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……落ち着け。
[拳を握り締める若竜に、小さく呟いて]
……俺が、ですか。
何故、そう思います?
[それから、ミハエルの問いに、静かに問いを投げ返す]
[雷と、光と、水と、命が失われ。
他に、対の残りし者は?]
「……地と、風。」
[それは短けれども、
自分でもぞっとする程に冷えた声]
…あの歪みは、書を封じていた、封護結界のものだと言ったな。
結界の力が書を取り戻そうとして動くものだと。
そうであれば、書を求めて、力を求めて動くのだろう。
竜の封印を解けば、巨きな力が動く。封護結界を、誘導する事が、刺激する事が出来るだろうな。
[火竜に相対するかのような、抑える風もない静かな怒りを言葉に乗せて]
[今の感覚をどう伝えたらいいのかと。
悩んでいる所にミハエルの声が響いた]
”歪み”を引き寄せた?
[ぐるぐる。
取り乱しはしないものの、疑問で頭が混乱しそうになっている]
[大きな歪みが今回飲み込んだのは]
……今度は、アーベルさんとイレーネさん?
!? くっ……
[突如襲う激しい頭痛にその場に*膝をついた*]
[...はそっとティルの手を離した]
はな、大丈夫か?巻き込まれなかったか?
[そっと呼びかけると、三つ花の蝶が二人の周りをひらひらひらり]
ナターリエさん!?
[握られていた手を強く下に引かれ、慌てて支えようとする。
力が足りずに一緒に座り込むような形になったけれど。
今度は意識的に力を流してみながら、視線はミハエルとオトフリートの方に再び向いて]
ああ、確かに。
俺が知る知識では、そうなっている。
論理的にもそれで間違いはないだろうが。
[静かなままに、投げられた言葉を肯定した後。
一つ、息を吐いて]
それは、つまり。
俺が同族を見捨てれば、誰も失われなかったのだと。
そう言いたい……と、解釈していいのかな?
もう一つ付け加えるなら、俺自身の刻印は解いてはいない。
解いていたなら、右目を失い、今頃はありえない形の龍がここにいる。
[返す言葉は、静かで。
氷精に向けられる紫と翠の眸には、僅か、哀しみらしきものも浮かんでいたか]
−Kirschbaum・一階−
[小さな肩に、ショールがかけられます。影輝の王であるハーヴェイは、力のうねりを感じ取ったことでしょうか。ベアトリーチェが睡りに落ちる間際、そのからだからなにが離れていったことも。もっとも、それはすぐに紛れてしまったのですけれども。
残された今のこどもは、まるで空っぽの器のようでした。]
[風の子の手は離れ、苗床は大丈夫だよ、というように微笑み。
左の瞳の金の亀裂は、消えることはないのだけれど。]
はなは、僕の中にあるから。
どこへゆくも一緒だ。
……あ、ケイ。
[まだ戻していなかった茎を呼べば、それは苗床の身体に引き寄せられ、勝手に中に入るだろうか。]
[遠くから耳に入り、通り過ぎていく言葉たち。
けれど、掠めた名前の一つに顔を上げる。
その頬に涙の痕はない。片頬に千花の舐めた痕が薄く残るのみ]
…オト、が?
竜の、封印を…解く?
[アマンダはその時いなかったから、均衡の保たれた影輝の王の下にいたから、判らない。
わかっているのは――]
……オト、あの時、どうして――遺跡に居た、の。
何かしてた、よね?
・・
未だ、何も起こって、なかったよ…ね?
[声は硬質でひび割れたよう。届いたかどうかはわからない]
あのね、あのね。
イレーネは書を持っていなかったの。
ううん、書に多分触れてもいなかったんだと思うの。
だって。
混沌の気配なんかなかったんだもの。
消えていったのは、純粋な、生命の気配。
[だからあの力は書に引き寄せられて動いたのではないと。
そう言おうとして戸惑った。
ミハエルが言ったのは、大きな力ならば全てということか?]
精霊は和を重んずるもの。
対となるものは、それ自体が和を為すもの。お前などから見れば個々の精霊など些細なマテリアルかも知れないが。
対を侵されたという事は、自身の領域を侵されたという事に等しい屈辱だ。
お前が同族を、助けようとするのと同じことなのだろう。
そのどちらに重きを置くかといえば私は私の視点からしか物を言う事が出来ない。
[アマンダの言葉を、聞いて]
もしお前があれを損なったのであれば、私はお前を容易く赦す事は出来ない。
[時の竜を見やる
その目には困惑の色もあったか。]
虚の世界にしたくないといった時の竜は、
僕にとっては疑うことなどできない。
[かれの言の葉には、それを信じさせるだけの力があったから。
それを信じさせるだけのこころがあったから。]
守りたいものが、大切なものが。
何よりもやりたいことがあるだろうに
それを自ら壊すまねなどせぬだろう
「……揺らいでは、ならない。」
[後戻りは出来ないのだと、言い聞かせる。
ふっと、彼女はその場から失せて、少女の元に]
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