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[エーリッヒの返答に、男は顔をしかめる]
探し物なら、余計に暗くなってちゃ見つからねえだろう。
どうしてもってんなら、明日の朝になってからにしちゃどうだ?
お前さん怪我もしてるんだしな。血の匂いに狼共が引き寄せられねえとも限らないぜ。
[最後の方が脅しに近いのは、多分わざとだ]
………神はこんな時にまでわたくしに試練をお与えになる。
[そう言って、皿の中のそれを除けつつスープを口にする]
[だけど、よく煮込まれたその香味は、スープにもしっかり溶け込んでいて]
………。
[ちょっとだけ涙目になったかもしれない]
だからね、グリンピースは一国を滅ぼした悪魔の野菜なんだよ。
[ブリジットには数日前にした嘘話を持ち出して見せたが。]
・・・・・大体気に入らないんだよ。
掴み辛いし、避けづらいし、食感もなんか嫌だし。
[本当の理由はこちららしい。
丁度耳に入った天敵、という言葉にシスターを見た。皿の中でつつかれるセロリ。]
あれ。
・・・・・もしかして、シスターさんが嫌いなのって。
[数日前の話を思い出して、ぽつり。]
だっておはようと同時にそんな声、聞こえたら。心配するよ?
[アベルに宥められれば少し拗ねたように。][でも苦しい事、を掘り返すつもりはないので。][結局の所口は噤まれて。]
…まぁ、そうだけど……
[流石にこの状態で襲われては、無事では済まないと自分でも思うわけで。
あきらめたように、ぽすりとソファーへ。]
んでも、大事なもんなのさね。
アレなくしちゃったらマズイ。すげーマズイ。
[視認できない身振り手振りは、さすがに伝わらないが、物言いたげな気配くらいは感じたろうか。
それに、それよりも、今は。
銀の気配の様子に意識が行って。
月の光に、獣が昂ぶるのを感じながら。
その様子を追う]
―一階・音楽室―
……や?
お礼言われることじゃないよ。僕の歌じゃないしね。
[鍵盤に目を落としていたから、流れ落ちる滴には、気づけなかった]
最善、ね。
人によって違うんじゃないかな。
[沈黙のあとの言葉。
踊るように、指先を鍵盤の上に跳ねさせる。場違いに、明るい音が零れた]
正義も悪も、人間の立場、
大多数の意見によって成り立っているものだから。
たとえば、人間を食らう狼は、人間にとっては悪だけれど、
狼にとっては生きるために必然の術なのかもしれない。
だったら、それは悪だと言えるのか。
……人間だって、他の生き物を食らっているのだから。
…そんなに大事なものなら、俺が探してきましょうか?
[ぱくり]
[パンをかじって、咀嚼して、一言]
[エーリッヒを見る]
どれくらいのものですか?
[天敵、と言う言葉が聞こえたのか、疑問符の付いた言葉が掛けられて]
……他の物は克服したのですけど、セロリだけはダメなんですよね。
[どこか諦めたようにぽつりと零して]
でも、お二人が食べたのですし、わたくしだけ避けるというわけにも行きませんよね……。
[でもやっぱりスプーンでつつくだけ]
食わず嫌いと思い込み…。
[ちゃんと答えられないアベルには、ぽつりとそんな烙印を押して。]
[リディの話は聞いたが。][かといって食べれるものに罪は無いはず…とは思っていたり。]
掴み辛いはともかく、避けづらいは違うと思う…。
食感、いいと思うのに。
[出す事前提なその台詞には苦笑して。]
[これが入ってないと物足りない料理の方が多いくらいだと思っていたり。]
[ブリジットの心中を知ることもなく。見上げられる形で見られつつ]
普通にやってればこんなこともなかったが、多少無茶もしちまったんでな。とはいえ少ししたら治まるだろ。鍛錬も今日は休むさ。
[それは暗にまだ痛むということでもあるがそれは気に留めず、ポトフをよそって席に着いて、食事をしつつ]
いや、危険なことを選んでしているとは思っていないぞ。
朝の食事はクレメンスが作ってくれてたのか。勝手にだがご馳走になったよ
ぁー、うん。こんくらいの革の手帳なんだけど。
すっげー年季はいったーって感じの奴。
[そそっかしい人にそう言って、指でサイズを示してみる。]
んでもまぁ…気ぃつけてよ?
…あんた危なっかしいんだか大丈夫そうなんだかよくわかんないから。
…なに。腹が減っただけだ。
[グリズに向けた言葉には、抑えられれた高揚感が滲み出ていただろうか。]
月が出ている間に一人、減らしておくぞ。
[まるで散歩に出かけてくるとでもいうように、何ともない調子で言い。]
[自然と銀意識は、室内へと向けられる。][値踏みするように。]
そうかも、知れんけど。
でも、たまたまそういう話になってただけだし。
[拗ねたような言葉には、こう返し。
食わず嫌いの烙印に、無言で皿の中のオレンジ色とお見合いした]
[聞いたからには、善は急げ]
[しっかりとスープを飲み干して]
ああ。いえいえ、どうぞ。
美味しかったならいいですけど。
[マテウスの言葉に、にこにこと笑う]
食べないと駄目ですからね。
[そしてエーリッヒに、親指を立ててみせた]
わかりました。
って、それはどういう意味ですかねぇ…
[頼りなく笑った。どこか遠い目になっていた]
まあ、探してきますよ。どこら辺…とか覚えてます?
[『一人、減らしておく』。
聞こえたコトバに、微か、蒼の風は揺らぐ。
その『一人』が誰になるのか。
それが気にかかって……自然、意識は銀を追うように、辿るように]
[明るく響き始めた曲に微笑んで。
扉を出るところで一度振り返った]
悪じゃない…ことだって、ある。
そうだよね、人間だって動物の、植物の命を貰っているんだもの。
生きてゆくためにはそれが必要で。
それを望むと望むまいと。
…困ったね。
[少しだけ笑みが歪んだかもしれない。
けれどそれだけ言うと手を振って扉の向こうへ]
―音楽室→…―
ああ、ちょい待ち、神父さん一人でもあぶねーって。
[エーリッヒが諦めたと思ったら、次の無謀者が待っていて、男は嘆息する]
なら、俺も一緒に行くよ。男二人ならちったあマシだろう。
[お祈りを終えた]
・・・この騒ぎが終わったら、マリアと二人でどこか遠い村にでも行こうかしらね。
[ショールを肩にかけると][部屋を出て広間へと向かう]
[自室の机の上には銀の天使像が残されている]
いや、だめだ。
こうぷちっと潰れたあとで、なんかじわっと広がる感じはとても耐えられるものじゃない。
[ブリジットにはきっぱりとそう告げるのであった。言わんとすることは分かると思う。]
・・・おじさんが行ったほうが危なくないかなぁ。
[クレメンスが申し出るのを横で聞きながら、そんなことを洩らした。本人に聞こえたって*知らん振りするだろう。*]
だから、さ。
[音に重ねて落とすのは、小さな独り言だった]
僕は僕で、
僕の最善を尽くそうと思うんだよ。
[猫が跳び回るような音色に紛れて、その言葉は届かなかっただろう]
[ザフィーアが、バサリと羽ばたいた。
黒い羽根が地に落ちる]
ん、またね。
[顔を上げて、笑った。
イレーネの、歪みを持った笑みが見えた]
これでも40年生きてるんで、危険とかはわか…
[ると言おうとしたのだが、絶対疑われると思った]
[何をって頭を]
…よろしくお願いします、ハインリヒさん。
ええと、何か武器になるものもっていきますかねぇ…
ああ、おいしくいただいたよ
好き嫌いなど特にはないが、上手いかまずかは別物だからな
[そして好き嫌いの話題が耳に入っているからか、そんな言葉をクレメンツに言い
エーリッヒが落としたものを探しに行くという話題を聞くなか、まず食事をしている]
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