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[ぼふ、と枕に頭が落ちる。
そろそろ起きなければとは思うも、眠い。
いい加減腹に物を入れなくてはとも思うが、眠い]
……〜〜〜〜…
[声無き声が枕に埋もれた顔から上がった]
[小さく笑みを浮かべると、そのランプを開き…中に小さな火を灯す]
…
[仄暗い店内…置かれた机の上に、緑の草原を映し出す。
辺りには微かな青い光を照らした]
…
[…馬が駆ける芝の上…一つの切れ目から微かな強い光が漏れだしていた]
…妖精祭り、だから…お前は、お留守番。
また、外に…出して、あげるから…ね?
[もう一度、馬を撫でると、マフラーとコートを手に取った]
[祖父母の家への訪問は、無事……
と言っていいかは解らないが、取り合えずは、終わった。
……色々な意味で、疲れたが。流石は、彼の母親の両親、と言った所だろうか。酷く可愛がられてしまい、そういった事に慣れない彼にとっては、戸惑いの連続だった]
[陽が落ちるまでには帰る筈が、いざ外に出てみれば、空には目映い星。
昨晩同様に、否、それ以上に、村は幻想的な光景を見せていた]
……………
[祖父母に見えない所まで移動すると、溜息を吐く]
[祭りの前夜に賑わう村内では、彼のような貴族であっても、その存在は大勢の中の一に過ぎない。それが何とも、奇妙な感じだった]
[外に出れば、出迎えるのは色とりどりの光。
一瞬たりとも、同じ様相は見せぬ、光。
……そこから、何かつかめそうな気もするのだけど]
……イマイチ。
はっきりしねぇ、なぁ……。
[零れ落ちるのは、場に似つかわしいとは言えない、嘆息で]
[ふと気づく。さっきからスープばかりで、元紅茶に手を出していない。]
[青年は、きっとそれがいけないんだ。
と、ばかりに一つ頷くと、
元紅茶の入ったカップを手に取り一飲み。]
[……………………やはり、甘いものは最高だ。]
[ゆらゆらと揺らめくランプの灯りの下を、少女はゆっくりと踊るように歩いていく。菓子を揚げる香ばしく甘い匂い、どこかから聞こえる手回しオルガンの音色、祭りの開幕の時は、刻一刻と近付いている]
まあ、可愛い。
[屋台の一つに置かれた、美しく彩られた小さな陶器の天使や妖精の置物に目を止めて、少女は立ち止まる。その瞳はうっとりと細められ、目の前の妖精達が踊り回る様を少女にしか見えない世界で見つめている]
んー、んー…。どれも美味しそうなんだけど。
[まさか、ベアトリーチェが着いてきているとは思わずに。
新しく増えた屋台を、時々立ち止まっては一つ一つ確認していく。
口元が寂しいのか、空腹を紛らわす為なのか。
手に持った小瓶の蓋を開けて、星屑を一口。]
ユリアンにぃー?はろー?
[場に不釣合いな息を吐く見覚えのある青年の姿に、
首を傾げつつもひらりと手を振って]
[てとてと、とてとて。
リディのふらふらにしたがって、
子供もふらふら、屋台を見ている。
きらきら光る、ひかりのしずく。
てとてと、とことこ。
名前を聞いて、前を向いた子供は見た。
ユリアンの姿と、その後ろにしのびよる、ちいさな男の子。
腰の位置にタックルする気だろう、後ろから。
注意するか否か、子供は悩んだ。]
[ああでもない、こうでもない、とイメージを模索していた所に、聞きなれた声で名を呼ばれて我に返る]
……って、ああ。リディか。
今日も、食べ歩きかー?
[振り返り、声の主へと片手を上げて挨拶。
肩の上の相棒も、きゅ、と言いつつそれに習った]
いやもう平気〜。熱下がったし。
[心配そうな母親の制止を振り切って、きらびやかににぎわう祭りの中へ。
それでもやはり寒いのか、もこもこに着膨れていたりする。]
食べ歩き、と言いたいところなのだけどねー?
夕食代わりに何を食べようかと悩んでいるのですよっ
目ぼしい主食になりそうなものは、昨日食べつくしちゃったし!
はーい、ヴィントもこんばんはだよっ♪
ユリアンにぃは、今から何処いくの?………って、わ!?
[金平糖の入った小瓶をからから鳴らしつつ、
肩の上の友人とも挨拶を交わして。
途端、相手の腰目掛けて繰り出されるタックルに驚愕]
……んなっ!?
[いつもなら、簡単に気づきそうなものなのだが。
今日は物思いに囚われていたためか他に理由があるのか。
タックルはまともに決まり、バランスが崩れる。
……一応、転ばなかったのは意地のなせる技か]
ってて……。
[バランスを立て直しつつ、くるり、振り返れば。
施設で顔見知りの少年のしたり顔]
くおら、いきなり何すんだよっ!
[声は怒っているようだけど、表情には、微かな笑み]
[ぼんやりとしていると、屋台の男に声を掛けられる]
……僕か?
[そうだと言うように、男はにこやかな笑み。
どうやら、食べ物を売っているらしい。屋台に並んでいるのは、ランプの灯りを受けて艶やかな光を放つ、赤くて丸い菓子。見る角度によっては、紅玉のようにも見える]
[何かと問えば、りんご飴だという返答が帰って来た]
りんご飴。
[初めて聞いた。興味深そうに、繁々と眺める]
[…ガラスのベルが鳴り、店の主は外に出た]
…綺麗…うん。良かった…
[見れば、ランプは吊されており…祭りの時を待ちわびるかのように淡い光を闇に映していた。
…一年一年、ランプの数は増えていった。
もう、何年も前から、祭りの時にだけ顔を出すランプも珍しくはなかった]
…でも。綺麗な光、放てるなら…
[もそもそ。マフラーの下で呟くと、ふと、マダ始まっていないで店の前で、ランプを見つめる観光客の姿が目に入り…小さく笑みを零すと、光を灯されるのはまだかと待ちわびるランプ達を背に、出店が並ぶ道を歩き出した]
[子供はじぃっと三人を見ている。
男の子はとても満足そうに見えた。
ユリアンも楽しそう。
リディは……いつも楽しそうだけど、
今日はおなかが減っているのかな。
苺を買っていけば喜ばれるかな?
そう思いながら、屋台を考える。]
「へっへーん、勝ったー!」
[何が勝ったのか、男の子はそういって、ユリアンになついている。
子供はその様子にうれしくなった。
頬笑みが灯る。きえない、ともしび。]
あー、アイデア煮詰まったんで、気分転換の散歩がてら、メシ食いに行くかな、って。
[リディの疑問に答えつつ。
タックルしてきた少年を捕まえて]
なぁにが勝った、だこのやろっ!
[首抱え込んでぐりぐりと。勿論力は入ってない。
一しきりそれをやってから、少年を解放し]
男なら、勝つか負けるか二つに一つ、真っ向勝負で向かってこーいっ!
[なんか違う]
[道行く途中で旧友に出会い]
[談笑が終わった頃には、とうに日は落ち灯は点り]
[それでも準備で賑わう通りに惹かれてか、すぐに帰る気はせずに]
[吐き出す息は白かったけれど、そのまま通りを歩いて回ることにした]
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