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[どのような想いがこめられているのか。
それには興味がある。
宝石なども綺麗は綺麗だが。あまり興味はわかない。
デザインが美麗なのもそれはそれでいいが、ただただ豪奢なだけなものは見ていて気持ちが萎える
それとは逆で、イレーネの作るランプはこっそり...のお気に入りだったりする。
最もそれを口にも態度にも出したことは無いけれど
そういう意味では全部とは言わないが、ここの邸の主の趣向は悪くないなと思う。
ホールにあったのをいくつか見ただけの評価ではあるが。
ならばオルゴールも楽しみにしていいかもしれないと考えつつ]
……ちょっと腹減った。
[露骨に現実的欲求が広まっていった]
[エーリッヒの肩から下りたそれに気付いてか、戦慄の主が此方に目を向け声を掛けてくるのに若干苦笑を浮かべ]
こんにちは。
いや、これは驚きましたな。
[それを奏でていたのが、他でもないアーベルであった事に少しばかりの驚きは隠せずに]
大変ね。
体調を崩してしまった、って、大丈夫かしら?
未熟なんてとんでもないわ、とても綺麗。
[黒と白の薔薇に見入っていた彼女は、視線を戻して微笑みかけた]
数日後、楽しみね。
ここしか見れないから、この季節に、招待状をくれて嬉しかったわ。
探してたと言えば、探してたかな?
[アーベルの問いに、ほんの僅か、表情に悪戯っぽいものが宿るか]
ローゼが、音がどこから聴こえるのか知りたいって、せがむんで、探し回った結果、ここにたどり着いたんだから。
[とりあえず着替える。
別に洒落た服装など着替えない。
そもそもそんなものはもっていないし、あっても着ないだろう。
それほど代わり映えしない格好になって。]
よーし。朝食だー
[時間的には昼食というほうが正しいのだが、...にとって起きたときが朝で寝るときが夜だ。
日の昇り降りなど関係ない
とりあえずホールへと移動することにした]
そうですな、恐らくは其方のお方と同じ理由でしょうな。
[探し物、との問いにはそう答え]
この邸で、この音色を聞くとは思わなんだがの。
[続く言葉は小さく、呟いて]
[エーリッヒの言葉の意味を辿りきれば、目を見開いて。
漏洩の事実を悟れば、何処か乾いた笑いが零れる。
思わず、今更はぐらかす様にぱたり、と鍵盤の蓋を閉じて]
……あははは。…や、聞き苦しいものを。
少し前に齧った程度で。とても聞かせられるものでは。
[老人の言葉に、へらりと笑みを浮かべつつ。]
元々、かなりの高齢でしたから。
今は、実家で娘夫婦と共に暮らしているそうですよ。
一ヶ月程前、現状を伝える手紙が来ておりました。
[世間話をしながらも、客人から賛辞を受ければ丁寧に礼を、
微笑を受ければ、似たような、けれどやはり形式的な笑みを返す]
ええ、本当に。
私としても、お客様に御覧頂けるのは嬉しく思います。
宜しければ一輪、お部屋にお飾りしましょうか?
―ホール―
[ホールにやってきた。
だがなんともなれないものだ。使用人に世話はもちろん食事の一つを頼むのもなんとも慣れない。勝手に並べられていたら楽なのだが、それは晩餐ぐらいなのだろう。
いっそ、厨房と材料だけ借りて自力で作ったほうが気が楽だとか。地味に窮屈な思いをしながら、さすがにそれは駄目だろうと諦め。
そこにいた使用人…サクヤとかいったか。ぎこちなく食事を頼む。
そんな姿をアーベルに見られずにいて心底良かったと思う。]
[鍵盤が閉じられる様子に、カーバンクルはやや、不満げな声を上げて尻尾を振る]
ローゼ、わがまま言うな?
[もっと聴きたいのにー、という訴えを苦笑まじりに諌めつつ、周囲を見回して]
それにしても、こんな部屋があったんだなあ。
俺、書庫と庭くらいしか行かないから、今まで気がつかなかったよ。
そうね。
元気になっているのなら良いけれど。
無理をさせてしまうのは、よくないものね。
[有能な執事の態度に、彼女はくすくすと笑みをこぼす]
でも、手折ってしまうのはかわいそうよ。
ここに咲いていたほうが、綺麗で、生きていられるもの。
だからもらうことはできないわ。
[アーベルが笑いながらさらりと言うのに、いやいや、と笑い返し]
そうは聴こえませんでしたがの。
それなりに弾きこなせなければああはいきませんぞ?
[エーリッヒが部屋を見回し呟く声にふと気付き]
其方の方はご存知ではありませんでしたかの…?
[そう口にした後で考え込む。
話しても良いものかと悩むような仕草で]
うん、俺も知らなかった。
ぶらりと彷徨ってたら、さっき初めて見つけてさ。
[思わず無断で、とエーリッヒの言葉にへらりと笑いつつ。
老人の言葉に、有難う御座います、と会釈を返して。]
いえ、まだまだ…堂々と誰かに聞かせられる程では。
弾いたのも随分久方ですし。
…また、誰も居ないときにな?
[大分鈍ってました、と。苦笑交じりに呟いて。
カーバンクルの不満げな声に、僅か肩を竦めればしゃがみ込んで。]
ええ。
曰く、「第二の人生」を楽しんでいるそうですから。
[かわいそうだと言う客人の言葉に、改めて花を見やる。
蕾を綻ばせた花は、朝に注いだ滴もすっかりと乾いて、
今は陽の光を受け、静かに其処に佇んでいた]
そうですね、申し訳御座いません。
貴女様には白の薔薇がお似合いになるかと思い、
つい、差し出がましい事を。
[謝罪の言葉を述べて、深々と頭を下げる。
顔を見せる時には、再び笑みが浮かんでいたが]
ナターリエ様は、お優しいのですね。
『気まずい…』
[運ばれてきて並べられた食事。
形式ばった一礼をして去っていった。サクヤという女性使用人。
だがその後も他の数人の使用人が幾度もホールを行き交っている。
どうやら明日の食事会の準備で忙しいのだろう。
そんな中一人ぼけっとしているのが……
それでも食事はしっかり取っている辺りやはり図太そうだ]
ええ、全く。
俺は専ら、書庫に世話になってましたからね。
それに、楽器は……不得手ですから。
……何か、訳ありなんですか、この部屋?
[ザムエルの問いに頷いて答えつつ、不自然に途切れたようなその言葉に不思議そうに瞬く]
……無断って……まあ、御大なら気にしない……かな?
[アーベルの言葉には、どこか呆れたように。
カーバンクルは、投げかけられた言葉に嬉しそうにみゅう! と鳴いて、尻尾をぱたぱたと]
―――思わず、懐かしくなって。
気付けば弾いてたんだ。
[オストワルト氏なら、許してくれるかと思って。
青年の言葉に肩を竦めながらも、カーバンクルの反応を見ればへらり笑んで。
と、老人の言葉に、瞬きを僅か繰り返しそちらへと視線を向ける。]
働き詰めだったものね。
娘さんたちに優しくしてもらっているのかしら。
[その視線を追い、光に白を際立たせる花を見る]
まあ、ありがとう。
でも別に優しくはないわ?
あなたはやっぱり、口がお上手
[くすくすと笑って]
白い薔薇も、
黒い薔薇も、
どちらもここにあるから、綺麗なのでしょうね。
[この部屋について問われ、ほんの少し迷った後に口を開く]
この部屋は、ギュンターが奥方の為に作った部屋なのですよ。
……と言っても、かなり前に亡くなっていましてな。
まぁ、ワシも少し聞いただけで詳しい話までは知らんのですが。
その…思い出の部屋、と言うわけでしょうな。
[それだけを語ると後は口を閉ざして]
[そのようです、と以前に送られてきた手紙を思い返しながら答え、
白に包まれた手は白の花に触れようとして、途中で止められる]
いいえ、フラウ、そのような事は。
私は自分の思うままに述べたまでですから。
[柔らかいながらも仮面のような微笑を宿した表情からは、
その言葉が真意か否かは、掴み取れまいか]
そうかもしれません。
あるべき物は、あるべき場所に――
[一瞬、モノクルの奥の孔雀石が眇められるが、すぐに戻り]
もし、他に何処か御覧になりたいところがあれば、
御案内させて頂きますが。
……懐かしく……?
[アーベルの言葉に疑問を感じるものの、それ以上踏み込んでよいのかどうかは躊躇われて。
そこに更に、ザムエルから思いも寄らない説明を受ければ、何となく言葉に困るものの]
……そうなんですか。
[そう、小さく呟くに止めておく。
それ以上は踏み込むべき領域ではないと、そう、判断したから]
[食事会の準備、そしてお披露目会の準備で屋敷の召使いたちはてんやわんやである
そんな中、ユーディットも例外でなく屋敷の中を東奔西走していたが]
……ピアノの音? いったい誰が
[そう呟くものの、まだやるべきことは山積み。軽く頭を振ると再び準備の続きに取り掛かった]
……大したことじゃないよ、
こっちに戻ってきてから、全然触れてなかっただけで。
[エーリッヒの呟きに、小さく笑みながら言葉を返して。
老人の話に、驚いたように目を見開き。僅か眉を寄せる。]
…ぁー…。そりゃ…
勝手に触ったら…マズかったかな。
良かったこと。
[途中で止まったその手に、答えに、彼女は執事に苦笑する。]
困らせてしまった?
ふふ、それじゃあ、受け取っておくわ。
――あるべきものは、あるべきばしょに?
[尋ねるように言葉を返して]
そうね、大丈夫よ。
でもあなたは、疲れているのではない?
…もしよろしければ、何か、お飲みになる?
作ってもいいなら、ご馳走するわ?
[少しいたずらっぽく、そう言う。
有能な執事は、その申し出にのれるのだろうか?]
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