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[残りの四端を探してさ迷い歩くうちに空が白み始めていたか。
いよいよ精根尽きたのか、路地裏で項垂れていた。
ぼうと地面を見つめていたが、ざっ、と誰かが眼前に立つ気配に緩慢に顔を上げると、そこには]
…………キュー、ちゃ、ん?
[今にも泣き出しそうな顔でQちゃんが立っていた。]
[名を呟く、その際の心理は知る由もなく。
知ったとしても、理解の及ぶ所ではなく。
故に、そちらには特別感慨もない様子でええ、とだけ頷いて]
……決着、って、この間のっすか、もしかして?
[どこかわざとらしく、瞬き一つ。
あの時は本調子ではなかった事と、結界を揺らがせる訳にはいかなかった事。
そして、一撃を受けた事から、引いた訳だが]
俺は、別にこだわりないんですけどねぇ……。
ほかに、何か?
[風にあおられて髪が揺れる。
夏とはいえ、夕暮れを過ぎればそれなりに涼しい]
…俺の平穏な日常を奪った代償は大きいんだよ。
イライラしてるから、今なら平気で女相手でも殴れそうだし。
だから別に、お前相手じゃなくてもいいといえばいい。
…九条院だって、お前らの一味なんだろ?
[従姉殿という言葉、指している人物が想像どおりであるならば。
僅かに目を眇めて]
まあ、ないっすね。
部活在籍時は、立ち合いもしてなかったですし。
[さらりと返しつつ。
続けられた言葉に──表情が、明らかに、変わる]
……確かに、従姉殿は麒麟──俺たちと同じく、『四瑞』を宿す者です、が。
そっちに手ぇ出すってんなら……俺、黙っちゃいませんよ、先輩?
[低くなる、声。
それは滅多に響かせる事のない、鋭さを帯びる]
[くすり、と。
予想以上の反応に、思わず唇が歪んで笑う。
『墜ちたら泣かせる』という言葉。
あれからたまたま時間があった時に少し考えてみたのだが、予想外にあてはまる人物がいてカマを掛けてみただけなのだけど]
…お前の意見なんか、聞いてたまるかよ。
[今の気分なら、本当に九条院を殴り飛ばすぐらいのことはできそうだったから。
漆黒の瞳を丹朱に染めて]
そんなに九条院が大事なら、テメエが力尽くで止めて見せろ…!!
[左の手には鞘のない小朱雀。
ひゅ、と小さく空気が鳴ったかと思えば、幾分か距離があったにもかかわらずその姿はすでに目前へ。
ぐ、と近づいたと思えば左の上腕を狙った突撃を繰り出そうと]
聞いてもらえるなんざ、思ってませんがねっ!
[吐き捨てるよに言って。
丹朱に染まる瞳を、真紅のそれでき、と睨み返す]
んなもん、わざわざ、言われなくたって──!
[瞬間に詰められた、距離。
舌打ちしつつ、大きく右方向へと飛び退き、突撃をかわす]
こちとら、ずっとそう、決めてんだよっ!
[着地と同時、翳す手に握られるのは天凰刀。
躊躇いなく引き抜いたそれを、両手で構えつつ、呼吸を整える]
は。
[笑う。嗤う、哂う──嘲笑う。
これが、自分の知っている鳳光邦と同一人物なのだと思えば思うほど、かすかではあるけれど笑いがこぼれて仕方ない]
笑わせてくれるもんだな。
[丹朱の瞳に感情は薄く、柄を握る手には籠る微かな力。
うすくうすく、つめたくわらう。
文書に載っていた文言を思い出す。朱雀は凶将。
招風神または飛火とされ陽の気ばかりで陰気の不足を招き、華やかな分プライドが高く周囲との和合に問題がある、と]
何を決めてんのかは知らないけど。
黙ってないんだろ?止めるんだろ?なら───
[薄く、唇がつりあがる]
少しはしかけてみろよ。
[昨日の大朱雀錬成の余波のせいか、体の動きは先日にまして軽く、早く]
[向けられる笑い。
それは、ほんの少しだけ、記憶の奥底の何かを刺激して]
は……上等。
[低く、呟く。
『封護の陣』を正し、解するため、麒麟の癒しを受けて来た事もあり。今は、心身ともに、万全に近い状態。
その状態をこう使うのはどうなのか、という冷静さは、今は感情に打ち消され]
……はっ!
[短い気合の声。
屋上を蹴る、乾いた音が響く。
低く構えつつ、一度開けた距離を詰め、放つは左下段から、右上へと抜ける斬り上げの一閃]
[駆け出すのとほぼ同時、意識に諌めの声は響いたけれど。
それに答える事はなく。
その様子への、困ったような麒麟の嘆息は、他の四瑞の元にも届くか]
こいよ。
[くす、とちいさく、嗤う。
僅かに構え、それから丹朱の瞳が細まる。
まるで戦場にある自分こそが生来の性とばかりに。
こちらへと飛び込んでくる姿、切り上げの動きに冷めた表情と言葉一つ]
遅ェんだよ。
[もっと速い動きを知っている。
そんな口ぶり。
たん、と最小限の動きで左へと体を回転させるように下がったかと思えばその体は後輩の背に向きあう位置に]
───weekira boh fayra/hymmne:ruinie
[僅かに口元で紡いだ音は大爆発を引き起こす]
[背に回った気配と、紡がれる言葉。
それが何を意味するか、考える余裕はなく]
……ちっ!
[舌打ちの後、とっさに放つは、『音』。
五色の翼を開き、上昇することで直撃を避ける。
爆発の衝撃を受けてか、ひらり、羽が数枚、舞い落ちた]
速きゃいいってもんじゃ、ないでしょーに。
[返す言葉は、どこか軽く。
それでも、真紅は真摯なまま。
呼吸を整え、天凰刀を握り直し、大気を打って降下する。
再度、懐飛び込み狙い──と見せかけ、直前の急停止から、着地点を背後へと変え。
右足を軸にくるり、回りつつ、斬り払いを放つ]
「…………どうして?」
[どう見ても満身創痍な彼女を見て、Qちゃんが泣きそうな声で聞いてくる。
それに、たははと苦笑いを浮かべると]
だって、ヒサタカが信じたキューちゃんが苦しむなんて見たくナイし、もし戻ってきた時にキューちゃんが居なくなったらヒサタカ泣いちゃうもん。
[もちろんQちゃんが自分のために戦っていることを苦しく感じていることもわかっている。
でも、Qちゃんが痛い思いをする理由なんてきっとない。
だから、大きいワタシたちが代わりに。]
[ひらりと落ちる羽根、見覚えがある気がしたが今はそんなことはどうでもよく。
爆風を収束させてちら、と舞い上がった姿を見上げるも]
遅いよりはましだろうが。
……蝋で固めた鳥の羽根ってわけじゃあなさそうだな。
[ひらひら落ちていく羽根を少し見送ってから小さく嗤う。
前方から来ると思わせ背後からの切り払い、少し瞠目はしたが背に傷がつくことなど気にもしないのか微かに刃によって服に血が滲んでもそれを感じないかのように無視して一歩下がると、斬り払いによってできた相手の面への隙を狙ってその左眼球を狙うかのような突撃]
[浅い手応えに、遠かったか、と考えたのは刹那]
蝋で固めた、って、どこぞの神話ですかと……っと!
[さすがに目への攻撃をまともに喰らう訳には行かず、右方向へと跳んで回避を試みつつ。
意識を集中し、『音』を一つ紡ぐ。
揺らめくは銀の焔、それは鳥に似た姿を象り、響へと飛ぶ]
[小さく舌を打つ。
狙いは別に悪くはなかったとは思うのだが、その辺はまだ自分の中に甘さがあるのだろうという判断。
ひゅ、と後方へ大きく下がると左の手の長刀に炎を奔らせ]
さぁて、墜ちたくなけりゃ聞かないほうがいいんじゃねえの?
[斬、と縦に銀焔の鳥を断ち。
やはり獲物が使いにくいのか、僅かに不機嫌そうな顔をしたが]
…派手な音は、集中しなきゃ使えないらしいな。
[気づいたように言葉にわざとする。
そして背に白焔の片翼を顕現させればぐん、と大きく近づいて]
──dople fayra tussu:hymmne>>naja
[口にする音は人の言葉にあらず朱雀の言葉。
長刀を大きくふるえばその軌跡は焔弾をいくつも造り上げてその軌跡のごとく襲いかかる。
二すじ、三すじとそれは集中をする暇を与えぬように連激となり]
つーか、神話云々は、どうでもいいんですけどねっ!
[さらりと返し。
接近前の言葉に対して浮かべたのは、不敵とも取れる笑み。
集中は、確かに必要。もっとも、それは威力を抑えるため、という側面もあるのだが、それはさておき]
…………。
[迫る焔弾の連撃に目を細めつつ、一つ、息を吐き。
天凰刀を目の前に垂直に翳しつつ、真紅の瞳を細める。
五色の翼が大きく広げられ、銀の光の粒子を零した。
避けではなく、受けの構え。
同じ火気でも質が違うため、完全に打ち消すには至らない。
ならば逆に受け止め、喰らう。
無論、全弾、という訳には行かず、数撃受けた所で上空へと逃れ]
……あー……あつっくるし。
[零れた言葉は、どこか愚痴めいて]
何、お望みなら焼き鳥にして食ってやってもいいけど。
[もちろんそれは、墜とすことが前提の話。
焔弾は相変わらず目くらまし、もしくは緩衝材でしかなく。
その間に、いい加減使いにくい獲物をどうにかしようというのが目的]
WAS YEA RA CHS HYMMNOS Fayra:E-z
was yea ra chs hymnos yor
en chsee fwal fwal yor
exec drone hymnos Fayra:E-z
enter>>H-S//
[蒼炎を巻き上げて、炎は金属を灼き、新たな形を錬り上げる。
先日と違って翼は片翼のままであったけれど、錬成される大朱雀]
夏は、暑苦しいものだろうよ。
[ふ、と舞い上がればその重みを無視したような動き、下方から薙ぎ払う動作で右下から左上へと斬り払う動作]
食われる趣味は、ございませんよ、っと!
[返す言葉は、まだ、軽く。
薙ぎ払いの一撃は、目晦まし代わりの銀焔の鳥を一羽放ちつつの上昇で、ぎりぎり避けた]
ま、寒い夏は願い下げ、ですけどね……。
[呟き、距離と間合いとを、測る。
有効範囲の差に関しては、さすがに諦めの境地。
ならば、こちらはどうするか。何とか彼我距離に飛び込む以外にはないのだが]
……しゃあね、やるか。
[ぼやくように呟き、『音』を連ねる。
集中なく、ただ力の赴くままに紡ぐ『五音』。それは銀の焔を具象し、それは刃を、そして翼をも、包んで]
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