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―自宅―
[驚く様子のミハエルには]
ゼルは、昔から優しい。
人を気遣って、思いやれる。
[親友だからこその、過大評価だと、他の人は言うかもしれないが、自分はそう思う。
親友の視線を受ければ、常のように]
事実を言っただけ。
悲しんでるやつを、追い込むようなやつじゃない。
泣くのは、悪いことじゃない。
[最後にぽつりと]
─白雪亭→村の通り─
ううん、あたしのは…あたしのワガママなだけ。
あたしがそうしてないと不安なだけだよ。
それじゃ、またね。
[ベッティからレーねぇのが強いと思うと言われると、苦笑して首を横に振って。
レナにもよろしくと言われればわかった、と笑顔で手を振った。
けれど、食堂を後にして向かった先は自宅ではなく。
ゲルダのいたパン屋だった。]
ゲルダ。
パン、美味しかった。ごちそうさま。
[そう、中に声をかける。
まるでそこに彼女がいるみたいに。]
ボクは、
……落ち着いていないようにみえるのだろうか。
[テーブルの前に置かれた水。
>>36 ユリアンの声に、翠は、ぱちくりと瞬いて]
でも。
でも、
レナーテは、…… 消える、覚悟は、
できていると、言って…いたんだ。
[ほうけた様だった翠が、口にした名前に、少し──揺れて]
─道具屋─
泣かなくても、泣いた時とは別の理由で心配になるよ。
我慢して我慢して我慢しすぎて、どこかで一気に爆発してしまわないかって。
普段のユーディットは表情をくるくると変えるのに、こう言う時だけ表情が変わらなくなるのが、俺は不安だ。
[思ったことを一つずつ口にして。驚きを示して顔を上げ、惚けたような声を出すのを見ると、穏やかな笑みを浮かべた]
そう、大切。
俺はユーディットが一番、大切。
……だから。
[続けて言葉を紡ぐ時、表情を少し心配げなものへと変えて]
ユーディットが辛い事、悲しい事を全部受け止めさせてくれないか。
全部一人で背負い込まずに、俺にも共有させてくれ。
───泣くのを我慢しなくても良いんだ。
[薬師の親友の、畑の主に諭されて、口許が笑う>>41。]
うん。
ゼルギウスは、いじわるだが優しい。
でも。
怒るのも厳しいのも、心配しているからだと、
もっと、口と態度に出せばいいのだよ。
[勿体無い。と、とくに皮肉るでもなくそう言って]
……そうだな。…泣く、だけで、すめば──
まだ。こわく、ないのかもしれない。
[ぎゅ、と自分を抑えるように腕を抱いて、震える声を低めて]
─白雪亭─
[ぱたぱたと手を振り、イレーネを見送る。
誰もいない食堂にぽつんと一人座る。]
………………あ、あれ?(ぽたり
[つぅっと頬を一筋の雫が零れ落ちる。一筋が二筋に、そして止め処なくはらはらと零れ落ちる。]
あれ? おかしいな。一人になったら、涙──止まんないや。
はは。緊張の糸、切れちゃったみたい。
[泣き笑いで一人呟いていたが、]
…………やっぱ悲しくて苦しいよ、ウェン……くん。
[締め付けられるような胸の痛みに身体を掻き抱き、一人静かに*泣いていた*。]
[ミハエルの様子に、親友はその頭を撫でていたか、声もかけていたことだろう。
自分は、ミハエルの方を見ながら]
それでミハエルが後悔しないのなら、それもあり。
悲しむことはあっても、後悔はなるべく残さないように。
[できるだけかける声は優しく、気をつけたつもりで、
二の舞を踏むわけにはいかなかったから]
すまない、うまい言葉をかけれず。
─道具屋─
……泣かなくて、も、不安。
[心配させないように、という気持ちが裏返しになること。
多分、直接指摘されたのは、初めてで。
一番大切、と繰り返されると、み、と短く声を上げてまた、俯いた]
……ずるいんだ、リィにいは。
そんな風、言われた、ら。
[ぽそぽそと、紡ぐ言葉は辛うじて届く程度のもの]
一番、大事……わかってたのに、わかんないって、言った意味、ないじゃない、かぁ……。
[一番深いところに沈めておいた言葉が浮かび上がってしまったら。
抑えていた色々が、滴と泣き声になって零れるのを、止める術は、見つからなかった**]
レナーテは、
… いのちは、消えることもあるもので、
ボクらが、蜥蜴を口に運ぶように、
刈りとられることで、廻り次に繋がるものであって
悲しみだけを産むわけではないのだと。
狩の、こころを、理解してくれていて
安心だと、言って──くれたのだよ。
[謝るユリアンに、ゆるゆると首を横にふる>>47。]
なのにだ。今のボクときたら、
── どうして、と、聞いてしまいそうなのだ。
[眉を寄せて笑う。ユリアンに向ける翠は、困ったようでも──抑えている様でもあって]
─パン屋─
…独りで、消えちゃったんだね。
さみしくなかった?哀しくは、なかった?
[中は、まだ彼女の痕跡をそのままに残していて。
本当にまだ、ゲルダが居るみたいで。
淡々と語りかけている自分は滑稽だったかも、しれないけど。
じわりと浮かぶ涙は堪えて、小さな声で問いかけた。]
ゲルダにも、あたしみたいなしるしがあったのかな。
[答えが返ってくるわけはなかったけれど。
しばらくその場で、ただ黙って立ち尽くして。]
…ごめんね、邪魔して。
それじゃあたし、帰るよ。…また、ね。
[想いが残るなら、彼女にも届くかもしれないと。
そう思いながら誰もいない店内に手を振って、家路についた。]
[ミハエルを抱きしめようと、伸ばされる手は親友の手か、自分の手だったか]
難しいことはいい。
感情と理屈は違う。
思う気持ちを、レナーテが否定することは、ないはずだ。
─道具屋─
[繰り返す言葉には、うん、と小さく頷きを返し。短く上げられた声と続く小さく紡がれた言葉をしっかり耳にすると、軽く目を見開いた]
ずるいかな、俺。
俺は想っていることを、伝えたいことをはっきり口にしただけだよ。
この間ユーディットに言ったようにね。
[声には少しからかいが載っていたかも知れない。ようやく泣き出したユーディットに、少し安心したように息を吐いた。少女の背に回していた手で、あやすようにとんとん、と背を叩いてやる。ユーディットが落ち着くまで、その仕草を繰り返すことになるだろう]
わからない。
わ、か… 、っ
[伸ばされる腕の服を震える手が藁に縋るように掴む。]
訊く、だけ、なら、まだ…いい。
でも、
… でも、今は。
ユリアン。ボクは
[段々と抑えていた感情が溢れるように声が揺れて翠が──涙に滲む。]
責めて──しまいそうだ。
どうして。と、
… 何故、と。
[声に感情が戻る。指先が震えて、どうしようもないように、口許を手で押さえ]
恨み、たくはないし、
…… 憎みたくもない、と思う
それ、は。それは。
…レナーテが、後に、伝え、ようとした、
こころを、捻じ、曲げるんだ。
[悲しみ以外を生むわけではない、と。そう、彼が言った言葉が、恨みや、憎しみを指すわけではきっとないから]
─村の通り→道具屋─
[遠回りをしたので、自宅に戻ったのは結構な時間が経っていて。
レナ心配してるかな、と心なしか早足で帰ってきたが。]
エーリ。
………ユーディ?
二人とも、どうしたの…?
[遠目からは、エーリしか見えず。
近くに寄ると、エーリの腕の中のユーディがないているのに気付き、胸のうちに言い知れぬ不安が沸いて。]
─道具屋─
[ユーディットが泣き止む前か後か。イレーネが戻って来たのを見て、視線だけ向ける。ユーディットは腕の中に抱えたまま]
イレーネ。
……うん、ちょっと。
[歯切れ悪く言い、一度視線が地面へと落ちる。それから一呼吸置いて、イレーネへと視線を戻し]
…イレーネ、心して聞いてくれ。
───レナーテが、消えてしまった。
[一言前置きをしてから、肉親の消失を告げた]
ミハエル、今は泣いていいときだ。
[そっとミハエルの背を撫でる手]
ここであったことは誰にも、言わないでおく。
[親友にもそれで頼むと視線だけで、きっと親友からは了承の意が返るだろう。
ぽつりぽつりと、語られる言葉に]
ここで全部出して、後に残さない。
それもありじゃないか?
いっそ恨まれたほうが、楽なんだが。
難しいものだな。
[呟くコエ]
これでいいのか?
よくわからない。
ゲルダにもこうして、手を差し伸べてあげるべきだったのか。
[答えの返ることのない、コエは自問のように]
─道具屋─
うん?
………え…?
[いつもの飄々とした様子ではなく、言い難そうにしているエーリを怪訝に見て。
続いた言葉が、一瞬理解できなくて。
強張った笑みが浮かんだ。]
やだ、そんな冗だ…
[言いかけて、エーリがこんな冗談を言うわけがないと口をつぐんで。
俯いて、小さな声を絞り出し。]
…エーリとユーディが、側にいてくれたの?
[兄の最期を聞いた。]
─道具屋─
[イレーネの笑みが強張る。それを見て、軽く眉を顰めた]
俺は、直接見たわけじゃないんだ。
ここに来た時にはユーディットしか居なかった。
ユーディットから消えたと、聞いたんだ。
[自分が知り得る限りをイレーネに告げて。最後の言葉と共に視線は腕の中のユーディットへと*向けた*]
─道具屋─
……そう。
ありがとう、ユーディ。
…レナの傍に居てくれて。
[エーリの言葉を黙って聞いた後、ユーディの頭を緩やかに撫でて。
ユーディに向けた微笑みをそのままエーリに向けた。]
…ごめん、エーリ。
ユーディ、送っていってあげてくれる?
[どのような返答が返ってきただろうか、それに対してはユーディのこと頼むね、とだけ返して。
二人が見えなくなるまで見送ると、店内に入って兄が作業していたらしい跡を見て、子供の頃母の狩りについていく兄が羨ましくて駄々をこねた時を何故か思い出した。]
…また、置いてかれちゃった。
─ユリアンの家─
ユリアン。
でも、
[でも。と、重ねかけて、黙り、]
─── ボクは、嫌な…子、だ、な。
[レナーテにも、エーリ兄にも。嫌われてしまう。と、自嘲のような泣き笑いを浮かべた。]
レナーテでなければ、
イレーネだったかもしれない。
…ユーディだったかもしれないんだ。
レナーテは。
覚悟を、していたはずなのに、
なのに。
…… 違っていたら、いいと、思ってしまったのだよ。
[ふる。と首を横にふる。]
…なでてもらえないのも、ふれてもらえないのも、
あの紅い目を、もう、みつけられないのも
いやで、いやで、さみしくて、
かなしくて、ひどく──くるしいが、でも
…っ、
[声が詰まり]
どう──して、レナーテだったんだ?
[声が尋ねて、ぱた。と、翠から滴が溢れて頬を伝う。]
どうして。
[答えの返らない問いを重ねて]
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