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磨り減りもするのでしょう。
人間の言葉を理解するということは、人間と同じ思考を持つということ。
繊細にして残酷な思考をね。
[微かに唇の端を上げて]
[店を出る]
[密やかに]
無駄なことは嫌いなの。
悲鳴を聞いて自己満足に浸っても。
私には何の得も無い。
貴女に聞かせられないのは。
確かに悪いと思うけれどね?
[クスクスと笑いながら]
[宿の裏へと回る]
[呟きに反応したパトラッシュが行って来いと言ってるように見えて]
じゃちょっと行って来るね。
[パトラッシュの頭を一撫ですると、一旦自室に戻り着替えを持って。また降りて来るとそのまま風呂場へと]
[食事を済ませ、薬も飲み。
ぼんやりとした視線を、窓の向こうへ投げかける。
不安と安堵と、それらが複雑に絡み合った心情を抱えつつ、胸元の蛍石を握り締めて。
頭痛は今は静まり、ただ、微熱による、ぼんやりとした感覚があるばかり]
[思考の奥だけで、フランがどこにいるのかを理解し]
大丈夫。
今なら、誰もあの人間を気にしている人はいないわ。
・・・ひどい話。
人間が、人間と断定できた人を誰も守るような真似をしないんですからね。
人間なんて・・・やっぱり、こんなもんね。
ふ。
人間は数が多い。
だから簡単に仲間をも切り捨てる。
そうでなければ。
審問など起きない。
人間なんて「そんなもの」よ。
[険しい視線]
[完全に足音を潜めて]
[その部屋へと近付く]
[風呂場に誰も居ないことを確認すると、脱衣所で帽子を取り、服を脱いで。中に入ろうとするところで鏡に映った自分が見えた]
……同じようで、違う。
僕はディであって、ディじゃない。
[鏡に向かって手を伸ばす。鏡の中の自分は同じようにこちらに手を伸ばし、手と手が重なる。瓜二つだった双子の片割れ。生きていたら自分と同じこの顔になっていたのだろうか。その姿を見ることは既に叶わず。瞳を伏せ、顔を逸らすと風呂場へと入って行った]
[気配だけで、ディーノがいなくなったことを感じると、シャロンは、ゆっくりと立ち上がり、パトラッシュの横へと]
・・・。
[冷たい目で見下ろす。
パトラッシュの目の中を見つめる。
何も言わず、ただジッと。
―――ややして、フッと小さく笑うと、元の席に戻っていった]
〔帰ってくると、工房に書置きがあった。自警団からで、即席でいいので、杭を作って欲しいとのことだった〕
…まだ、復旧が進んでないんだな。
〔明日すればいいだろうと思い、着替えを持って風呂に入る。湯船につかるとそのまま溶けてしまいそうなほどであり、全身が強張っていた事を気づかされる〕
そう。そうね。
審問なんてものは、人間の都合でのみ描かれる。
なら、私達は、他の物語を描きましょう?
幻や夢のような―――物語を。
[唐突にシャロンに瞳を覗き込まれ。
その目の冷たさに、ぞくりと背筋の毛が逆立った。
――今の表情は。 何、だ?
ディーノが向かった方を、振り返り見る。
何故、そちらが気になったのかも、判らないまま。]
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