にいますので、なにかあったらそこに。
[自身は個室は取っておらず。
主の目印に何処に控えようか迷って、結局見分けのつきやすいだろうそこにした。けれど部屋には戻る事はなく。
暫く外に控え立ったままで、主の音を含め周囲の音を探る。
物音が立たなくなってきた頃合を見計らい、広間へと向かった。
広間には、主を二度続けて撃った人が居た。]
[運んだアヤメの元へはついて行かなかったのか、それとも戻ってきたのか。
暫くの囁きの後
パンッという音と、人が崩れ落ちる音がした。]
[とすと隣に立つと、向こうはこちらに気づいて見た。]
………ノブさん。
[好ましいと思える人だった。
修理を手伝ってくれた、優しい人だったけれど。
この人は、大切な物を傷つけた。]
――――お休みなさい。
[それは、あの時花に向けた言葉と同じもの。
優しい言葉とは裏腹に、片側の瞳は酷く冷たかった。
パンッと、乾いた音一発。銃弾は額を突き抜けモニターに刺さり、ばしゅんと音がし灯りは消える。
室内だった為、パトラッシュの時のように何発も打ち込むことはしなかった。
ノブが崩れ落ちるのを確認すると、まっすぐに同僚の眠る部屋へと向かった。]
[椅子に腰掛けると、なんだかすごく疲れてしまった。]
………は、ぁ。ぁは…。
[零れる笑みは、主の敵を殺せた満足感からくるものか。]
―集会場・個室―
[広間を出てジョエルが眠る部屋へと向かうと、銃を手にしたまま空いた椅子に腰掛ける。
すこし疲れた様子でぎしりと深く腰掛けて、手にした銃を自らの額に当てた。
目を閉じ、そのまま引き金を引こうと。
したが指は動かない。
頭の中で『Verbot』の文字が走り、アラートが鳴っていた。]
[目を開け銃を降ろせば、アラート音は消えてゆく。
やっぱりというような表情で、微かに息を付いた。]
………ズューネには死ぬ自由もない。
死ねないのなら、生きるしかない。
[手にした銃はホルターにしまい、再び目を閉じ身体を休めた。]
─昨夜/集会場・個室─
[やることがなくなると、兄の持ち物から銃の取り扱い説明書を引っ張り出して読んだ。
兄がやっていたのを思い出しながら、説明書を確認しいしい整備らしきことをやってみる。
いつもと勝手の違う作業は楽ではなかった]
あ、ふ。
[欠伸が出る。
ずっと警戒し続けることなんて出来ないから、と眼を閉じた。
考えた以上に深い眠りとなった]
─翌朝/集会場・広間─
[目が覚めても暫くは動かなかった。
誰かがみればぼんやりとしているようにも、考え事をしているようにも見えたことだろう。
ようやく動き出したのは腹から小さな音が鳴ってからだった]
あー。そういや昨日もマトモに食ってないもんな。
こんな時でも腹って減るんだな…。
[持ち込まれた食料については知らず、ただ書置きのようなものを残すなら広間だろうと思って覗いた。
食事の前に、することが増えてしまった]
…どうしたんだ、モニター。
[頭まで覆うように掛けられた毛布は人の形に膨らんでいる。
理解はできてもつい逃げるような発言が先になった]
─翌朝/集会場・広間─
……そうか。
[伶人の説明を一通り聞き、毛布は捲らずモニターへと近寄った]
ここまでの威力。
扱うにも楽な銃じゃないはずだ。
[虹彩が縦に切れた瞳でじっと睨む。
同じ弾頭かまでは分からないが、兄に残されていたのもまた高威力な銃特有の弾痕だった]
……マイルズ。
お前の銃、見せてくれ。
[配給品以外も調達できる状況では確証とはなり得ない。
それでも確認するために伶人を見て*言った*]
─回想・昨夜 集会場・広間─
─…そうね、何、やってるのかしらね…
[マイルズを撃った銃をみて、レッグからエネルギー切れを指摘されると、弱々しげに微笑み。
アヤメを抱きかかえたまま動けない自分に声をかけてくれたのも、レッグだった。]
レッグ、くん。
…ありがとう、─…お願いして良い?
[彼がアヤメを撃ったことは知らないが、躊躇いをみせるその表情に罪悪感を感じながらも手伝いを頼み。
空いている個室のベッドまで運ぼうと。]
─回想・昨夜 集会場・広間─
……そう、ね…ダメね、私。
皆、同じよね…。死んで欲しく、ないわよね…。
[無機質な音声が伝える無慈悲な事実に青褪めれば、レッグから苦い呟きが向けられて。
その言葉に、目を伏せて涙を堪え、頷いた。
もう誰も殺したくなくて、わざとエネルギーを補充しなかった自分を責められているような、そんな気がして。]
―集会場・個室―
[目を開けると時はどれくらい過ぎていたか。
視界にまず同僚の死体が目に入り、片方の目がゆっくり瞬く。
空調の風にでも流されたのか、同僚の前髪はすこし乱れていた。それを手を触れずに直した。
触れるのは、少し怖かった。]
…死体なんて、見慣れたはずなのにね。
[誰かの死を特別に悼むのは初めてかしら、などとぼんやり思っていた。
それから、広間へは行かずに外へ出る。]
(もう、あんな……やめ…よ…)
[『私』が、自らに銃を向けたことを途切れがちに責めた。存在が希薄になっていくのは、自分の中に彼女が深く溶けてきたからだ。]
……いいじゃない、べつに。
撃てないのは始めから分かりきっていたことだわ。
[それでもまだ煩く騒ぐ声から逃れようと、息苦しい場所から広い場所へと逃げた。]
―集会場外―
[死が満ちた静かな世界。
死体が作るオブジェは光と影をつくり地に佇み、鉄錆びと甘い肉の臭いが漂う静かな世界。
その光景を懐かしいと思いながら見ていた。
消された過去の大半は、PSIと一緒に戻ってきて。
自分が何をして罪人となったのか、今は大体思い出した。]
…この世の悪魔に鉄槌を。
我らは正義の剣となりて、
御エゥアハの名の元に、
築きあげよ、聖なる道を。大義の為の礎は、
やがて楽園への道とならん…
[歌うように呟けば、口元には普段からは似つかわしくない皮肉な笑みが浮かぶ。
そうやって作り上げたものは、聖なる道などでは無かった。
それに気付いたのはあまりに遅すぎたけれど。]
―回想・昨夜 集会場・広間―
[レッグともしも手伝ってくれるならノブの手も借りてアヤメをベッドまで運び。
二人が広間へ戻るなら自分がアヤメの元に残り朝までついて。
ノブが残るというなら二人のみにしてあげようと退室するが、広間に戻る気になれず、廊下の途中で座り込むとそのまま*眠りこけた*]
―回想・了―
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