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[なされる会話は自分が訊ねたかったことと同義で。それはつまり彼らが自分と同じ境遇であることを意味する]
[自らを『番人』と名乗る男性に視線を向ける。聞きたかった問いの答えは貰えないらしく、眉根に皺が寄った]
…何よそれ。
だったら、誰がここに連れて来たって言うのよ。
[茶の青年が言葉を紡ぐ。番人より聞いた、この城の部屋を使っても良いと言う話。それ以外に関してはほぼ分からないと言うこと]
………そのうち分かるって、ことかしら。
[漏れた言葉はまるで独り言のよう]
[何故か今はもう一つの問いは口に出さない方が良いように感じた。
――あなたは私をご存知ですか。私はここに来たことがあるのですか。]
さて、それこそ俺が聞きたい所だ。
[眉根に皺寄せる少女の言葉に肩を竦め、おどけたような口調で言う]
……ならない、というより、他にどうしようもないんじゃないか?
俺としては、あまり、嬉しくはないんだが。
[男の発した問いには、嘆息を交えてこんな呟きを漏らす]
……そうですか。
[「嬉しくはない」という青年の言葉を少し考えるように頭を傾けた。]
では、しばらくはここで共に過ごすことになりそうですね。
[茶の青年の様子に出るのは溜息]
…皆が疑問に思うことは答えてくれない、と。
ここに居れば教えてもらえる時が来るのかしら。
森で野宿とかじゃないだけ、マシかも知れないけど。
この状況で嬉しいと思う人が居たら、頭のネジがどっか飛んでるわ。
[言い放ってから、青の青年の言葉を聞く]
……そう言うことになるわね。
名前くらいは知ってた方が良いかしら。
私はシャーロットよ、長ければ好きに呼べば良いわ。
[自ら名乗ってから、促すように周囲の青年達を見る]
[男の声はもの柔らかく、淡々としていた。
微かに声音に惑いが含まれていたにせよ、それはこの場では当たり前のことであっただろう。]
そういうことであれば、私も名乗っておきます。
私の名は、ナサニエル。
[――そう、今は。]
ま、そうなるんだろうな。
[共に過ごす、という言葉。
嘆息と共にそれへの肯定の言葉を零し]
ああ……俺は、ハーヴェイ。
[確かな、と。
その言葉は果たして名を問うた少女に届いたか]
……とりあえず、休めるんなら、俺はそうさせてもらう。
妙な疲れが、身体に残ってるんで、ね……。
[左腕を右手で緩く押さえつつ、言って。
燭台を持つ男に寝室の場所を問い、そちらへと*足を向けた*]
ナサニエルと、ハーヴェイね。
[告げられた各人の名を確認するように反芻して。残る赤の青年の名が紡がれるのを待つ]
部屋は後で空いてる場所を借りることにするわ。
[部屋へと向かう茶の青年──ハーヴェイを見やり、意思表示するかの如く言葉を紡ぐ。押さえる左腕に首を傾げたが、呟かれた言葉までは耳に*届かなかった*]
教師 イザベラ が参加しました。
ん、客人ですか?
[奥の方から『番人』に声だけをかける。
彼の肯定の返事を聞くも、皆が集う場所に向かおうともせず。]
そうですか。一体、幾人がここに集うのでしょうね。
いや、これは問いではないですよ。
答えがもらえないのは、承知しておりますから。
[ギギと床板を踏みならしつつ、城のあちらこちらに
目をやっては手帳に何やら記す。さらに、見ては記す。
ルーティンが如く、その女性は動いている。]
私だって、自分のことすらよくわからないのですから。
貴方……えーと…。
[手帳をぱらぱらとめくり、ああ、と一声あげる。]
『番人』のアーヴァインさんでしたね。
仮に、貴方が最も知っている方だとしても、
そのような貴方ですら、それがすべてなのかれもしれません。
[再び手帳を、先ほど記していた頁まで戻し、
見ては記し、見ては記しの作業に戻る。]
だったら、ここを見て回る方が今は建設的でしょう。
何故だか関心をひかれるのです。この建築物は。
[そう言って、別の場所へ*行ってしまう*。]
クインジーだ
[三者の名乗りに続け、男も口を開いた]
[番人――アーヴァインを見る目は闇]
[離れる者へと投げたのは、眉を顰めた言葉]
怪我の治療くらいしろ
[それ以上は重ねず、男は場を離れる]
[緋が炎に照らされ、燃えるように灯を吸った]
[古い廊下は軋みながらも、男の移動を妨げはしない]
[やがて、かつては立派であっただろうことが見て取れる広間にたどりつく]
[緋の髪をそこに認め、男は僅かな時間、その場に*立ち尽くした*]
私は……
[と一瞬逡巡した後、]
少し、この城の中を見て回ろうと思います。
後ほどまたお会いしましょう。
[丁寧に礼をし、残る者に背を向けた。
表情こそ心許無さを漂わせていたが、エントランスから奥へと進む足取りには迷いはなかった。*]
[白い紙は次第に黒に彩られていく。
広がる空も錆びた門も這う蔦も
透明な泉も深き森も咲き乱れる花も、
全てはモノクロームの世界に埋没していた。]
[手を止め、目と目の間を押さえる。
親指の付け根付近には黒鉛の粉末がこびりついていた。
背を反らせ、頭を背凭れの上部に乗せた。
開いた眼に映る世界は逆さまに変わる。]
あ。
[室内に一つ増えた影に瞬き、
爪先に力を込めて頭を後ろへと乗り出した。
加わった重みに椅子が不安定に揺れて悲鳴をあげる]
今、来た人?
よ、と。
[裾の余るズボンは素足を半ば覆い隠していた。
立て直した椅子の上に画材を置くと、
長髪の男に向き直り、視線を下から上へと動かす]
オレ、はラッセル。
よろしくね?
[傷痕に覆われた左の眼と、闇を宿した右の眼。
両方を見詰め、緊張感の抜けた*挨拶を投げた*]
クインジー、ね。
[赤の青年──クインジーの名を聞き、先と同じように反芻する。紅紫の瞳はつい、目立つ大きな傷へと注がれてしまっていた。その様子に相手がどう思ったかは知らないが、共にこの城に入った者達はそれぞれ思い思いの行動を取り始める。自然、その場には自分だけが取り残された]
……まぁ、しばらく過ごすことになるんだから、見て回るのは当たり前よね。
[けれど彼らの後を追う気は無くて。ほいほいついて行くものでも無いために。けれどその場に立ち尽くしているわけにも行かず。周囲を見回しながら城の中を彷徨うことになる]
随分と古いのね。
いきなり崩れたりとかしないと良いのだけど。
[あちこち歩き回り辿り着いたのはキッチンらしき場所。今は誰も居ないようで、そこはがらんとした雰囲気を漂わせていた]
……食べるものは自分で、ってこと?
小さいとは言え城なのにシェフの一人も居ないのかしら。
材料は…あるわね。
[保存庫を覗き込んでしばし思案。よし、と声を漏らすと、小麦粉やバターを引っ張り出して来て何やら作り始めた。材料を混ぜ、オーブンで焼き始めると、漂い始めるのはクッキーの*良い匂い*]
[シャーロットの目が向く左の傷痕の事を、男は理解していた]
[それは現在、ラッセルの視線にも晒される]
[部屋に入った時、男が何を思ったのか、態度に出る事はなかった]
[大人のものではない声によって、動きを取り戻す]
[椅子が軋み、揺れ、止めようと足を踏み出した時にラッセルは立ち上がる]
危ないぞ
[一歩進んだその位置で、男は止まった]
[椅子は止まり、画材が小さな音を立てて置かれる]
己はクインジーだ
……ああ
[よろしくという挨拶に、男はただ*頷くだけだった*]
何か、かいていたのか?
クインジー、
クーだね。
[薄くなった絨毯を踏んで歩み寄り、
一歩の距離を置いて止まった。
年頃の少女とそう変わらない身長。
問いに肯定の頷きを返し、
上半身を捻り背後の窓を指し示す]
うん、そこからの景色。
クー達が来るのも見えた。
少し目が疲れたから、今は休憩中。
……あ、そうだ。
他の人達は、どうしたの?
たくさんいたようだけれど。
[忙しなく、男を仰ぎ見る。
視線は左右共に等しく*注がれていた*]
[かわいらしい愛称に、男はまじまじとラッセルを見た]
……女か?
[疑問が零れたが、口を挟ます前に、答えを与える]
沢山ではない
己の他に、三人だ
一人は休みに行った
二人もこの中にはいるだろう
お前はここに住んでいるのか?
あの番人と名乗った男と共に
[左だけでない視線の向き方は、男にとって慣れるものではない]
[右の黒紅が、窓へと*逃げた*]
料理できるのですか?
[すっとキッチンに入ってきて、きょろきょろしては、
メモを取り、を繰り返している。
そこらにある調理設備をいじり、その機能を見ては
驚嘆したように、さらさらとメモをする。]
私、どうやら食べれたもの作れないようだから、
ずっとどうしようと思っていたのよ。
いいわね、そういうの。
[青髪の女性が、クッキーを作る様子をただ見ている。
特に何かちょっかいを出すわけでもなく、
女性の様子を見ては、何やらメモを*書く*。]
踊り子 キャロル が参加しました。
[一面の花の緋に埋まるよう、女は在った]
[身に纏う一切の色彩は、花と等しき緋の色]
[髪結いの紐も、丈の長いドレスも、足元の靴も、爪先のネイルも]
[咲き誇る花々と空を仰いで伏せる女の境目は、ゆえに曖昧で]
[リィン]
[唯一異なる色彩は、手首に]
[高く結った豊かな金色と同じ光を宿し、小さな鈴が鳴った]
[持ち上げた腕、その爪先で細い花びらを千切る]
[幾枚かを掌に集め、空へと放った]
ああ、うつくしい。
[満ちた声で、墜ちる緋の色を見る]
[碧眼を閉じて残像を愉しむと、緩やかな動作で立った]
あのなかでも、うつくしいものは見られますかしら。
[獣道の先、辿れば必然の様、古く錆びた門へと導かれる]
[黒の門を軋む音を立てながら、押し開く]
[城そのものに興味は無く、また怖じける態も無く、中に踏み入った]
ごめんくださいませ。
[燭台の緋に照らされた「番人」の姿を見つけ、女は口を開く]
[問う言の葉も、返される言の葉も、僅かなもの]
[それでも女は此処が自由に使えると聞き、口唇の紅を横に引いた]
[礼を告げると共に、高所へ上ろうと階段を*探す*]
ひゃう!?
[突然かけられた声。先に会った三人の青年と、ここに居た番人と言う男とはまた違う声。驚き思わず背をピッと伸ばし、ゆっくりと振り返った]
え、ええ、まぁ、一応。
……貴女、は?
[誰?と言外に訊ね、声をかけて来た女性に紅紫の瞳を向ける。直後にクッキーの焼き上がりに気付き、焦げる前に取り出して皿へと盛った。次に用意するのはティータイムのための*紅茶作り*]
へぇ。そんな反応するんですね。
[青髪の女性の驚く様子を興味深そうに見て、
微笑を浮かべながらメモを取る。]
私のことは、イザベラって呼んで頂戴。
気にしないで。ただ、貴女の様子が興味深いな、
そう思っただけだから。邪魔する気はないんです。
[右目は女性を見つめているが、左目は明後日の方向。
ぎょろり、ぎょろりと外側を向いている左目。]
気にしないで、続けてていいのよ。本当に。
[静かな微笑を*浮かべている*。]
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