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アーベルか、よろしくな。
[ぎこちない笑みに]
まぁ、突然こんなことになればしかたがないよな。
へぇ、学校の講師を。
俺は15年前までこの村にいたんだが、アーベルのことは見た記憶がなかったんでな。
っと、引き止めて悪かったな。
[外に出る様子だったので、それ以上は聞かずに傍を離れた]
お疲れさん。
聞いても…納得いくような代物じゃないよ。
[ゼルギウスに声は掛けたが、止めるようなことはなく。
繰り返される話には少しばかり眉を寄せる]
御伽噺、だよなぁ。
[窓の外を見る。暗い中、部屋の灯りを受けて僅かに光る白銀]
ああ、頑固さが人一倍なのは保証できてしまうな。
[同居人の声に同意の溜息]
―厨房―
[陶器が立てる音。薬缶の上げる湯気。
二人のみの厨房は、広間よりもまだ静か]
二人で分けて運ぶより、あたし一人で運んだ方が被害が出なくて良いかな。
エーリッヒにも言ったけど、適材適所。
[表情は乏しいながら、親しい相手ならば冗談と分かるだろう響きで告げ。
問い掛けには、考え込む少しの間]
あの中に、犯人がいると思うかならともかく。
人狼か。
率直な意見なら…お伽話でしょうと言いたい。
ナターリエは?
[墓守でもある友人に、同じよう問い返し]
[人死にが怖かったのは、ほんとう。]
[だけど、わたしの中にはもう一つの気持ちがあった。]
[死体があった、という話を聞いたときから、お腹の奥で小さく疼くような、切ないような、そんな気持ち。]
中/逆に大体の場所がわかれば、
村も些事加減きくんじゃとか甘い考えを言ってみたり。
ささやきのつながりか。
お互いなんとなく気配を感じられて、語りかけたら話せたとか、
そんな感じでいいんじゃないかとか思ったがどうだろうか?
御伽噺……か。
そう、言い切れるなら、いいんだけどな。
[零れ落ちたのは、ごく小さな呟き]
ああ、まったく。
生真面目で頑固なのは、手におえんな。
[それから、家主の言葉に呆れ果てたように言い放つ]
ええ、1年前から。
まだ見習いですけどね。
[困ったように][眉を下げ]
よろしくお願いします。
[離れる傭兵に声を掛け]
[進路を変え]
少し、落ち着いて来ます。
[煙草の箱を手に]
[*階上へ*]
おやおやまあまあ。
[エーファが眠りにつくのを見て、思わず老婆は微笑みながらその体を抱きしめた。
そして、その体の感触に気づくと、小さく眉を寄せたが、すぐにまた笑みを浮かべて、その耳元に囁く]
……エーファちゃん。
もしも、貴方が何か大事な力を持っているのならば、それは誰にも言っちゃ駄目よ。
そう。誰にも。
もしもそれでも、それを誰かを喋るのならば、私にだけ教えてね。
貴方がもし、そのような力を持っているのならば、それは、すごく危険なことなのだからね……。
だから―――私にだけ、教えるようにしなさいな。
……お休みなさい。エーファちゃん。
[そこまで囁くと、老婆はエーファを寝台へと横たわらせた]
[ウェンデルに気づかず、一目散に階下へと向かったゼルギウスを呆気に取られつつ、その背を見送る。
閉まりきらなかった戸の中を、そっと覗き込んだ]
……ヨハナさん? と、
[もう一人。見知らぬ子供がいることに気づく。
先ほど階下で見かけた少女かと思ったが、どうやら違うようで]
[再び震え始めた少女の頭を何度も撫でる。
右手は握られたまま下げられて。
色が変わるほどの力が入っている]
ったく。こんな子を怯えさせてまで…。
一度それが良いと思ったら絶対にそれを押し通す。
変わらないね。
[同居人の呆れ声に、苦々しく吐き捨てた]
ゼルギウス、エーファの様子はどうだった?
[団長に食って掛かる様子を見つけて、
いい負けて引き下がったところに尋ねて、
皆の会話を聞きながら]
あっちは聞く耳はもちそうになさそうだしな。
しかしいくら普通じゃない死体がでたからってこの扱いはひどいよな。
それとも俺らの知らないもっと別の何かでもあるんかね?
んでは、そんな感じで。
ベアトリーチェは心底からの快楽殺人者なんで、それっぽい雰囲気があれば簡単についていくんで、よろしく!
[エーファを寝台へと横たわらせると、背後から声が聞こえた]
……誰でしょうか?
[振り向き、扉の影から顔をのぞかせているウェンデルの姿を見つけると、笑みを浮かべて口を開いた]
ああ……ウェンデル坊や。
どうしたのですか?
何かご用事でも?
[ライヒアルトとエーリッヒのギュンター評に大きな溜息が漏れた]
嫌な保証だ。
で、結局俺らは容疑者としてここに拘留される、と。
人狼なんて正気か?
口伝だか何だか知らないが、眉唾物の話だろう。
仮に本当に人狼が居たとして、俺らにどうしろってんだ。
身に覚えのねぇ方にしてみりゃ良い迷惑だぜ。
[どかりとソファーに腰掛けると、そのまま身体を背凭れに預け]
[また大きな溜息を漏らした]
ん、ああ。
さっき少し寝たみたいなんだがまた起き出してな。
何かぼけーっとしてたなぁ。
「始まる」とかなんとか呟いてたみたいだけど、良く分らん。
こっちが騒がしくなったから上は婆ちゃんに任せて来た。
[マテウスの問いにソファーに腰掛けたまま彼を見上げて答えた]
[落ち着いてくる、というアーベルの背に軽く、視線を向け。
吐き捨てる家主の様子に、肩を竦める]
……何処も同じ。
信心と、使命感に囚われたなら、こんなもの。
[淡々と言って、団長を見やる。
こちらの厳しい評価にも、動じた様子などはなく。
また、やれやれ、と息を吐いた]
[いままでに感じたことのないものを心の奥底に感じて]
んっ、誰か…、
いるのか?
いや、感じているのか?
[そっとここの声で語りかけてみた]
―厨房―
その方がいいか…って。
この。
エーリッヒとは違うからな。
[微か笑み、ゲルダの額を小突いて。
そんな会話だけでは静けさはまだ埋まらない。
ゲルダの声に耳を傾けた後、暫し沈黙した後。]
御伽噺だと言いたい。
…ただ、気になるのは。
[あまりいい話じゃないがと前置きしてから。
視線は、ゲルダではなく、鍋の方を向く。]
いつもの通りに、死体検分に同伴したんだが。
その時の死体につけられていた傷。
あれは人がつけたものじゃない。獣がつけた傷だった。
だから、人が犯人、とは思ってない。
じゃぁ誰が?…という話に戻るわけだが。
…その辺をうろついている、飢えた獣だといいな、といった所。
[言い終わると、湯からあたたかな湯気が立ち上がっていった。]
正気なんだろ、こうやって、拘束と監視をする、って言うんだから。
[ゼルギウスの言葉に、軽く、肩を竦める]
仮に、いたとして、か。
……見つけ出してどうにかしろ、と。
そんな所だろうな。
[どうにか、の部分が何を示すかは、言わずもがな、という所だろう。
あえてぼかしたのは、脅える少女の姿が見えたから]
[わたしの震えは、少しして止まった]
[回りの男の人たちは、団長さんのやり方に不平をいってる。]
[けど、みんなそこまで深刻そうじゃない。]
何も起こらなければ…いいんですよね。
[わたしは自分にも言い聞かせる。何も起こるわけない、何も起こるわけない。]
ああ、いえ。
何事かあったのかと思いまして。
階下の雰囲気も……
[先程とは違うのはわかったが、何が違うかは明確にはわからず。
己の胸にも、わだかまる違和感]
それより、その子は?
[でも…ほんとうに何も起こって欲しくないの?]
[体の中から、小さく、でも確かにそんな声がした。]
[そして、体の外からも、囁きが。]
…誰?
まぁ、元気そうならいいんだが。
[ゼルギウスの説明を聞きながら]
はじまる?
何がはじまるっていうんだ?
[寝言かなにかなのだろうが]
まぁ、倒れてたことと何か関係あるのかね?
[考えてもわかることではないので一人でそういってまとめた]
あーやだやだ。
頭のお固い人って。
[ライヒアルトの言葉に小さく頭を振った]
[そこに当人が居ようが声は潜めない]
見つけ出してどうにかしろ、ねぇ…。
その見つけ出す術とやらがあれば良いけど。
無いんだったら手当たり次第か?
冗談じゃない。
[彼が何を言いたいのかは理解出来た]
[理解出来たからこそ、嫌悪の色を浮かべる]
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