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[向けられた笑顔を肯定の意と取り、ぎこちない笑みを作り]
……逃げ……たい……?
からだ、おかしい時には、お薬……飲むよ?
……施療院の先生、くれた。
ずっと、忘れてれば……全部、なかった、ことに、なる?
……婆様のことも、リディアさんの、ことも、忘れる?
嫌なことと、楽しいこと、一緒に、忘れる?
[うぅ、と小さく呻き、悩んでいる]
AIRANAC...
[ひかりの鳥を、喚んだ。
主の心情を反映してか、
常よりも頼りなく鳥は舞う。
淡い金を映す眼が、ゆらゆらと、揺れた]
…やだよ、だって辛かったし。
やっと動けるようになったのに。
アンタの力には、触れたくないんだ。
[言って、にやりと笑うと。
バサリ、翼を強く打って高く飛び上がろうと。]
それなら尚更、食らわせてやろうかねっ!
[言いつつ、四翼で大気を打つ。
とはいえ、長く封じてきた翼を思うように動かすのは難しい。
本気で飛ばれれば──抑えるのは難しいかと。
そこには容易く、判断が至り]
……ラウル!
[手に深紫の力を集めつつ、相棒を飛び立たせる。
真白のサエーナ鳥は、高く飛んで頭上を押さえようと]
上空からでは、見つからない。飛ばないでどこかに潜んでいるのかな。
……ああ。疾風は賢いから……主人の匂いなら追えるかもしれないね。私からも頼む、疾風。
[と、こちらも真面目な顔で疾風に頼み込んだ]
[ノックの音もせず、扉は開いて。
眼を合わさぬよう、その扉から視線を逸らした。
それでも、声も、哂いも耳に入る]
…誰かさんのおかげでね。
[拒むように、返す言葉は短い]
[ 呻き悩んでいる姿を見て頭を撫でようと、
左目を隠していた手を離した。]
………そうですね、身体の病気はお薬で治ります。
忘れたければ、忘れればいいでしょうね。
何度も言いますがオーフェンがいいなら、それで。
忘れたいなら、お手伝いしますが。
どうしましょうか?
それでオーフェンが楽しいなら。
[ 左目にはほんの少し闇が差していた。]
そんなに嫌なことでもあったか?
[おかしそうに言って、まったく気にもせずにそばへと。
見下ろすのは狐の面。]
女に振られた、くらいじゃこうはなるまい。
全部、忘れてしまえば、いい――
嫌なこと、いらないこと、全部壊して……また作り直せば、いい?
[悩み果て、やがて深紅の双眸は、光を失う]
苦しみのない、世界……
苦しみを消す、世界……
……あはは、結界樹と、一緒、だね……
[ロザリーの離された手から覗く左目を見つめ、口元に歪んだ笑みを浮かべた]
[疾風は円らな瞳でカレンを見返す。
褒められたのが判ったか、尻尾が少し揺れていた。]
やはりそう思うか。
疾風、お前が頼りだ………行くぞ。
[疾風を片手で抱き、カレンに視線を投げて羽ばたく。
その手の血と薬の匂いに疾風は小さく鳴いたが、翼が生んだ風に驚いた様に鼻を上げた。
島全体を旋回し、闇の翼の生んだ風の匂いを探す。
ある方向で一声、怯える様な大きな鳴き声が上がった。]
………あちらか。
[紫紺を大きく広げ、空を滑る。]
[舌打ちをして、頭上に来た鳥を手で掴もうと手を伸ばす。
掴んでも、それは握りつぶす事はなく。
アヤメが下から追うには、更に翼で空を叩いて高く飛ぼうと]
[ 歪んだ笑みに冷笑で答える。]
全てのものは表裏一体。
破壊のための創造なのか。
創造のための破壊なのか。
真理は何処にあるのか分かりませんが。
別に真理など必要はないのです。
人の数だけ真理があると私は思っていますので。
嗚呼、でも結界樹と一緒ですね。
結界樹の中、気になりますか?
[ 大きく羽根を広げた。]
[無自覚で少しでも距離を取ろうとするかのように、膝を胸元まで引き寄せる]
…それを、アンタに言ってどうなる。
振られたと言えば、慰めてでもくれんの?
[何か、思い出したかのように唇を噛んで、血の味に顔を顰める。
誤魔化すように、また瓶に口を付けた]
[伸ばされる手、それを避けなかったか避けそこなったか、真白はそこに捕らわれて。
哀しげな声でくるる、と鳴く]
……いかせないっ!
[更に飛ぼうとする漆黒の翼。
それを逃すまい、と翼を繰りつつ。
手に集めた紫星の煌めきの縄を投げる]
……ああ。怪我をしているんだな。
[飛び立つ少し前、疾風を撫でるスティーヴの手に血のにじんだ布が巻かれているのを見て]
……少し、痛みをとる程度だけれど。
[スティーヴの手に、それよりは随分と小さな手を重ねるとすうと息を吸い込み、意識を集中した。わずかな銀の光と共に、傷を小さくし、痛みを和らげる]
ん、行こう。
[飛び立つ。スティーヴに遅れないように、精一杯速度を合わせながら、夜風に淡い銀の翼を躍らせた]
[拡げられた羽根に目を奪われながら、横に首を振る]
……ううん、気には、ならない
きっと、望む世界が、違うから……
僕の、見たい世界は、あそこには、ないから……
[飛び上がった足首に、紫の煌きが絡まるとそこに周りを取り巻く闇が吸い込まれるようにぞわりと動き。
体は傾いで肩から地面へと落ちた。]
っつっ…!
[肩の痛みか足首の縄か。
どちらにかは定かで無いが、落ちた地で体を捻って呻いた。]
……?
どうか、した?
[常に“繋がっている”わけではない。
ゆえに、感覚は同じではなく。
数度瞬いた後、ゆるりと立ち上がった]
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