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[驚くオトフリートの様子を見て、ナターリエが不機嫌そうな顔を隠しもせずに言葉を紡ぐ]
炎は。
何も変化をもたらさない。あるのは、破壊、という結果だけ。
破壊されたものは、その後停滞を起こす。長い時間。
変化は、長い時間を経て、ようやく起こる。
そのような存在……好きになれるはずもない。
……水は高きから低きへと流れるけど、炎は低きから高きに登る。
案外、炎のが、高きを目指した結果が、このような事態なのかもねぃ?
[そこで、一息置き、次の言葉を吐き捨てた]
ふん。冗談よ。
[元々の形態が、軟体動物に近いものだった故に、炎を苦手としていたことも、炎が嫌いな要因なのかもしれない]
[まったくもってクレメンスにはこたえない。
何度あきらめることになるのかとため息を吐いたときに手を取られ、]
……たいしたことないんですよ、これくらい。
だいたい、誰のせいだと思ってるんですか。
[疲れたけれど、そのまま手を引いた。感謝の言葉は、なかなか出るものではない。]
[それから、ナターリエの様子に、言葉に、そこまでかと内心奥深く、思いながら。]
申し訳ありませんでした。
…ご気分を害しましたようで。
[*深く礼をした*]
[クレメンスの言葉に、ナターリエがぴくりと反応した]
攻撃力が高いことが、そんなにいいことかしらぁ?
破壊する力が。
……まさか、生命のから、そんな言葉を聞くとは思ってもいなかったわ。
[不機嫌そうな表情も、とげのある言葉も隠しはしない。
水面に移る変化は、誰の目に見ても明らかでなければいけない]
そっちの影響受けて…いや、受けなくてもそもそも姐さんが居ない。
俺らの方が止まれば、全てのものの命の循環が滞る。
止まれば緩慢な死の始まりだ。
さてそいつは困ったな。
[ふぅと、一度天を仰ぐ。]
…向こう、戻れるようなら一旦戻りたいんだが。
今はまだ、駄目なんだよな。さて。
[どうすっかなと、言わんばかりの息をついた。]
何でだろうねぇ?
[ナタの最後の言葉には、こちらも笑みを含んだ言葉で返し。]
攻撃力の問題でもないだろ。
生命力が有り余っているんなら、
ナタに謙譲したらどうだ?
需要と供給が満たされるんじゃないかね。
[ 彼の奥に秘められた色に、ノーラが気づいたかは定かではない。一連の、恐らくは幾度も繰り返されているであろう遣り取りが終わった後、変わらぬ茫とした表情と命竜の口真似で言うと、影は相対する二人の間に入る。一通りの会話が終わるまで、退くつもりはなさそうだ。何処までの効果があるかは知らぬが。]
海が荒れれば湖に浮かぶ島に築かれたこの竜都も、
ただでは済まないでしょうねぃ。
他の属性にも影響は及び、均衡は崩れ、混乱は広まる。
面倒な事ですわぁ。
[ 困ったような写しの口調で言うも、表に出ることはない。
月闇の竜に眼差しを向けると、黒布の下より伸びたノーラの手が、その頭を軽く叩いた。撫ぜるというよりは、土を均すに似た態だが。
そうするのは、影としての役割故か、それとも他のものか。*我も知らぬ*]
[オトフリートが深く礼をする様子を見て、先程までのような笑みを浮かべ]
ええ。
御気分を害しました。
[単刀直入に言った]
ただ、貴方が悪いというわけではないわぁ。
話の道の上に、焔のが陣取っていただけですからぁ。
だから、貴方が気にする必要性は無いのよぅ?
―――それでも、気にするというのなら、今度、一夜の戯れのお相手をお願いしましょうかしら?
それで、私の気分は、確実に晴れるのですから。うふふ……。
[冗談交じりに。しかし、了承が取れれば実行はするだろう]
あっはっは!
俺の意見だけじゃ不満なら、アーベルに同じ事聞いてみればいい。
さてオティーリエは可愛いかどうか?
[おそらく傍観しているだろう精神に振っておいた。
アーベルがどう応えるか。実に楽しみだといった様子。]
別に俺、安全じゃない事は何一つしてないんだけどな。
[そんな台詞をのうのうと吐いた。吐ききった。]
極端に、過ぎたる力は何とやらだ。
[ナターリエの棘にもへらりと笑み返す。]
高すぎれば問題だろうが、無さすぎるのもまた問題、ってな。
それが破壊であれ癒しであれ。
例えば俺は、目の前で王が殺されようとしてもそれを止める事すら出来ん。
俺にあるのは癒しと自分への無限に近い回復力、それだけだ。
姐さんが傷つくだけなら癒せるからいーんだけどよ。まぁ良くないが。
まぁこんな事体だ。
万一まかりまちがって荒事が始まったら、俺じゃそっち面の力にゃなれないからな。
そういうことだ。
ええ。困ったものよ。
此方としても、そのような一時の変化は望んでいませんですからねぃ。
早急な解決が望まれるってところかしらぁ?
そのための、原因―――水が生まれる場所を見つけ出さなければねぃ。
見つけ出したのなら、次は、水を止める手段。
さて、うまい具合にことは運ぶのかしらねぃ?
嗚呼。大変大変。
[言いながらも、顔には笑みが浮かんでいる。
一時とは言え、変化が起こるトラブルというやつはとても楽しいから]
[ノーラの言葉に、また少し笑んだ]
生命のは、浮気ものですからねぃ。
色んなものにちょっかいを出しては、命を芽吹かせているわけで。
……もしかしたら、私よりも性欲旺盛なのかも?うふふ。
…いや、喰われる感覚は慣れないからちょっとな…。
[あの時味わったモノの一旦は、癒せるとはいえどうにも嫌なものらしい。
ノーラに渋面しつつそう告げて。
オトフリートとの間に入られれば、それ以上先へは無理に進まない。]
さって…と。
竜都内なら自由行動OKなんだよな。
少し調べ物でもしてくるわ。
じゃ、またな。
[ひらとそこに居た者に手を振り、中庭を*離れ。*]
何をそんな馬鹿げたことを言ってるんですか。
[クレメンスへ告げると、ため息。
アーベルの答えを聞く前に、そうやって入った。]
あなたが安全だと言い張るのは、竜郷が破壊される可能性と等しいですよ
[つまりほとんどないという話らしい。]
破壊と癒し。
なるほど。極端だわ。
過ぎたる力を守りと、他者と交じり合う力に使えないものかしらねぃ。
……全てが、ただ広がる水の如く一つに混ざり合えば、どんなに良いことか。
[最後は、少し小さな声で呟いた]
―――さて、焔の手段以外に何かあるか、私も探してみますかねぃ。
[一時後、語るのを止めて、また流れる水のように、ふらふらと*歩いていった*]
[アーベルから問いの答えは聞けたかどうか。
どちらにせよ、けらけらとひとしきり笑ってから。]
えー。俺ほら攻撃力ないし。安全安全。
[きっと安全の意味が違う。]
それは可能性はなくないって事だな。
[実際問題結界が強化されるまで、その可能性もあったしとか。
…どちらにせよ、今は無いし、そもそも薄い、という事なのだろうが。]
ああそうだ、剣、の事なんだが。
剣は剣のままで在るもんなのか?
[思い出したように問うこれは、確認の意味も含めた。]
……三秒で戻るのに、何が安全ですか。
[切り捨てた。]
言い方をかえましょうか。
竜王方がまともな状態で、竜郷が破壊されるのと同じくらいの確率、と。
[ため息。]
――剣の形状は。
わかりません。変わるのかもしれません。竜王が守るものですし
[唐突に、クレメンスとの間にノーラが入り込む。
オトは驚いたように、翠の目を瞬かせた。]
[顔がオトへと向く。
ノーラの手は確かに頭を叩いた。撫でたというよりも、あやすようにも感じられた。
思いもよらなかったことに、ただ驚いて見返すしか出来なかったが。]
[手が離れてゆき、ようやく我を取り戻したとき、そっと感謝の言葉を口にして、心底からの微笑を浮かべた。]
まぁ酷い。俺の少ない取り得なのに…!
[芝居じみた声で嘘泣きしたが。すぐ戻る。]
はっはっは、そいつは限りなく薄いな!
それこそロウとカオスがくっつくくらいの確率だ。
それとも揺らすものが直接出張ってくるくらいか?
[どちらも、世界が滅ぶまであり得そうにない。
あ、つまりそういう事と、言ってから気づいたとか。
まぁ気づいた所で態度は毛ほども変わりようがないわけだが。]
[ナターリエは軽く、しっかりと言葉を返してきて。
申し訳なく思ったが――]
――いえ、あの、それは無理ですから。
ええ。
[求められるものに、ふると頭を振った。]
そういうのは、そこの生命のにお任せします。
[ノーラをはさんだ向こう側へと、権利を投げた。]
ふん…ってことは、剣ばかり注視は出来ないんだな。
『聖魔の剣』は聖魔併せ持ち、天聖と流水に属するモノ。
『神斬の剣』は神も斬り倒す、影輝と精神に属するモノ。
そして『真なる剣』は何者の干渉も許さず退ける。
か。
[それは少し前、アーベルが口にした言葉。聞いていたらしい。]
さてノーラとナタからは強い力の感じはまだ受けなかった。
上手に隠してるのか、それとも持ってないか、外から探っただけだと微妙なとこだが。
先にちっと他の奴等を当たってみるわ。
[やる事は一応、あの騒動の最中でやっていた。
よく食えない、と王に言われる所以はこの辺りにもある。
被りきった道化の仮面は浅くない。
へらりと笑い告げながら、向かうは竜殿を離れた先。]
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