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─ユリアン宅─
[じっ、と観察するようにも、
翠は語るユリアンを見ていて]
……ユリアンは、難しいのだよ。
わかるゼルギウスは凄い。
[僅かに揺れる機微の全ては読み取れない。だから、そう、素直な感想を零して、座っていれば届く高さの頭に、手を伸ばした。]
ボクは、到底、
…きちんとなど、汲める気がしない。
自分を元に、……想像するくらいしかできないな。
[くしゃ。とバンダナの上から、ユリアンを撫でて]
─ユリアン宅─
… 綺麗。か。
[父から聞いたという花の話しに、自分の目には──刈られた命で咲いた花は、どのように映るのだろう、と、一度手を止めて]
… ちょっとはお返しせねば、立つ瀬がないのだよ。
[逆。といわれて、真顔でそう返してから、笑う。]
責められたいとか。あまり情けない事を言われたら
頭突きでもしてやろうかとも思ったけれどな。
ゲルダ、
会いたい、とは、言わない。
[それは自らの死を望むのと同じこと、彼女に言った言葉を否定すること、彼女を裏切る言葉]
今の姿、見せたら、心配をさせてしまうんだろうな。
ただ、ゲルダ、忘れることは、できない。
ゲルダをなかったことにすることは、できない。
それはもっと、悲しくて、寂しいことだと、思う。
ゲルダがたとえ、忘れること、望んだとしても、忘れない。
[告げるコエ、ゲルダにあてるコエ]
もし忘れろっていうなら、その言葉の数だけ……、
[その最後に続く言葉は、胸中に呟いた]
─道具屋─
[ベッティの挙動をじっと見、紡がれる言葉を黙って聞く。『刻』がどんなものなのか、人が消えて行くことに対する覚悟が出来ていた自分は比較的に容易に事実を受け止めて来れたけれど。目の前の少女はそうも行くはずもなく。ぎこちない笑みに悲しげな表情を浮かべた]
うん……そう、だよな。
もう何人も消えてしまった。
でも、さ。
悲しい時は、泣きたい時は、我慢しなくて良いと思うよ。
溜め込んでるものを全部出してしまうと良い。
[以前ベッティが泣いた時にしたように、その頭に手を伸ばし撫でようとする。ベッティ程思い詰めていない自分に彼女の心情を理解し切ることは出来なかったけれど、その負担を少しでも減じたいと、そう願って]
[それから、ユリアンの話を聞いて、
それも、ひと段落した頃か。]
…ユーディ。
[友人の名前を呼んで、手招く。]
……さっき。居合わせた、と、言っただろう?
[やはり主語のないままで。
消えた人の事を、尋ねる。]
──どんなだったか。と、
聞いてもいいかね。
[聞いた処で。どうしようもないことだったかもしれないけれど。それでも、消えた時の事を知りたくて、居合わせていた、というユーディに、こっそりとそんな話を尋ねた。]
返事のないラブレター、送ってるみたいだ。
[ぽつりと呟くコエ]
誰かに聞かれたら、ますます変な人、だな。
[ミハエルに、語った後、わずかな時の間のコエ、その返事が返る前のこと。
自分が変わった大きなきっかけはきっとゲルダで、そしてそれによって悲しむ事が増えても、恨むつもりはなく、送るのは*感謝の言葉*]
─道具屋─
[エーリッヒの悲しげな表情に、視線が泳ぎ。]
…………ごめん。変なこと、言い出しちゃって。
[目を伏せ、謝罪の言葉を呟いた。
続く言葉には、暫しちらちらエーリッヒの様子を窺っていたが、]
だったら……ごめん、ちょっと向こう向いてて。
[そう言って、エーリッヒの背後の方を指差す。
それにエーリッヒが従ったとしたら、エーリッヒの背後から手を回し、腰に抱きつく。]
……ごめんね。泣き顔は、もう、見せたくないから、さ。
[そう言って、落ち着くまで、ぽつぽつと思うことや心情を背中越しに呟いていただろう。
結果として、泣き顔を見せたり、泣き喚く様子を聞かせるということはなかった。
落ち着いたあとは、戻るなりどこか行くなり、とりあえずエーリッヒに付き従っていくだろう。]
─道具屋─
[謝罪にはふるりと首を横に振る。心情を理解してやれない申し訳なさもあった]
え、ああ、うん。
[後ろを向けと言われ、言われるままにベッティに背を向ける。腰に抱き付かれると少し驚きを見せるが、振り返ることはせず。ベッティの気が済むまで語られる言葉に耳を傾けた。時折相槌を打ったりもしたことだろう。ベッティが落ち着いたなら]
一旦ユリアンの家に戻ろう。
ユーディットやミハエルも心配してるだろうから。
[ね?と提案して。返答を聞いたなら、ベッティを連れてユリアンの家へ戻ることに*なるか*]
―ユリアン宅―
[ユリアンが語る『死神』の話は、黙って聞いていた。
ただ、自分たちを刈るもの、としか聞かされていなかったものたち。
彼らが求める花とはどんなものなのか、そしてそれを見る事は叶うのか――そんな事を、ふと考えつつ]
……ふに?
三回、リィにいのとこにって……でも。
[刈られて、ないよ、と。
話の中で、ふと感じた疑問が言葉になって零れ落ちた]
[疑問に返る答えがどんなものであれ。
エーリッヒが戻って来たら、大丈夫なのか問おう、と心に決めた所で]
に……どしたの、ミィ?
[手招きされて、こてり、と首を傾げる。
足は落ち着いているようだったから、立ち上がって、ミハエルの傍へ向かい]
……どんな、だったか。
[主語のない問い。
軽く、目を伏せる]
……直接、消えるのを見れた訳じゃないんだよ。
また後でね、って言って、帰ろうとして。
そしたら、何か、駆け抜けてくみたいな感じがして……。
それがなんだか、気になって振り返ったら……もう。
[いなかったんだ、と呟くように告げて]
……ただ、その時に、ね。
花が見えた気がしたんだよ。
[思い返すのは、刹那の幻視のような、影。
どんな花かと問われたなら、しばしの思案の後に、釣鐘草の名を口にする**]
―自宅―
[ユーディットのもらした疑問の言葉]
エーリは、『死神』に刈られることはない。
ただ、消えないとはいえない。
[直接のことは本人に聞き話すようなら、と付け加えて、ただ疑問に対する答えになることだけ伝えた。
難しいとの言葉、確かに自分を一番理解してくれたのはただ一人の親友。自分が感情を触れ合わせた、数少ない相手。
今はもうそうすることもできない。
他人と心を触れ合わせ、接するのはやはり自分には難しく、それでもそうしないことは親友への甘えに思えた。
何よりも、同じ『死神』に憑かれた仲間に、消えた彼女に、申し訳が無い様に感じた]
うまく、伝えられなくてすまない。
[腕を伸ばすのに気付けば、身を低く、それを受け入れようと。
頭を撫でられる感触]
こうされるのは、父さんにずっと昔に、以来だ。
[ミハエルからの気遣いを、今はすんなりと受け入れて感じることができた気がする]
―自宅―
[笑うミハエルに]
ミハエルにはそうやって、元気で笑っていてもらえると嬉しい。
それがお返し代わりにもなる。
[頭突きをとの言葉には]
甘えに飛び込んでくるんなら、いくらでもかまわないが。
[と冗談とも本気ともつかない様子で。
口調も表情も変わることがなければ、やはり親友以外にそれはうまく読み取れないのだろうが。
二人の少女からは、ジト目で見られることになったかもしれない。
ミハエルがユーディットに話を聞きに行くのは、自分は静かに*聞いていた*]
─ユリアン宅─
……刈られない、けど。
消える可能性は、ある。
[疑問に対するユリアンの返答を、口の中で繰り返す]
わかったんだよ。
後で、自分で聞いてみる。
[疑問は感じるものの、先に二人だけで話していた事とも関わりがあるのかも、と思い至り。それなら、直接聞こう、と思った]
……リアにい。
それって……。
[その後の、甘えに云々と言う言葉は、変わらぬ調子で紡がれた事もあって真意は読めず。
お約束のように、ちょっと呆れた視線を向けたとか]
─ →ユリアン宅─
[落ち着いたらしいベッティの頭をぽんぽんと撫でて。少女を連れてユリアンの家へと戻る]
ただいま。
ベッティも連れて来たよ。
[ノックの後に直ぐに扉を開き、自宅よろしくそんな言葉を口にして。ベッティを先に中へ通してから自身も家の中へと入った。その後、当たり前のようにユーディットの隣へと座る]
―自宅―
[後で自分でと、ユーディットの言葉には頷いて、
呆れた視線を向けられれば、ちょうどエーリッヒたちが家に来たところで]
わかった、二人の分もお茶用意する。
[ベッティの様子はどうだったか、ちらりと見てから二人の分のお茶の用意もした]
─ユリアン宅─
……あ。お帰りなんだよ。
[開いた扉の方を見て、戻ってきた二人の様子に、ほっとしたような声を上げる]
ティ、大丈夫?
[そ、と投げた問いかけに、返ってきたのはどんな答えか。
ただ、落ち着いているらしい、というのは見て取れたから、そこには安堵して]
…………。
[エーリッヒが隣に座ると、少しだけ、惑うようないろを乗せた目で見上げる。
先ほどユリアンに聞いた事を問いたいような、問いたくないような。
迷いの元は、そんな思い]
─ユリアン宅─
すまないね、頼むよ。
[お茶を、と言うユリアンにはそう答えて。隣で見上げて来るユーディットに気付くと]
ん?
どうかした?
[三人で話していたことは知らないから、微笑みながらも不思議そうに見返した]
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