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―西殿―
おや俺にとか珍しい。そういうのって大概ザム爺とかに矛先向くのかと思ったんだけどなー。
向こうの事か?
[向こう、とは生命の海の事。]
時間はそうだなー、そろそろおいさん休もうかと思ってたし。
寝物語に話せることもあるだろうさ。
[へらりと笑って。暗に向こうでなら構わないと告げた。]
―西殿―
おじ様のご趣味について、とかはいかがかしらね。
[冗談交じりに呟いて、微笑みを浮かべる]
おばあさんもそろそろ、ちょっと休もうと思ってたところだから。
少しだけ、お付き合いお願いしようかしら。
[微かに申し訳なさそうに、命竜へと呟いた]
―― 東殿・自室 ――
[ベッドに腰掛け手袋を外すと、青く光るメタルの腕が露になる]
…ユル
[呼び声に応えるように、その腕の光が、文字のような形を取った]
封印第三段階解除。
[浮かび上がった光の文字が光の輪となってメタルの腕を取り巻く]
Set on!
[声と共に光は解け、一瞬だけ小さな竜の形をとって空中へと散る。やがて輝きを喪ったメタルの腕は、ベッドの上に力無く落ちた**]
…心んなかまでは流石に覗けないしなぁ…。
[形ばかりの礼を告げて、その場をあとにする。]
心…アーベルにでも聞いてみるかな?
―西殿→東殿・自室―
うはは、俺の趣味?怪我治しだな。
[それは趣味とは言わないが。]
おうよ、んじゃご一緒しませうか。
[申し訳なさそうな様子には、けらり笑って首を振り。
そして東殿の、借りる予定であった部屋へとブリジットを案内した。]
―西殿→東殿・命竜の自室―
[その場に残った者達へ一礼してから、クレメンスと共に東殿へ向かった]
あら。それじゃあもっと無茶した方が良かったかしら。
[冗談交じりにくすっと微笑み。
部屋へと案内され、お邪魔しますと告げ、中へと入っていく]
……お疲れ様?
[微かに首を傾げ、気遣うように微笑んだ]
―東殿・自室―
まぁ俺が居る時ゃいいけど。
怪我したら痛ぇし居ないときがな。
[冗談に軽く肩を竦めるように返して。
訪問客を招きいれ、椅子を勧め、部屋に置いてあった備え付けの湯でお茶を入れ、氷をいれて出す。
ちなみに一人、氷竜の分だけだが。]
んー…まぁそれなりにだな。
[気遣いにへらり笑うが、部屋に戻れば気が抜けるのか。少しだけ、表情にはまた影が出た。
自分は代わりにベットを椅子代わりに腰かけ。]
んで。
ダーヴィットの事か?
[向ける笑みは、変わらない。]
―東殿・命竜の自室―
それもそうね。やめておきます。
[くすりと一度だけ微笑んだ。
勧められた椅子へ、素直に腰掛け。お茶へと氷を入れてくれた気遣いには、]
あら、ありがとう。
暖かいのも飲めるし、好きなんだけれど。
疲れたときには、冷えてる方が嬉しいわ。
[と答えた。
微かに、命竜の笑みに影が差した気がしたが、ふるりと首を振り。
ベッドへと座る彼の口から紡がれた言葉に、肯定の意を込めて、頷いた]
[自らの言葉を紡ぐ前に、ブリジットは袖から小瓶を取り出す。
中に入っていた水晶の粉末を、空中へと振りまいた]
周りに音を聞こえない様にする、簡易封印結界。
あまり効果は無いかもしれないけれど、念のためね。
[そうして、また一息ついたところで]
……本題に、戻るわ。
彼を……若焔を、信用しない方がいい。
前に、そう言っていたわよね?
さて何処まで話すべきか。
[思案する。おそらく簡単な嘘や冗談は通じまい。
事を進めるには、それなりのリスクを払う必要がある。
それが自分の事ならば簡単なんだがとは、密やかに胸中で。]
―東殿・自室―
あらそう?じゃ次から好みをいってくれればそうするさ。
[へらりと笑みを浮かべ告げて。簡易の封印はちらりと見た。
本題には、笑みを湛えたまま少し黙る。
さて話す言葉を選んでいるような素振りではあるが。
暫くして、おもむろに立ち上がると、部屋の明かりを消した。
窓は開けていない。今がどんな時間であれ、部屋の中は暗くなる。
そうした後で、足跡と、再びベットに腰かけるような音。同じ位置に戻ったらしい。
おそらく暗闇に不安か、疑問を浮かべているだろう氷竜に、闇の中から見えない笑みを浮かべ。
片手を上げる。魔道のように、その手に力を込めた。]
―東殿・自室―
[そうすれば、クレメンスの周囲に、ほの光る細かな琥珀色の粒子が見えるだろうか。
それは部屋のあらゆる場所を浮遊していた、当然、ブリジットの周囲にもあった。]
…これが、何なのか。一言で言うのはちっと難しいから長くなるが。
これはあらゆる生命の中にある、生命を構成しているものの一部だ。
草、水、人、魔物、そして、竜にも。
俺が他の命竜に比べて異様なほど回復量を持ってるのはこいつのおかげ。他からちょっとずつ、気づかれないように力を奪ってるんだからそりゃ当然だな。
何でこんなもんが俺に見えるのか、使えるのかは…また今度な。その辺話すとお話し長くなっちゃうから。
[へらり、笑んだ気配は伝わったろう。]
でだ。こいつは回復だけでなく、探索にも使える。
生命を構成する一部だから、それなりに深いところを探ることも出来る。
……っても、探知探索が元々俺の本分じゃねぇから限界があるがな。
それで誰かが揺れるものと繋がっているか。調べてみたんだが。
[普段なら決して、見せることも見ることも叶わなかったろうこれが、こんな風に見せられるのは、おそらく力を得た為だろう。
そして、ブリジットに語った言葉はクレメンスの真実の一端だ。
毒は最後に一匙撒いた。
嘘は、真実に織り交ぜれば容易く真実味を帯びてくるだろうか。]
―東殿・命竜の自室―
[笑みを湛えたままの命竜の姿は、どこか思案気にも見えた。
暫くして、おもむろに立ち上がったのを、視線だけで見やる。
明かりが落とされると、暗くなった部屋。
不安はあまり無かったが、疑問はさっきよりも幾つも増える]
一体、何を……
[しようとしているの、そう、声を掛けようとした所だった]
―東殿・命竜の自室―
[気付けば、部屋中に琥珀色の粒子が浮かんでいた。
命竜の周囲にも、そしてブリジットの周囲にも浮かんでいる]
……これは。
[どこか、暖かさを感じさせる光の粒子。
命を司る彼の発するものだからかは分からなかったが。
丁度いいタイミングで、彼の説明が行われた。
暫く黙って聞いていると、]
探索にも、使える。
[こくりと、彼は一度頷いただろうか。
そのまま続けられた言葉は、]
―東殿・自室―
[ブリジットが自分の言葉を復唱した後、再び立ち上がり明かりをつけると、周囲を舞っていたものは、明かりに紛れてなのか見えなくなる。]
…そういうこと。
まぁ信じる信じないは任せるわ。
俺が胡散臭いのは承知してるからなぁ。
[へらへら笑うさまと声は何処までも軽い。]
さて、聞きたいことは十分か?
他にあるなら、俺が答えられるモンなら答えるけど。
―東殿・命竜の自室―
…………。
[暫くの間、言葉を失っていた。なんとも、悩ましかった。
また暫くして、ゆるりと首を振るって]
信じる信じないは、一旦置いておきます。
少なくとも、冗談でこんな事を言うような貴方ではないでしょう?
[困ったように、微笑みかける]
正直、色々と聞いてみたいことはあります。
『種』の数とかも分かるのかとか、立て続けに調べられないのかとか。
一番聞きたいのは……、
―東殿・自室―
さぁね?
事体を面白可笑しくするサプライズを披露しただけかもよ?
[それが真実だとしたら、だとしたら愉快犯もいいとこではある。]
軽くなら答えられるぜ。
数は不明だが、1じゃないとは思ってる。
何故ならあんな規模の封印を一人でこなせる奴は居ねぇ。
だから…ダーヴィットに対して何もしてないんだけどな。
[泳がせている、と暗に言い。]
続けては無理というか、しない。
さっきも言ったが、探索は俺の本分じゃねぇ。
続けて使うと一気に疲労して、その日は何も出来なくなる。
…混沌のカケラが出るような事体だ。少なくとも、回復手にまわす力くらいは残しておきたい。
…さて何故だろうなぁ?
結界に特攻して真っ先に傷ついたから。
ってことにでもしといてくれれば、いんじゃなイ?
[軽く笑いながら告げる真意は図れない。]
[実際の所、何故ブリジットなのか。
勘に近しいものもあるが。
おそらくは焔に対抗する位置に居たこと。
そういう意味ではナターリエでも良かったのだが、クレメンスの苦手意識と、意外というか、ナタは存外に聡い所がある故に避けた。
またダーヴィットとはあまり近しい位置に居なかったこと。
そして一番は、あの場に居たというタイミングで、彼女を選んだのだろう。]
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