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ワシゃ絡まれただけじゃけぇ。
自分ばペースでやるがよか。
他ん連中がそれば許してくれるち保証はなかがね。
[飛び回りながら聞こえた声に返す。愉しげな声であるのは言うまでも無い]
─公園─
[ふわ、と舞い降り、最初に目に入ったのは蔦の揺り椅子]
……なぁーんで、こんなのが……って、あ。
[惚けた声を上げてそーっと近づくと、耳に届くのは『興味』を向けていた二人の内の一方の声]
お客っていえば、お客なのかなぁ?
……もしかしたら、歓迎されない用事かもだけど。
[しばしの空白を挟み、投げかけたのはこんな言葉。
紡ぐ声は、常と変わらず軽めのもの]
[やれやれ。と、肩を竦める。
其処に誰が居るわけでもないのだが。
屋外に出て、ゆっくりと歩き始める]
せいぜい逃げ回るか…それとも。か。
出来れば見学したいがねぇ。
生憎、あの狐面の様に軽々と飛び回れるほど俺は軽くないからなぁ。
[ぶつくさ言いながら歩きつつ]
絡まれた、ねぇ。
よくもまぁ、そんな余裕をかましてられるもんだ。
[ソレは感心したような声。少し呆れも混ざっているかも知れないが]
おじさんも歳だって事は分かって欲しいがねぇ。
髪の毛も若い子に比べたら、どんどん後ろに下がってるのが目に見えるだろうに。
焦りを見せるんは相手に付け入る隙を作るよなもんじゃ。
こっちゃが余裕ば見せときゃ向こうが気圧されるか焦るけぇ。
まぁ、ワシんとっちゃ絡まれんも愉しいだけじゃがの。
[呆れの声に聞こえてもどこ吹く風。何事も楽しむのが男のスタイルなのだ]
じゃけぇ、おまはんばワシんペースに巻き込む気ぃはなかよ。
引っ張り回す気ぃもなか、安心せぇ。
―廃墟―
[無駄に熱くなった頭と体を川に放り込んで、暫く呆けた後で廃墟に戻る。
今日は魚は獲ってません]
はぁ、どうしたもんかねぇ。
[かなり落ち着いてはきているものの、やはり気持ち的にはすっきりしない。
ぶつぶつ言いながら、魚を干していたのを思い出してそこに戻る]
……なんだぁ?
[見れば本来あるはずのない物がこっそりと置かれていて]
歓迎されない用事、ですか?
…天使さ…んを、追い返すつもりはありませんけれど。
何の用事か、よりは。
なぜ私を、と聞いた方が早いかもしれませんね。
[紅のドレスを揺らし、ようやく揺り椅子から立ち上がる]
世間話であるなら、この椅子をどうぞと勧めるんですが。
[揺り椅子に片手を付き、紫紺の瞳をそこに向けた]
さてさて、今日はどうでますかねぇ〜
[いって、トランプを何度かきって、数枚めくって]
おやおや
[目を瞬く。といってもこれといって珍しい結果というわけではなく]
では、第二幕は地味な脇枠をいたしますかねぇ〜
[方針をきめてのんびり]
キャラメル?
[拾い上げて首を傾げて、魚の方を見れば魚が一つ減っていて]
猫…はこんな物置いていかねぇよなぁ…?
っと…
そういうこと、ね。
[ふ、と笑って。それはいつもの笑みと違う柔らかなもの]
代金、確かに貰ったぜ。
[そう呟いてキャラメルを一つ口に放り込んで、その箱を背負った袋に放り込む。
残った干物は纏めて縛ってやはり袋の中に。
袋の中が恐ろしい事になりそうではあるが]
用事、なんて、今の状況じゃ一つしかないもんねぇ。
[くす、と笑う。表情だけを見たなら、年齢よりやや幼い無邪気な笑みだが。
注意深く観察すれば、そこに潜む獣の陰は見て取れる]
なんで、って大真面目に聞かれるとアレなんだけど。
一言で言えば、興味、かな?
おねーさんが、どんな力を使うのか、っていうとこへのね。
[言いつつ、こてり、と首を傾げ]
世間話かぁ。
ザンネン、ボクの苦手分野だ、それって。
ま、つけいる隙を与えるってのは確かだがな。
誰とも相見えてないのにその様子ってのがねぇ。
お前さんは何と戦ってるんだか。
[冗談っぽく言うと、く、と小さく笑い]
お前さんのように軽くビルを越えられないからねぇ。
引っ張り回されたら全身筋肉痛じゃ済まなさそうだ。
―廃墟街―
[人気の無い道を一人歩く。
常のように足音も気配も伴わないが]
どう、しようかな。
[独り言が零れていては消された二つの意味は無い]
もう少し色々と話して性格掴んでおきたかったけど。
こんな状況じゃあそんな悠長なこと言ってられないよなあ。
[右手で押さえるケープの下には二枚のカード]
…先手必勝、なんて言葉もあるし。
[朽葉色はとある廃墟を見上げる。
消された気配と張り巡らされた警戒]
さぁーて、どっかに何ぞ居らんかのぅ。
[揶揄う対象を探しぴょーいぴょい]
森か、街中か。
エイキチどっちじゃ?
[肩に居る小猿に聞いてみる。きょろりと辺りを見回してから首を傾げた]
まぁどっちでもええかぁ。
[結局決まらなかった]
何て言うか…解りやすい性格だ。
[小さく笑い声を零す。相手には届かないだろうけれど]
この場合、俺の方が後手になる、のかな。
…それもいいか、どうせいつもと変わらない。
[砂色の裾を捌き、その建物へと向かう]
[さあ、待ち受けるのは一体『何』だ?]
自分とかかのぅ?
[カッコ付けて言ってみたが、笑う気配が声に乗るために全く様にならない]
かかか、そげなことんなったば大変じゃ。
おまはんがこん檻ば入ることんなっちまう。
……ほう。
[此処の連中なら確実に分かるであろう程、分かりやすい警戒の気配の出しているこのビルに正々堂々と入り口から挑んでくるものがいた。
果たしてそれは血気盛んだからという理由なのか。それとも、正面から全て叩き潰す為なのか。
なんにしろ、男のように年老いた人間には選択するべき道ではない。
若さゆえの、自身なのか、無謀さなのか]
……。
[そんなことを考えつつも、サブマシンガンを入り口に向けて、来客の歓迎を待った]
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