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……めーわくかけるよな、ウチのバカ兄貴ってば……。
[妙にしみじみと呟いて]
少なくとも、自分で入った訳じゃないと思う。
時空の姉さんの話とも合わせると、恐らく、結界張ったヤツに押し込められたんだろね。
ちょっと前に、なんていうか……風が、不自然に揺らいだ感じがしたから……それが、関係あるかはわかんないけど。
[未だ、察知に至った由縁には思い至らぬため、曖昧な説明をして]
んー、気のせいじゃない、と思う。
なんかこう……ざわざわするの、抜けてねぇし……。
[言った矢先、ざわりとした感触が増した気がした。
瞬き一つ。
視界を何かが横切った。かも]
……。
五分五分か、それよりちょっと悪いくらいじゃないかな。
[ 機鋼の竜に対する言葉は、僅かもフォローになっていなかった。]
結界の内にあるってことは、外にはそんなに漏れないだろうし。
結界が解ければ、機嫌も直るだろうし。
多分。
[ 真実か否かは、虚竜王のみぞ知るといったところか。]
えぇ。
私で何らかの力となれるかは判りませんが、出来る事は全て致しましょう。
[ザムエルの言葉に、伸ばした背筋をもう一度伸ばしなおす。
チャリと肩から出た鎖が音を立て――ティルの言葉に、腰を落として瞬間臨戦態勢を取った。
目線を素早く回りへと向ける。]
…今、何か…――飛んで居る?
[アーベルの声が届き、隠れ場所という言葉に得心する。]
わたしには出来ませんから、よろしくおねがいします。
そこに隠れられるのでしたら、やりやすくなりますね。
[目的のために。
既に、手段など*選んでいない*]
[ピア、こてし、と首かしげ。
こっちも相棒同様、何か感じているようです]
当たんなきゃいい、って思う事ほど、よく当たるよね……うん。
思うからそーなる、とか、たまに聞くけど。
[言いつつ、こちらも『風雷棒』に手をかけて]
やっぱ……なんか、見えた?
[確かめるよに、ミリィに問う]
今までの経験からと言うのもあるじゃろうな。
[ミリィも「いやな予感」を感じていると言う。おそらくは、当たってしまう勘であろう]
風の気性そのままであるからして、致し方ないとも言えるがのぅ。
[嵐竜王に関しては苦笑を禁じ得ない。ティルにそう返しながら]
ふむ、結界を張った者……「揺らすもの」、か?
もしくはその干渉を受けた者じゃろうかの…。
不自然に揺らいだ、となると、何かしらの影響を受けておるのかも知れんな。
[右手で顎鬚を撫で、いつもの考える体勢に。老いた眼に横切る何かが映ったかは定かではない]
[胸に手を当てる。微かな揺らぎはすぐに消えた]
ここでギュンターが姿を隠せば、事態の収拾はより長引きかねません。自ら姿を眩ますようなことは、滅多にしないでしょう。
それにティル様は違和感を感じているとのお話があったような。
私にも他に判断の基準がございません。なればそれを仮定とさせていただこうかと思います。
[静かな声で返すと、外を見た]
不機嫌の影響…。
これ以上大きくならずに在れば良いのですが。
[それが既に出ていたりするのはまだ知覚の範囲外で]
[そうしてようやっと帰路についたのは、大分時間が経った後。
帰りも、転移を使い、帰った先は。]
―西殿・結界付近―
うぉっ、ここに出たか。
…よー。
[結界前に居た竜に、力なく片手を振った。
珍しく、疲労の色が濃い。]
……。
身も蓋もありませんね、エーリッヒ殿。
[一瞬の沈黙の後、思わずツッコミのような反応を返した。
しかし否定はしなかった]
ノーラ様の仰るとおりであると思います。
…あれば良いと、思います。
[溜息混じりに言い直した時点で、失礼なのは変わらないだろう]
飛ぶ?
[ティルとミリィの言葉に疑問を口にする。同時に現れたのはクレメンスの姿]
こやつのことかの。
どこか行っておったのか? クレメンスよ。
[ボケた一言を言いつつ、クレメンスに右手を上げ挨拶]
―― 東殿・食堂 ――
確実に三割り増しでタチ悪いですよ。
[ノーラの言葉に対する反駁は真剣そのもの。いっそ苛立っているようにも見えたか]
外からの力ならともかく、虚竜王様の空間を超えた取り込みなんて、俺にも防げ……。
[言いかけて、はたと己の口に手を当てた]
[ザムエルの言葉には頷き、
ティルがロッドに手をかけるのを確認しつつ落とした腰は、あげない。
目は宙を睨んだまま、ティルへと低い声を返す。]
何か…素早くは見えませんでしたが。
ふよふよと…黒っぽいものが。
自由なる事、奔放なる己が性を解放し、常に巡る事で正しき『循環』を促すが、我ら風の『律』。
……とか、カッコつけてるけど、ねぇ……。
[ふ、と一つ息を吐き]
どっちにしろ、爺様が自分から入る手段も、方法もないし。
今、爺様をどうにかしたい、って考えるのがいるとしたら、他にないんじゃないの?
なんでか、まではしらねぇけど。
[言いつつ、意識は周囲の風と同化する。
異変を察知し、対応するために]
違和感、ですか。
……既に均衡が乱れ始めているせいか、
未熟な身では捉えきれぬようです。
[ 表情は此処に入った時より、殆ど変わりはせぬ。
急に声を止めた機鋼の仔竜の反応に、影の眼差しが向いた。]
外からならば、手立てがあるってこと?
[ 問いは、率直だ。]
[クレメンスの声に、よー、と言いつつ軽く手を振り。
ミリィの言葉に、やっぱり、と返した直後]
……っ!
ピア!
[肩の上、相棒の真上に現れたソレ。
とっさに、反対側の手で払いのけていた。
そりゃもう、思いっきり]
―西殿前―
[たどり着いた先で、黒いふよふよとか言われて、疲れた顔が引きつる。]
げっ。
ここにもいるのかよ混沌のかけら!
それ絶対触るなよ!絶対な!
[つい先ほど、酷い目にあったばかりの身の上。
何時もと違い、口調はやや強くなったか。]
[ザムエルの言葉に、クレメンスの方へと目を向ける。
小さく会釈をして]
いえ、そちらではなく…
[声を、返した時。
ティルが手で払ったものを目の端で捕らえ、体に巻いた鎖を片手でもぎ取った。
その先についた片当てをぶら下げるように、ピンと手と手の間で鎖を張るように持つ。]
…クレメンス殿、ご存知なのですか?
[目はそちらを見たまま、じっと動かない。]
あちゃー…
[さすがにうっかり発言だという自覚はあった。口を塞いだ手で己の顔をぺしんとはたく]
…手だて、と言えるほどのものじゃないんです。それに、確実でもない。
[ノーラの問いには、眉を下げて弱い声で答えた]
黒っぽいものがふよふよと?
[ミリィの言葉に一瞬クレメンスに視線が向きかけたが、流石に違うだろうと考え直す。ティルの言葉には同意するように頷く。
ティルに視線を向けていたお陰で噂の黒っぽいものがティルの肩付近に居るのを視認。払われると同時にクレメンスの忠告が響いた]
混沌のかけらじゃと?
待てクレメンス!
知っているなら話していけ!
[逃げようとする後ろ姿に手を伸ばし、襟首を掴もうとする]
触るな、って、なにっ……!
[クレメンスの方を振り返りつつ問い。
直後、感じたのは、絡みつくような不快感]
……って!
[はっと、視線を向けたのは、今払いのけたモノ。
それは収縮を繰り返しつつ、形を変えていく。
縦に伸びたそれが象ったのは、背に羽根を持つ、巨大な蛇]
―西殿前―
あああちょ、掴むなよザム爺!
[襟首つかまれて足は前には進まない。
じたばたしていたが諦めてぐるり、ザムエルを振り返り、ミリィの疑問にも答える形に。]
混沌のカケラってのは…ああもう詳しい事は後で話すけど!
とりあえず、『俺らが触るとロクなモンにならない』代物だ。
詳しく知りたきゃティルが触ったそれ見てればいい…さ。
[いいながら、観念したように足を止めて。
ティルが触れたモノを、嫌そうな顔で見た。]
[クレメンスを捕まえたザムエルには、思わず親指を立ててさむずあっぷ。
それから巨大な蛇を見上げ、ますます眉間に皺を寄せる。]
……その姿は、私を挑発でもしているのですか?
[声は低く、ピクピクと額に青筋が浮かぶ。]
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