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何だ?
何かあるのか?
[二匹のふわもこが鳴く様子に、手をポケットに突っ込む。手に当たるのは硬い塊。先程ベッドの上で見つけた例の物体だ。ポケットに入れたままあれこれ触ってみるが、反応する気配は無い]
んー?
別に何も無いけどなぁ…。
[黒き物体が齎す波動は微々たるもので。今はまだ眠っていると言う事がふわもこ達には分かるだろう]
だよなぁ。俺も見たことない。
まあ近づいても逃げんかったし野生じゃなさそうだ
[鳥や毛玉については同じような感想を抱いていたためあっさり幸貴の言い分を信じつつ、解放してもらえば、肩を回したりして具合を確かめつつ]
ん…?あ、人がいた
[幸貴につられるようにしつつ。声も聞こえたのもあって見上げればそこには人。
年代は近いようだからこの人―璃佳からの話でミックんとしか聞いてないため名前は懸命にもいわなかった。]
[デッキシューズの底が石段の一番上を踏むと、そこに見えるのは人影二つと]
───?
[なにやら、ぴーとかきゅーとかまるでぬいぐるみを踏みつぶした時のような鳴き声と]
……縫ぐるみ?
[思わず自分が音声にしてしまったのを実は気づいていなかったりするのだが]
……ん……。
[目覚めと同時に開く、意識の接触]
や、どーも。
どうやら、撒き餌の効果はあったようで。
って、どーかしたのか?
[何やら怪訝に思っているよな気配に、疑問を意識に乗せる。
ふわもこたちは顔を見合わせ、勝手に何やら納得しているらしい]
[見上げた場所に居た人物に視線こそ向けるが、何を言うでもなく。僅か瞳を細めるも、直ぐに視線は元へと戻された]
ここに居るってことは、この神社で飼われてるんじゃないの?
[恭也にそう返しつつ。不意に聞こえた別の声。視線を向けると先日差し入れを持ってきてくれた男子]
ん、集まり始めたかな。
[ミックん、とか言われたら、多分、飛び降り様に蹴りがいったんじゃなかろうか。
そんな物騒な予測はさておき。
枝の上で腕を上に伸ばし、それから、一段下の枝へ、滑るよに降りて腰掛ける。
それだけで、姿は大分捉えやすくなるだろう。
背後にぼんやりと浮かぶ、幻のような五色の翼も含め]
やほ。
そっちの撒き餌が広く散布されたみたいだね。
[表で声をかけない代わりにこちらで返して]
いや、アタシにも良く分かんないと言うか…。
何か、いつの間にかアタシの手元に黒い物体があってね。
この子らがそれに反応してるみたいなんだ。
[顔を見合わせているふわもこ達を示して首を捻った]
そう思う。もしくは近くかなんだろうけど
[なんて気のない返事を幸貴に返す。なにせこの二匹の飼い主とかは脇においていい問題だとか。まだ関係あると思っていないためそう思いつつ。新たに来た人間に軽く目を向けた後]
あー。すみませんが、璃佳から聞いて話を聞きに来たんですが…
[ミックん先輩でもやっぱりまずいだろう。なんて葛藤を抱きつつも、慣れたような不可思議な光景に言葉を止める]
―自宅―
[従妹の電話を借りるという言葉には、二つ返事で了承した。
これもやはりいつもの事で、別にさしたる問題では無いから。
次々に電話を掛ける様子(しかし色々突っ込まれているみたいだった。まぁあの説明では仕方が無いと思う。)を傍目に空いたグラスたちを片付けて。
全てを食器棚に戻す頃には、気付けば従妹は疲れきったのかソファで転寝しているようだった。
まぁ、仕方ないだろう。朝から炎天下を出かけていたのだし。
時間まで寝かせておけば良いか、と暫くそっとしておくことに決めた後、僅かに目を細めた。]
…神社、ね。
[彼女の様子からして、連絡しているその中には
無論自分の友人達も含まれている筈で。
何処か思案気に、ゆるりと首を傾ぐ。]
―神社・石段―
あっれー、ヒビキんだ。
アズマんの付き合いできたんかな。ホンマ仲良しさんやね。
[アズマが来てない上、来た理由が赤ヒヨコなんて知りません。
友情って熱いなーなんて感想呟きながら、石段を登っていき]
あ、ミックん。やっほー、来たでー!
[石段てっぺんから遠目の樹上に見えた姿に、いつもの調子で手を振った。
飛び蹴りなんて知らんし、翼は背後の葉っぱでよく見えてないです]
[ゆるく頭を振った後、そしてもう一度腕に巻きついてる蒼龍を見る。
蒼龍はしっかり健在だ。
だから眼科いこう。もしくは精神科医でも。なんて本の少し思ったり]
ま、予想通りというか何と言うか、だが。
……しかし、説明が面倒そうなのもいたもんで……。
[帯びる響きはどこか、愚痴めくか]
黒い物体……?
紅鴛たちが反応してるって言うと……。
[考えられるものは、そう多くはないわけで]
……使い魔、か?
[凡そ一時間後に、未だ眠っていた少女を起こして見送った後。
手馴れた様子で戸締りをすると、自分も家を後にする。
――少女についていくと言っても良かったのだが、何て事は無い。
行こうと思ったのもただの気まぐれなのだし。
しっかり鍵を掛けた後、ちゃりん、と小さな音を立てて、
左から三つ目の植木鉢の中へキーホルダーごと投げ込んだ。
ちなみに此処が、宝条家の鍵の隠し場所。
携帯と、財布。必要なものだけはポケットに突っ込んだ。
時間的には夕方だが、まだ日差しは十分に強い。]
―自宅→…―
[集まってきた者たちの気、一つひとつを辿って思案顔。
取りあえず、今の所ここにいるのは『四瑞』と『五神』のみ、と見てよいらしいが]
まあ、なんというか。
暑い中わざわざご苦労さん、というか……。
[呼び集めたのお前だろ、との突っ込みは、されてもきっと聞きゃしません]
― 繁華街 ―
[ いつもの如く、欠伸交じりに道を歩く。
涼しい、と言える時間には幾分近づいてきて、
夏ともなれば、日が傾くにはまだ足りない頃。
しかしその足は、あっちこっちにふらふらと、
店に立ち寄り買い食いしたりと自由気侭で、
神社へと向いているとは到底思えない。
ヒビキへの連絡? してませんとも。
そもそも昨日みたいな場合で無い限り、
自分から連絡する事自体、珍しいわけで ]
……集まり始めた?
[何の事だかそりゃさっぱり。
そもそも、ひよ子が行けとピヨピヨうるさいので来ただけなのだから。
後ろから現れたメガネの言葉にもきょとんとした。
悠悟の名前が出てきたせいもあった。
みっくん、と声をあげて元後輩を呼ぶ様子を彼女の背中越しに見れば、何やら葉の色だけではないちらついた色に、あからさまに嫌そうな顔をした。
そんなことよりも、この時期の桜の木なんて毛虫だらけだというのによくこいつそんな所に登ってられるな、というちょっとどころじゃなく引いた気持ちが無きにしも]
[木から飛び降りてくる人物の背中に見えるものは突っ込むべきか否か少し考えたが、もう見られてるだろうし、いずれ知ることだろうからと口に出すのは止めた。ここで漫才展開してもなぁ、と思ったのも理由の一つ]
[ともかく人が集まってからだろう、と待ちの体勢に入り。両手をポケットに突っ込んで、何かが手にぶつかった。引っ張り出すと、そこには手のひらサイズの黒い塊。ポケットに入れておくのも邪魔かなぁ、と考え、ぽーんと上へ投げ上げていたが、ふと思いつくと、その黒い塊をふわもこ二匹の傍に置いた。玩具くらいにはなるだろう、と思って]
――もしもーし。
僕の可愛い従妹が、全員に連絡取ってたみたいなんですけど。
いいんです?
[この様子だと、全員が神社に押しかけそうなんですが。
炎天下を歩きながら、意識を繋ぐ。掛ける声はいつも唐突だ。
しかし随分とまぁ、面倒臭そうな事だ。自分なら、絶対に相手にしたくない。
――尤も所詮他人事なので、その声色は楽しげだが。]
それでもしなきゃならんのだから仕方が無い。
て言うか、ミックんって…。
[璃佳の呼び名に笑いかけた。頑張って抑えた。
続く言葉には瞳を瞬かせながら]
……使い魔?
これが?
[何気なくふわもこ二匹の傍に置いた黒い塊を見つめた]
[不意に聞こえた声。
誰だっけ、と思ったのはさておいて]
同じ説明を二度三度するほうが、なんぼか面倒だ。
[勿論、その後の文句も一括の方がラクだとか。
まあ、そんな考えもあったりなかったり]
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