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―二階廊下―
痛み止めをお願いできますか。
常備のものが尽きていたようなので、念のために。
[嘘か真か。表情は普段通りに乏しい]
それに、これだけの大人数ですから、何かあった時。
すぐに対処できるよう、役立ちそうなものを分けて頂けると有り難いです。
[淡々と呟き頭を下げた]
……あれを、元気、で括るのか。
[先のやり取りを思い返せば、口をつくのはそんな感想]
恐らく、そう簡単には出られまい、な。
場合によっては……。
[二度と叶わないかも知れない。
その言葉は、さすがにというか、飲み込んだ]
─二階廊下─
んーと。
汎用的な痛み止めで良いのかな。
特定のに効くやつとかじゃなくて。
[言いながら、肩にかけていた薬箱の蓋を開け]
[該当する薬を摘みあげる]
[ゲルダの表情はいつも通りで]
[特におかしいところがあるなどとは思っていない]
俺の手が回らない時のために、ってことか。
それじゃいくつか小箱に入れておこう。
ちょっと待ってて。
[断りを入れると一旦自室の中へと]
[扉は開け放したまま、寝台の横に置いてある別の道具箱から小箱を取り上げた]
[寝台の上に薬を広げ]
[必要そうなのを見繕って小箱へと移し始める]
― 集会所一階・廊下 ―
[水場で手早く顔を洗い、戻ろうかとして足を止めた。
封筒。手紙をまだ、読んでいない。
部屋に行こうかと思ったが、階上には人の気配があり、なんとなく引き返した。裏手ならば人がいないだろうかと、方向を転換する]
[部屋を出るウェンデルに手をふって見送り、
広間の面々のやりとりをボーっと眺めたりしながら、
ナターリエの質問には]
いやぁ、俺のほうもなんにも。
てかなにかあれば自然と知らせがいくだろう、こんな閉鎖空間にいるんだしな。
[先ほどのやり取りは全く見てないので、こちらが何を思っていたのか。意識のズレはかなりあっただろうが。そこは元来の性格か、さして気にも留めず。
それよりは次いででた言葉に意識が向いた。]
…そんなに長引くほど拗れるのか?今回のこれは。
[ライヒアルトが飲み込んだ言葉は、今はまだ予想出来るほど頭が回っていなかった。
マテウスの言葉には、それもそうだがと頷きはしたが。]
[広間へ行こうとし]
12人、…だったかな。
[途中][足を止め]
[小さく息を吐き]
おや。
…ウェンデル君?
[向かいの人影][目を凝らした]
[いつの間にか眠ってしまったらしい。誰かが声をかけてくれたのには気付いたが、呻き声の他には返せなかった。
目を覚ませば、体にかけられた毛布。幼なじみの女性いずれかの配慮であろう、とは、鈍い彼でも流石に気付く。
頭痛は取れたが……その代わりにきりきりと痛む、左の眼]
……なあ、冗談だろう?母さん。
[小さな声で誰にも聞こえぬように、呟く]
[本当に欲しいのは頭痛薬だったけれど。
深くを語る事は出来ぬゆえ]
はい。特定のものも有れば嬉しいですが、それで構いません。
[抑揚に欠けた声で告げ、再度頭を下げた]
ありがとうございます。
待ってますね。
[さらり、と髪が揺れる。
扉の先、寝台の上で広げられる薬箱を、廊下から眺めた]
―二階自室―
……あ。
[プツリ、と集中が途切れた。
途中何も休まなかったわけではないが、意識はずっと作業に向き続けていて。どれだけ時間が経ったのかも分からない]
間に合うかな。
[呟きは声になったかならないか。
左手の下の翼は広がって。しかしまだ羽搏くには足りず]
……休憩。
[ただ、今はもう続けられないのも分かる。
大きな溜息を吐くと、ゆっくりと立ち上がり部屋を出た]
……長引く可能性は、高い。
[ナターリエの疑問に、短くこう返す。
可能性、という言い回しはしていても、それはほぼ確信。
事が既に起きている──『始まっている』事は、否定の意思について回る頭痛が物語っていた]
勿論、何事もないのであれば。
それを、望みたいが……な。
[先ほどのゼルギウスの動きそのままに椅子の上で体をよじり、立ち上がって軽く背筋を伸ばして]
うん。椅子の上で寝るもんじゃないな。
話がわからなくなるのが怖くて部屋に戻るのを止したんだが……眠ってしまっちゃ意味がねえや。
っ、
[人がいるとは予想してなかったため、小さく息を飲んだ]
……ああ、アーベル先生。
どうされたんですか、こんなところで。
[自分にも返る問いと、気づいたのは発してから]
─二階自室─
昼に調合してて正解だったかな。
分けても十分なくらいはあるんだ。
[ゲルダが聞いてるかどうかは知らないが]
[そんなことを言いながら小箱に必要な薬を詰め終える]
痛み止め各種、傷薬、解熱剤、それと必要か分からないけど導眠剤も入れておいた。
包帯も少しだけど入れておいたよ。
[道具を片付けて小箱を手に持ち]
[扉へと歩んでゲルダの下へ]
[入れたものの説明をしながらその小箱を差し出した]
長引くか…。
[ライヒアルトの返答につぶやいてから]
ライヒアルトは、俺達よりもいろいろと、
その人狼についてとか知ってそうだな。
少し、気分転換にね。
今は戻るところ。
[手の中の箱を軽く放り][掴み]
[ポケットへ戻す]
君は?
[当然の如く][疑問を返す]
[ふいに、視界の隅にイヴァンが起きたのが見え、軽く手を振る。
呟きは遠く耳には届かない。]
おはようイヴァン。昨日からずっと寝ていたみたいだが。
どこか悪かったのか?
[流石に酒が、と言うには長すぎて。]
[マテウスの言葉に、視線は一度、そちらへ。
それから、未だに手をつけていないカップへと、一度、落ちる]
……少なくとも。
ここに集められた中では、それなりに知識はある方である、という自覚はある。
[間を置いて、発した言葉は静かなもの]
おはよう、イヴァン。
[目を覚ました様子のイヴァンに気づき挨拶]
どこか具合でも悪くしたんなら無理せずにゼルギウスに見てもらったほうがいいぞ。
こじらせると余計に始末におけないからな。
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