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─音楽室─
[楽器たちの空間に滑り込み、静かに佇むピアノに近づいて。
白い鍵盤に、そ、と指を落とす。
紡がれる音色は、いつもと変わらず、澄んで。
その響きは、ほんの僅かながら、気持ちを鎮めてくれた]
……早く、雨、止まないかな……。
[小さく、小さく独りごち。
緩やかに、緩やかに。
旋律を紡いで行く]
[頷き、けれど脱がせた服の下から顕になった包帯の跡を双眸に映せば、やはり眉を顰める。
着替えを終え、ソファーまで運ばれた男性を見ながら]
……違います、よね…
[無意識の低い呟きは、傍にいる者にも聞こえたかどうかは定かではない]
[背後から抱きすくめる様に襲い掛かると、
長く伸びた鉤爪を、その喉笛に。
だが、掻き切ることは無く、まっすぐ声帯だけを貫いて抜き取る。
…幾度も"練習"して、身につけた技術。
突然のことに、振り向いた義兄は眼を見開いて声を上げようとする。
だがそこから漏れるのは、ひゅぅと言うか細い笛のような音。]
…声を出されると、いろいろ厄介なんですよ。
あぁ、どうしました?義兄さん。
[妙に淡々と、いつものようにかける声。
その頬には、やわらかな笑み。]
[驚いて、胸を突き放そうとするその義兄の腕を取り、ねじりあげる。
骨付きチキンを食べる時のように、無造作に捻じ切る関節。
悲鳴の代わりにに漏れる息。]
…解ってますよね?
僕が何故、戻ってきたのか…くらい。
[関節を完全に外された腕を押さえて蹲る義兄を、静かに見下ろす冷たい笑み。]
[瓶の中身を口に含む。
花の香りに混ざった、ツンとする冷たい香りは一歩間違えば毒にすらなる薬。
ガタガタと震えるその顎を取り、
かつて姉が幾度もそうしたようにその唇に触れ、
無理やり花の香りを流し込む。]
済みません、有難う御座います。
[ 使用人の女に然う感謝の言葉を述べて頬笑み、軽く右の手を振ってみせる。人差し指には白いテープが一巻きされ、赤い軌跡は既に隠されていた。本来ならば救急箱の場所さえ訊けば充分だったのだが、晩餐会の下準備は殆ど終わり、後は広間に運ぶだけだからと態々手当てをしてくれたのだった。]
あー……っと、序にもう一つ。
……煙草って有りますか?
[ 未だ諦めていなかったらしく僅かに眉尻を下げて問えば、侍女は頬に手を添えて考え込む素振りを見せ、主に訊ねなければ解らないと答えた。其れを聞けば其れでは食事の際にでも尋ねて見ますと云い、会釈をして仕事に戻る彼女を見送る。]
[まだ動く左手で喉を押さえて咽返る義兄を横目に、テーブルの上に置きっぱなしだった葡萄酒で口を漱いだ。]
…大丈夫、死にゃしませんよ。
死には、ね…。
[その言葉の真意に、彼は気がついただろうか?]
[声にならぬ声で喚こうとし、床を這いつくばって後ずさる彼を、ゆっくりとした足取りで追う。]
…いろいろ良くしてくれたことは、感謝していますよ…義兄さん。
ですがね…。
[壁際で震える義兄を見下ろしつつ、室内の暖炉から、火かき棒を手に取る。
その先端を、炎の中に晒しつつ。]
[ 扨、広間に向かおうかとすれば、微かに零れるピアノの旋律が耳に留まる。
青年が此処で其れを聴くのは初めてで、雨音に混じる音色は書斎の静けさとは違う快さを齎す。誘われるように何と無しに其方へと歩みを進めれば、或る部屋の前迄辿り着いた。彼には縁の無い場所であるが為に足を踏み入れた事は無いが、確か音楽室だっただろうか。]
あなたは、二度も…僕から姉を奪った。
[熱したその金属棒を、彼の頬へと押し付ける。
肉のこげる特有の匂い。]
…それが許せない、それだけなんです。
[喉が潰れていなければ、その声は絶叫になっただろう。
必死で振り上げる左腕を事も無げにねじ上げ、無造作に引きちぎる。
どさりと放り出されたままひくつく、離れ離れになった腕と胴体。]
…おっと、これはいけない。失血死されては困るんですよ。
[ボタンが取れた時くらいの調子でそう言うと、焼けた火掻き棒を押し付ける。
傷口を焼いての、乱暴な止血。]
[ 音色に聴き入る青年には今は聲すらも届かずに、何が起こっているか等は知る由も無い――否、仮令知れたとしても、邪魔立てする気等有りはしなかったが。
館の主と訪問客。彼の男と青年の関係等、其の程度のものだった。]
[怯えきったまま見上げる、震える目。]
…あなたでも、そんな顔をするものなんですね、義兄さん。
[くすくすと楽しげに、口元に浮かぶ笑み。]
─音楽室─
[緩やかに、旋律を紡ぎつつ、ふと、記憶を過去に彷徨わせ。
家の事情で祖母の元に身を寄せたばかりの頃。
連れて来られたこの場所は、それまでとは余りに違っていて。
最初は、何もかも怖くて、祖母の後ろから出られなかったのだけれど。
いつの間にか。
ここに来て、ピアノを奏でる優しいひとと。
話すのが楽しい、と思うようになっていたのだ、と思い出し]
…さて、次は何処から行きましょうかね。
[傍らにしゃがみこむと、その顎を取って楽しげに覗きこむ。
パクパクと何事か言いたげに、義兄は必死で眼で訴える。]
…楽になんか、してあげませんよ。僕はイキの良いほうが好みなもんでね。
死者を喰らっても、味も素っ気も無い。
[ぺろり、とその頬を舐め。
既に常人ならば気を失っていてもおかしくない状況で、それでも意識を失えないのは、先ほど飲ませた薬が効いてきたからで。]
……幽霊、かあ。
[小さな声で、ぽつりと呟く]
出てくるのが、優しいひとだけなら……それなら。
視えたって、聴こえたって……全然、気にならないんだけど……ね。
[ふ、と伏せられる、瞳。
碧のはずのそれは、何故か。
淡い紫へと変貌しているようにも見え]
[シャツのボタンを爪で千切りとるように外し、首筋から胸へと舌を這わせていく。]
…あの売女とも、こんなことを?
[からかうようにかける声は、細く高く亡き姉のもののように。
やさしく撫でる白い指は鉤爪となり、
臍へと深々と突き刺さる。
果物を剥くように、無造作に裂かれる腹。]
[ トンと壁に背を凭れさせ顔を上げれば、其処には当然空は無くランプの焔に照らされる無機質な天井が見えるばかり。館の外、瀟瀟として吹き荒ぶ風雨も何処か遠くに、静謐な空間に漂う緩徐なる音色が現在は全てで。
漆黒の双眸を伏せて細く息を吐いた。]
…そういえば、義兄さん。東洋の文化にも造詣が深かったですよね。
[腹の中から臓物を引きずり出しながら話すにしては、やけに暢気な言葉。
邪魔な腸を掻き出し、やわらかな肝臓へと歯を立てる。
昨夜食べたデザートのことを、僅かに思い出した。
些か新鮮さの無いひねた味だが、久しぶりの"食事"は格別で。
何より、触れた肌から伝わってくる恐怖と苦痛の色は、最上級のスパイスで。]
確か…"ハラキリ"でしたっけ?
あれって、切ってもすぐには死ねないんでしたよね。
…腹部の傷は致命傷にはなりにくいらしくて。
[縮み上がった胃に爪を立てれば、むせ返る様な吐瀉臭。
胃液が腹腔内を焼いていく。
苦しげに身を捩っていた動きが、小刻みな痙攣へと変化する。]
こうやって、内側からゆっくり溶けて腐り…三日ほど苦しんで死ぬのだとか。
[感覚の赴くままにしばし、旋律を紡ぎ続けるも、さすがに限度というものもあり。
何曲目か、数えるのも億劫になった曲の終りと共に、ようやく手を止める]
……ん?
[それと前後するように、扉が開く気配を感じて]
……あれ、誰かいるの?
[惚けた声で、問いを投げ]
[なるべく太い血管を傷つけぬよう。
出血が酷いところは焼きながら…
太腿に噛み付いて、未だ衰えるには早い筋肉を貪って飢えを満たす。
筋の固い膝から下は、なんとなく折り取って。
既に白目を剥いて痙攣を繰り返すだけの肉塊。
だがそれでも、その心臓は止まることなく。
胸元まで裂かれた皮膚と肉と胸骨の下で、鼓動を刻み続けている。]
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