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[セシリアの笑みに、こちらも苦笑を返した。]
夢中になると止まらないのはよく分かるな。
[自身も調べ物やら何やらをはじめると、規則正しい生活はとたんに崩れだすのが。]
まぁ若い時は、多少無茶しても平気だろうけど。
折角の可愛い顔が勿体無いからな。
はは、昼寝すぎて、また夜寝られなくならないようにね。
[そうやって睡眠時間が一周すると、あまり身体には宜しくないので一応の忠告。
とはいえ、それが聞き入れられるなら、そも夜更かしなんかしていない、というのは自分が一番理解してもいる。]
[ぶつけた所を冷やしていると、トビーが懲りずに近付いて来て訊ねてくる]
………平気だってば。
[最初こそ困惑の表情だったが、次第にしつこいと思い始め。
少しばかり険を含んだ小さな声を発す]
はい、なんだかとっても順調で……この分ならきっと、父もすぐ見つかります!
[ギルバートに笑みで答える。
ハーヴェイの「可愛い」の言葉に顔を赤らめて、視線をそらした]
か、からかわないでください!
[なんにも気にせず近づいて、いくときに聞こえたギルバートの声に。]
わかんないー
[とりあえず答えた。意味がない答えだったけど。
それからラッセルに近づいた。
小さい声には、よく聞く感情。
きょとんとラッセルを見上げて、]
痛いんだったら無理しなきゃいいのに、ラッセルさん。
すなおにならなきゃ、損だよ。
そうやって。
[あんまり嬉しくなさそうな様子に、にこにこと笑う。
それから、主語もなにもない問いかけを。]
きらい?
……まだ、お休みしてらっしゃるのかしら、ね。
[テーブルに着く前に広間を見回すが、ヘンリエッタの姿はないようで。
後で部屋の場所を聞いて、行ってみようかと思いつつ。
ひとまず、空いている席について、朝食に手をつけた**]
[ギルバートとセシリアの会話は、ただ静かに耳に入れていた。
問われればどう切り替えそうか。
昨日考えていた事の結論はまだ出ていない。
ふぅと気づかれないよう息を吐きながら、飲み込むように紅茶を流し込んだ所で、隣に来たシャーロットに気がついた。]
おはよう。…どうかしたか?
[何となく、元気がないような様子に気遣うように尋ねた。
視線がラッセルとトビーに行くようなら、それを追って見るものの。]
―厨房―
[コップを持つ骨張った手が水を口に運び、渇いた喉を潤す]
それにしても賑やかですね。
[広間から聞こえて来る声に、露な片目が細まる。
洗い物をしている使用人が、楽しそうに同意の声を返してきた]
雨が止んだら、少し寂しくなりそうです。
[続けて、もう一度コップを傾けた]
[ハーヴェイやキャロルにも、椅子に座ったまま頭を下げる。ギルバートの問いには、自分も同じように首を傾げ]
さぁ、我が来た時にはもうラッセル殿も中に入ってしまっていたし、童っぱの言う事もよう分からぬ・・・
[そこまで話したところで、トビーの様子に気付く。確かラッセルはあまり人に近付かれるのを好まぬはず・・・そう考えて、慌ててトビーに声をかける]
わ、童っぱ。
ほれ、早く食べぬと飯が片付かぬぞ。
こちらに来て一緒に食べるといたそう。
止んでも暫くは滑るだろうなぁ。
[吊り橋の事を考えて、少しだけ困った顔をして]
流石に吊り橋から落ちるのは勘弁して欲しいし、夕方か…もしくはもう一泊かだな、これは。
[これをアーヴァインに言えば、間違いなく宿泊を勧めるだろうから殆ど確定のような物だけど]
あー、確かに旅してるとそんなもんかぁ。
陽のあるうちに距離稼がないといけないしな。
……うちのお袋と同じ事言うのなー。
[最後の一言に苦笑混じりにそう言って。
もっとも母親の言い分は「早く嫁を」と言う意味だろうけれど]
―広間―
[キャロルがやってくれば会釈をする。
ハーヴェイがなんかセシリアを褒めてセシリアが顔を赤くする様子にはちょっと不機嫌そうに。
手に持っていたパンをちぎるのが若干粗雑だったかもしれない。]
……(じーー
[こちらにどうしたと尋ねるハーヴェイの顔を覗き込む。
しばらくたってからゆめというように口元が動くが声はない]
そういう反応含めて、可愛いって思うんだけどな。
[セシリアの赤くなる顔、強くなる語調。逸らす視線とその仕草を、余すことなく愛でた。
観察するように見てしまうのは、職業柄かもしれない。]
ああでも、昔と比べて綺麗さは十分増しているよ。
そういう意味で可愛いは失礼だったかな。
[にこりと笑みながらさらりと言った。]
[向けられるトビーの笑みが、喪失したはずの過去を彷彿とさせる。
笑いながら近付いて来る子供達、その手に持っているのは石や棒。
人の皮を被った恐怖が迫って来る]
……く、るな……!
また僕を殴るつもりか…!
[トビーの声は耳に入らず、カタカタと小刻みに震え始め。
恐怖に顔を歪めながら、額を抑えていたタオルを投げつける。
投げたタオルはトビーからだいぶ逸れて、床を滑った。
タオルを外した額には、ぶつけた時の痣はほとんど無く。
代わりに古い切り傷の痕がいくつも残っていた]
[誰にも気づかれぬよう、溜息を一つ。
何か嫌な予感がするのだ。
それと反対に期待に満ちた自分がいる。
いや、むしろ期待が叶ったことを喜んでいるのかもしれない。
『予感』が何か、『期待』が何か、「喜んでいる自分」は知っている気がする。
ただ「不安な私」が気づかぬふりをしているだけで]
おはようございます。
[食卓につく人々にそう挨拶をして、不安な気持ちを紛らわせた**]
わかんない、かぁ。
[問いかけに返るのはそういう事で、きっと本人が言わないからだろうという確信をして。小さく聞こえたラッセルの声に少しだけ驚いて。
だけどこういう時には下手につつかない方がいいとは知っているけれど]
……あ
[トビーが話し掛けるのに小さく声を出して、どこか気に掛けるような視線を向けながら、パンを口に放り込む]
[マンジローの声は聞こえていたけど]
おなかすいてないのー
[そんな答え。
ラッセルへと視線を向けると、様子がおかしい。
またきょとんとした。]
殴らないよ。
だって僕の方が弱いもん。
殴ったって、僕が死ぬだけじゃない。
[触れることはないし、
一度遠くにいったタオルを見る。
再び、視線を戻して、痕を見る。]
――ああ。
痛かったんだ。
[納得したように言った。一度、自分の体を見下ろして、袖を捲る。その下には、同じような、それにあわせて凹んだり色が変わったりした傷跡が残されている。おんなじ、と呟いて笑う]
[様子を伺っていると明らかにラッセルの様子がおかしくて。声を上げるのに思わず立ち上がる]
って、おい、ラッセル…
[声を掛けようとして、トビーがそのまま話し掛けるのに気付いて口を閉ざす。
この位置からでは細かい物は確認できないし、話す声も全ては聞き取れないけれど]
雨上がりは特に、油断して危ないからな。…事故も起きてるんだっけか?
[そんな事を聞いたきもする。
もう一泊か夕方、には笑って。]
ま、ゆっくりできる口実が出来てよかったって事で。
夜は歩けないからな。
安全そうな所でじっとしているのが一番さ。
っは、いや待て、おかみさんと同じって。
歳くうと言ってる事は似てくるのかね…。
[流石に嫁とは言わないが。
はぁと息をつきながら、残ったパンを口にほおった。]
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