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[巨大な爬虫類のように変化した腕の、金属で出来たような鱗にナイフが防がれる]
(厄介な…!)
[その腕がカウンター気味に入りかけたのを紙一重でかわしつつ、しかしかわしきれずコートが少し削げたが、蹴りを放つ]
[身体の位置を少し入れ替えられた上、鱗の上からでは大したダメージは与えられない]
[しかし体勢を立て直す為に攻撃の手を緩め、戦闘のイニシアチブを渡したくない]
[無理な体勢のまま身体を預けると、力づくで窓に押し付け、ガラスを破ってもろともに飛び出した]
―西エリア―
[対峙した『万華鏡』の薄い微笑みが見える。
そして相手の手には、手品のように大鎌が出現した。
彼女の異能の一つ、武器生成であろう]
ああ。こっちこそよろしく――
[微かに頭を下げながら、意識はユーディットに向かう直線の経路へ。
足場を固め道とするように、『力』を注ぎ――]
お願いするだっ!
[まずは相手の力を量るべく、鉄槌を構え懐へ駆けた]
─中央部・廃墟─
[笑顔に対して笑顔で返される言葉。それに苦笑いを浮かべる。]
ですよねー。
[だが、スッと目を細めると、ぺろり指を舐める。]
まあ、でも素直に案内される気は無いですし、むしろ貴方がそこに行けばいいと思いますわ。
お・ば・さ・ん♪
……げっ……!?
[ふ、と掠めた嫌な予感は的中する。
無理な体勢のまま、掛けられる力。
逆らう暇も、空間を転移して逃げる暇もなく、そのままガラスを突き破って押し出された]
……いよっと!
[外に出た、と感じた瞬間、開くのは翼。
擬態を解いた事で、普段は隠している右の翼も姿を見せる。
漆黒の皮膜翼──龍の翼。
アンバランスな漆黒の両翼で身体を支えつつ、やや当てずっぽうな蹴りを繰り出しながら、距離を開けた。
このフィールドであれば、距離を開けた方が有利、と知るが故に]
─中央部・廃墟─
良く吠えますわね。
消耗を隠すための虚勢かしら。
[挑発するように紡がれた最後の言葉には全く反応しない。それは既に聞き飽きた言葉]
年上の女性を前にしてそのような言葉しか出て来ないのでは、語彙力もたかが知れますわね。
言い合っても平行線を辿るのは貴女も理解しているのでしょう?
それとも口しか動かせないのかしら。
そうだとしたら……そのまま地に伏せなさい。
[最後の言葉は低めに。右手にはバズーカ。銃口を地面へと突き刺した状態で引き金を足で踏むと、天に向けて排気しながら轟音を立てる。地面からは砂煙。一見見当違いな使い方のように見えたが、2・3秒後にカルメンの足元で爆音が轟いた。それは地下潜行型の爆破砲撃]
(飛び出したのは失敗だったか…!)
[窓の外に飛び出した直後に、翼を展開した相手を見て、どうにかくらいつこうとする]
[しかし相手の蹴りであっけなく身体は離れ、翼を持たないこちらは落下を始める]
[加速がつく前に右手のワイヤーを伸ばし、適当なビルの鉄柵に結びつけると、高速で巻き取って高度を得る]
[そして眼下、左右非対称の、しかしともに漆黒の翼の中心へ向け、左手でナイフを投擲した]
―西エリア―
まともに打ち合うは下策。
[藍の混じった瞳が細められる。
鉄槌の届くだろう範囲を見た目から予測しながら右後方へと跳んだ。
爪先に意識を一瞬集中させ、足をつける。
即座に蹴って次の動きとはいかないが、湿地に深く沈みはしない]
いささか不利ではありますね。
[言葉ほど困っているようには見えない顔で、ロミの左肩を横から薙ごうと狙って腕を動かした]
そうそう、都合よくは行かねぇ、か。
[地上に向けて蹴り落とせれば、という意図もあったが、ワイヤーの動きにそれは叶わず。
高度を取って投げ落とされるナイフは鉤爪で往なしつつ、距離を測った]
……ま、いつまでも遊んじゃいられねぇ、し。
そろそろ、本気で決めていく、か。
[小さく呟きつつ、右手に現れた針を左手に持ち変え。
牽制のつもりで一本、投げつけた]
─中央部・廃墟─
……さぁて、どうでしょうねぇ。
[オクタの言葉に、ニマリと笑う。さて、その真意は……]
……? なにそr……
[そして、地面へバズーカを挿しての砲撃に首を傾げていたが、]
!? ……っとぉ。
[足元での爆発の直前。後方に跳んで爆破砲撃をかわす。]
……しかし『年上』ねぇ。
見た目で判断すると痛い目見るかもよぉ♪
(…………お互いに、ね)
[その言葉(心の声含む)と同時。
いつの間にか変形していた十字銃で、オクタヴィアの立つ場所へマシンガン掃射。]
(やつの右腕に刃は通らない…だが、胴は生身だった)
[しかし胴体の急所を攻めるには、再び危険な間合いに踏み込まねばならない。しかも、この空中で]
[投擲したナイフはその布石]
[防がれることは分かっていた。牽制で、わずかでも空中で止まってくれれば良いと]
[投げると同時に、右手の、自身を支えるワイヤーを切り離している]
[その手でもう片方のナイフを抜きながら、ビルの壁面を蹴って勢いをつけ、竜とも鴉とも人ともつかぬ異形へ向かい、真っ向から飛び込んでいく]
―西エリア―
[さすがに初撃は回避される――ここまでは予測していたものの]
この足場には、もっと手こずると思ってただがね……!
[槌を持ち上げる隙を狙うように、左からの斬撃。
捻りを加え避けようとするが僅かに足りず、ショールが裂けた]
さて、いつまで涼しい顔してられるだか……!
[捻った勢いのまま、鉄槌を左後方へ振り被り。
体のねじりを戻すように回転を加え、ユーディットの胴目掛けて鉄槌を振り回す]
[空中であれば、自在に舞えるこちらが有利。
それとわかっているからこそ、多少の余裕はあった]
は、真っ向勝負くるか。
[支えを断ち切り、迫る様子。
口の端が、笑みの形の弧を描く]
……そういう事なら。
[刹那、『龍眼』に宿るのは、底知れぬ光]
受けて、立つ!
[羽ばたき一つ。羽音は二種。
飛び込む死神を迎え撃つよに。
異形の右手の鉤爪が繰り出され]
─中央部・廃墟─
わたくしは見た目で判断することはありませんわ。
けれど相手を詳しく知らぬのであれば、見た目で判断せざるを得ないこともありますもの。
特に年齢に関しては……ね。
[いつから”在った”のかは遠く彼方のこと。それは他の者に関しても同様。知る術が無いのなら、眼に見えるものを判断材料にするしかない]
[相手より放たれた銃撃は自分も良く使うもの。バズーカを地面へ捨て置き、それを盾にしながら何度かステップを踏み、離れ過ぎないようギリギリで銃弾を躱した。次いで手に握ったのはハンドガンが二丁。牽制の射撃を放ちながら、有効距離を測る]
[交差は一瞬。金属同士のぶつかり合うような音が響く]
[すぐに両者の距離は離れ、相手は空中に留まり、こちらは重力に従い落下していく]
[左手のワイヤーを伸ばして再び適当な建物に結びつけ、それを中心に円を描いて滑空するようにように地面に降り立つ]
[足を着いても、落下の勢いのまま数歩進んだ…ところで、唐突に足の力が抜けたように、崩れ落ちた]
[じわり、とその胴体の下から血溜まりが広がる]
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