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素人の耳じゃあ、信用できないかな?
[風に揺れる髪を空いたほうの手で正しながら、降りて来る隼に眼を向ける]
…だからと言って、自ら追い出されるような真似は止めとくれよ。
ぼくの責任になりかねない。
[冗談めいた台詞を零しながら、彼の視線はふと広場の方向を向く。
先程の風の影響か、花のものでない匂いが届いてきた]
あは、そんなことないよー?
ライさんは教会の演奏にも接してるし、聴き分けとかできる人じゃない?
ま、そこらはアレ、俺の気分の問題、ってコトにしといてよ。
[くすくすと楽しげに笑いながら言って。
冗談めいた言葉には、わかってるわかってる、と頷いた]
……ん。
[そこでふと、こちらを見やる視線に気づいて。
瞬き、一つ]
[視界からサボり魔を外そうとして]
[彼と話をしていたらしい青年がこちらを向いた]
……元凶発見、てか。
[自分を呼び出した張本人を発見して呟き一つ]
[それと共に紫煙が宙へと消えて行った]
[組んでいた脚を戻し立ち上がり]
[両手をジーンズのポケットに突っ込んでそちらへと歩み寄る]
よぉ、元気そうだな。
[手巻きタバコを咥えたまま、お決まりの挨拶]
[周囲に渋みを感じる煙が漂った]
そうかな。
本職には敵わないさ。
[謙遜か本気か、態度からはやや後者よりとも取れるか。
その後の言葉には承知した、と頷き]
あれ。
[巡らせた視線の先に、街では『異質』な姿を見て、眼を瞬かせた。
但しそこに、所謂余所者に対する警戒心などは存在しない]
ヴィル!
来てくれたんだね。
[こちらに向かって来るのを見ればむしろ嬉しげに、自らが呼んだ旧知の友に手を振った]
[向けられていた視線の主らしき見知らぬ男。
こちらにやって来た彼とライヒアルトの親しげな様子に、ゆるく首を傾げるも束の間]
……ぅぇ。
[漂う煙に、露骨に嫌そうな声を上げて、一歩、二歩、後ずさり。
三歩目と同時、くるり、踵を返して場を離れ]
来いっつったのはてめぇだろうが。
[紫煙交じりの小さな嘆息]
[不機嫌さを隠しもせず振り撒いている]
[負の感情も隠さず表に出すのは青年の常ではあるのだが]
んで、古臭い手紙で呼び出した理由ってのは何なんだ?
[訝しげな表情を浮かべて友人を見つめる]
[ふと、視界の端で後退りする気配]
[横目で見やれば屋根を駆けて居たサボり魔が己の出現と同時に逃げの体勢]
[上げられた声に煙が原因と言うのが予測出来たか]
………はン、ガキにはきつかったかね。
[鼻で笑い、薄い笑みを浮かべた]
……っと。あれ? あそこにいんのは……。
[そのまま、花弁を舞わせる風を引き連れるよに移動した先。
目に入ったのは、茶色の髪。
腕から肩に移った隼と顔を見合わせた後、露天らしき空間へと足を向けて]
よ、祭りに合わせて出戻りか?
[呼びかける声は、ごく軽いもの]
─広場─
(もきゅもきゅ)ひとひごとひたあとのごはん、やっふぁおいひー
[紙袋に詰められたパンを幸せそうに歩き食いしながら、広場を通り過ぎようとすると、アーベルが逆方向に駆けて行く]
あれ? あれってたしか楽団のひとだよね
凄い勢いで走っていったけどどうしたんだろ?
[そう言って首を傾げる。頭の上のアーニャも同じように首傾げ
とそこで、ベンチの近くで見知らぬ男性と話すライヒアルトを発見]
って、あー。ライく〜ん。やっほ〜
[そう言ってブンブン手を振って走り寄る。アーニャも手をブンブン]
そこのお髭の似合うオジサマー。いい剣あるよ。かの英雄ブリンナーの使ってた剣のレプ……っと。
きょ、強度も持ち心地も保証するよ。これで今日からオジサマも英雄気分。あ、お願い。ちょっと触ってみるだけでもいいからさー。ぶー。
[頬を膨らませていると、優しい風が頬を撫でる。吹いて来た方向を見やると、視線に蒼の髪]
ひっさしぶりー!
ねね、いい壷あるんだけど、買わない?どうよどうよ、この形。
[挨拶もそこそこに、横に置いてあった壷を持ち上げてアピール]
古臭くなんかないさ。
心を伝えるのには手紙が一番だって、師も言ってたし。
[不機嫌そうな顔にも古い付き合いで慣れている為、動揺は無い。
代わりに少しズレた反論を返すのも、またいつものこと]
ああ、そのことなんだけど…
って、あれ?
[本題を切り出そうとして、思い出したかのように隣を見れば青年の姿はなく。
逃げて行く背中が見えて、首を傾げた。
友の言葉を聞いても尚理由に思い至らないのも、また慣れだろう]
[入れ違うように去って行く男をちら、と見やり。
それから、早速売り込んでくる様子に、くすり、と笑う]
おま、相っ変わらずだなぁ。
相手見て売り込む品物選ばなかったら、売れるワケないじゃん?
[からかうような言葉に同意するように、肩の隼もゆるく、翼を動かして]
[そんなことをしていれば、また別の方向から声が掛かる。
肩上の人形と共に手を振る知り合いに、軽く手を上げて応えた]
やあ。
仕事は順調かい?
[友人に向けて切り出しかけた話はそっちのけで、話し掛ける]
[友人に声をかける人形連れの女性には隻眸が一瞥をくれるだけで]
[ズレた反論をする友人にはそれ以上の追及はしない]
[したところで堂々巡りなのが分かっているため]
………で、なんだっつーんだ。
[途中で言葉を切り首を傾げる友人に少し語気を強くして訊ね直した]
あのガキならこれが気にくわなかったらしいぜ。
[親指で咥えている手巻きタバコを指し示す]
お師匠様にもよく言われるよ。でもそういうのって苦手なんだよね。あはははー。
アーベルは最近どう?演奏、ちょっとは上手くなった?
……って、この時期にぶらついてるってことは、相変わらずなのかな。
もう、練習サボってばっかじゃダメだよ。ね、ハル。
[彼の肩に乗る隼に同意を求めるように首を傾ける]
笑ってすますな、笑って。
苦手って、それじゃやってけないだろっての。
[笑う様子に、呆れた声。
続けられた問いには軽く、肩を竦めて]
別に、俺が頑張らなくても演奏会なんとでもなるし。
それに、祭りだってのに、練習室に籠もって稽古ばっかりしてたら、息が詰まるってーの。
[悪びれた様子もなく、さらりと言う。
同意を求められた隼は、それに答えるように羽ばたき一つ]
……お前はどっちの味方なんだよ、ハルフェ。
[手を振りながら、ライヒアルトとヴァリーのところへ]
やっほ〜。ライくん
あ〜、お仕事は〜……
[ライヒアルトの問いに、顎に指を当て少し思案]
んー、まあまあ、かな
あ、そうそう。新しい演目とそのための人形が出来たんだ
今度のお祭りでお披露目するから楽しみにしていてね
[そう言ってニコッ☆と満面の笑み]
ところで、この人ってライくんの知り合い?
あ、はじめまして〜
[そう言ってぺこりとお辞儀。アーニャもそれに倣う]
…ああ、そうだった。
[やや強い問いに、ぽむりと手を打った。
かと思えば急に真面目な顔をして、人差し指を立てる]
気になる文献があったんだ。
この一見平和な街で、数年前から起こってる連続失踪事件――
と、まあ。
君なら興味持つんじゃないかと思ってさ。
[芝居掛かった口調から一転、いつものような調子に戻り、言葉を続けた]
平気。そこは笑顔と愛嬌で全て乗り切るからっ!
[満面の笑顔]
またまた、相変わらずなんだから。
好きなんでしょ、演るの。
[羽ばたく隼に笑いを零すと、目の前の青年の髪の色に似た空を見上げる]
……ま、て。
それだけで乗り切れるんなら、客に逃げられるってないだろーが。
[満面の笑顔に、さっくりと突っ込み入れて]
……ま、キライじゃねぇけど、な。
[続いた言葉には、やや小さな声で返し。
ポケットから出した銀のハーモニカで、短く音色を紡ぐ。
風が、くるり。
楽しげに周囲を巡った]
[女性の挨拶には眼つきの悪い隻眸を再び向けて]
[声は出さずに首だけ動かして挨拶を返す]
連続失踪事件、ね。
[友人が口にした呼び出した理由に、呟きつつ右手で手巻きタバコを摘んだ]
噂では聞いてる。
が、現地に住むお前の口から出ると言うことは、可能性は高そうだな。
[ふ、と紫煙を空に向けて吐き出してから友人の言葉に返した]
[顔には楽しげな表情が浮かんでいる]
噂の確実性が増したことに関しては礼を言っとく。
んじゃあしばらくはここに留まるとするか。
なるほど。
初めてにはキツいかもね、確かに。
[示された煙草を見て、漸く納得したように返す。
それから、傍の少女に向き直った]
そうか。それは楽しみだ。
アーニャも出るのかい?
[少女か人形か、双方を見やりながら問いを向ける。
お辞儀をする彼女らを見て、微笑ましげに眼を細めつつ、片手で友人を示すようにした]
ああ、うん。
ぼくの古い友人でね。ヴィリーっていうんだ。
うっ……。
[胸を抉るような言葉。何かが刺さる音が聞こえたような気がした。頬を膨らませて]
もう。あたしのことより、アーベ……
[目の前で取り出された銀色に輝く小型の楽器に、続く言葉は奪われる]
[空間を支配する音色に息をするのも忘れ、静かに耳を傾けた]
[ヴィリーから返される首だけの会釈にもにっこりと微笑を返すが]
連続失踪事件って…………やっぱりあれって事実なのかな
誰かが居なくなった人を誘拐してるって
[そう呟いて、不安そうな顔をする]
どういたしまして。
[友人の思った通りの反応に笑みを浮かべた。
事件の深刻さを思えば、些か不謹慎でもあろうが]
そうだね、自警団長が色々調べているみたいだし、後で話を聞くといい。
ああそうだ、宿はどうする?
宿舎でよければ、泊まれるよう頼んでみるけど。
[だが、続くライヒアルトからの問いに、不安を振り払うように笑顔を見せる]
うん。楽しみにしていてね
「チナミニワタシモデルノゼ」
[と喋ったのはアーニャ
腹話術? さぁて、どうなんでしょうねぇ]
と、ヴィリーさんですか
私はゲルダっていいます。ライくんには教会で色々とお世話になってます
此方にはどれくらい居るのか知らないですけど、よろしくです(ぺこり
「チナミニワタシハあーにゃッテイウンダゼ」
[離した手巻きタバコを口へと戻して]
人が消えるのは自ら消息を絶つか誰かに連れ去られるしかねぇだろ。
不自然に連続してんだったら、後者の方が可能性は高い。
[手巻きタバコを咥えて尚、口元には笑みが浮かぶ]
[上ネタを手に入れたと、ジャーナリスト魂に火がついているのだろう]
[紡ぐ音色は昔から伝わる子守唄。
奏でる姿は、練習室でフルートを構える様子よりも楽しげなものだが、その差異を知る者はここにはなく。
一通り、奏で終えると、演奏に足を止めていた旅人や観光客に、形式に則った礼をしてみたり]
……ま、とにかく修行頑張れー?
あ、ヒマんなったらあれだ、回ってきたとこの話、なんか聞かせてくれなー。
[ごくごく軽い口調で言うと、とんっ、と軽く地を蹴る。
ふわり、と吹き抜けた風に持ち上げられるよに、その身は再び、*屋根の上へと*]
自衛団長な、情報は多いに越したことはねぇ。
…解決に向けて動いてる奴が居るってのに騒ぎが収まってねぇってことは、肝心な部分は掴めて無さそうだが。
[独りごちるように呟くも、続いた申し出に僅かに眉を寄せ]
教会の宿舎にか?
勘弁してくれ、あそこは性に合わん。
[ひら、と否定するように右手を振った]
宿くれぇてめぇで手配するさ。
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