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―アコルデ家・台所―
[ぐったりと動かないままでいると、ごりと頭に何か硬いものが当てられた。
――打たれるのかしら。
どこか他人事のように思っていたら、ふいにその感覚は離れてゆく。
侵入者は次なる人の気配に気づくき、エリカに向けた銃を入り口に向けなおし、待ち構えていた。]
─アコルデ家・玄関前─
ええ、本当に。
悠長に怪我なんてしてる場合じゃないですから。
何が起きているのかはわかりませんが、色々と、見境なくなっているようです、ね。
[家の中から聞こえる音は、いつの間にか途絶えている。
それに、嫌な予感を感じた所に告げられた言葉。
疑問を感じてその意を問うより先、視界が遮られ]
……非常時なのは、理解していますよ。
必要と思う事を行う際には、私に気を使わずに。
[銃声と、崩れる音。自分でも意外なほど、冷静な声が出た]
一人で大丈夫ですか、と言いたいところですが、私が行っても足手まといですかね。
……気をつけて。
[中を見てくる、という言葉。
小さく息を吐いた後、返したのはこんな言葉だった]
―集会場内・医務室―
[男の後ろに浮かんでいた机が突如こちらに向けて飛んできて、
すばやく横に飛び回避、そのままの勢いで男の足元をかけぬけようとし]
くっ…ごふっ……
[男の反応はこちらの予想よりも早く、横っ腹をけられて床を転がる。
苦痛の呻きと吐息が漏れ出し、床を転がる感触に体が痛む。
転がった先が入り口のほうだったのは不幸中の幸いだろうか。
痛む体に鞭打ちそのまま駆け出す]
このまま…逃がすわけにもいかないのだが……
[今のこの状況ではどうすることもできない。後ろから足音が迫ってくるのが聞こえるが、振り返る暇はなく、
集会場の外に飛び出し、少し進んだところで目の前に瓦礫が落ちてくる。
足を止めて、やや遅れて自分の左右にも瓦礫は落ちてきてちょうど囲まれる形に。
開いた側の方、集会場の方を振り返ると男は入り口に立っていた]
俺は犬じゃないから、檻はいらんぞ……
―住宅街―
私達のことより、レッグくんどうかしたの?
座り込んで…どこか怪我でも……っ…!?
[良かった、というレッグの様子がどこかぎこちなくて、不安から傍に近づいてしゃがみこめば、脇道に倒れ伏している骸に気付いて息をのみ。]
かるろす…くん…?
[知らず、ぎゅ…とレッグの肩を抱きしめて]
[ゆっくりと、重なった意識は、体の痛みに震えて蹲ったまま。
頭に流れる様々な声を、右に左に聞いては流した。
「抵抗するものは―――」
「裏切りは許さない――」
「炎が使えるものは燃やせ―――」
「殺せ――」
そんな物騒な単語が通り抜けて行く。
(いい刺激だったし、感謝したい所だけど。使えないから裏切り者扱い?冗談じゃないわ。)
その思考は『私』のもの。
一つになったのに『いい子の私』は、いまだ動いてはくれない。
目が覚めるまで、ぼんやりと通り抜ける言葉の波間をたゆっていた。]
―― 住宅街 ――
……はぁ
…………はぁっ
[走った先に、見知りを見つけたのか
ナターシャが声を掛ける人物を見て
息を整えながら]
あぁ ……ノブの、 お友達、の
[ゆっくり、二、三度、頷いた。
二人の会話を、聴きながら
自身の手の中にある、拳銃へ視線を遣った。]
─アコルデ家・玄関先─
[ジョエルが中へ向かった後、先の襲撃者をちらりと見やる]
……何だって、こんなことにっ……。
[口をつくのは、掠れた呟き。
それから、周囲の音に耳を澄ます。
いつの間にか上着の中に潜り込んでいた右手は、そこにある冷たい感触を確り、*掴んでいた*]
―住宅街―
や。俺は。
怪我らしい怪我、してねー。
[瓦礫塊の掠めた頬は血も滲んでいるが、その痛みも感じない]
する前に。
身体が動いちまった。
[肩に乗せられた司書の手に力が入る。
一瞬躊躇ってから、銃を持たない手を伸ばして相手の肩を宥めるように叩いた。怯えているのかと思って]
カル、サイキッカーだったみたい、だ。
あんな塊、軽々と扱ってさ。
[真実は分らない。自由自在にとも少し違っていたのだから。
そしてPSIを感知できるような能力はないし、そういった道具を持っているわけでもない]
何で俺を狙うんだよ、馬鹿。
─アコルデ家・玄関前→台所─
先程交番でパトラッシュさんにお会いしました。
集会場で何かが起きたらしいと、先をお急ぎだったようなので詳細は聞けませんでしたが。
その後私も襲われましたので、おそらくは混乱が広がり暴動らしきものが起きているのではないかと。
………それだけでは無いようですが。
[ここへ辿り着く前に見た炎。
明らかに普通のものでは無い]
……では、そのように。
[気を使わずに、と言われ、了承するように声を紡ぐ。
足手纏いについてはその通りであったため、臆面なく頷いてからエリカが居ると思われる台所へと向かった]
(銃を撃ってしまったからな、既にこちらは気付かれているだろう。
……捨て身覚悟は性に合わないんだがな)
[かと言ってエリカがどうなって居るかも分からないため、あまり考えている猶予は無い。
自分の銃はホルスターに戻し、拾った銃を構えて台所の入口へと近付き。
一呼吸置いてから台所の中へと乗り込んだ。
動くな、なんてお決まりのセリフを言うことも無く、見知らぬ姿を見れば牽制の一発を放つ]
―住宅街―
ちがうって……ちがうって、いってるだろ!
人のはなしもきかないで!
[声を荒げる。
知る者が見たなら、常と異なる様子に驚いただろう]
そっちが、『サイキッカー』なんじゃないか!?
[口にすれば、それが本当のような気持ちになった]
だったら……
[慣れぬ反動に手間取る相手の手から銃が離れる。
そこへ向かって躊躇なく引き金を引いた。
赤い色をした熱線が宙を走る。
何かの焦げるような音がして、鼻につく臭いと、少し遅れて倒れる音]
―住宅街―
[ぼやいても視線は遺体へと向けられない]
俺はグレッグ。
お察しの通り、ノブ先輩の後輩。
[改めて、何度も見かけたことはある女性に名乗ってみた。
大きく息を吸って、吐く]
―― 住宅街 ――
あ、……うん。
ノブから、聴いてる。
[改めた自己紹介を受け、相槌。]
私は、アヤメ。
きちんとお話するのは、初めて、かな。
……宜しくね。
[大きく呼吸するさまに、
僅か、心配そうな眸を向けた。]
―集会場前―
[こちらをいたぶって楽しんでるのだろう、男は笑ったままにすぐに止めをさすつもりはないらしいが、逃がしてくれそうにもなかった。
腰のホルスターからリボルバーを抜き構える]
「先輩っ!今助けるっすっ!!!」
[その声は聞き覚えのある声で、集会場の横の路地から飛び出す姿がひとつ。
最新モデルのアサルトライフルを手に掃射をしながら男に突っ込んでいく]
ドイっ!無茶をするんじゃないっ!
[さすがに何発も打ち込まれる弾は防げないのだろうか。
いくつかの弾は途中不可視の壁に阻まれて地面に落ちたが、残りの弾が男の体にいくつもの風穴をあけていく。
男の顔からはにやにやした笑いは消えて、後輩の方をにらみ手を振り下ろす動作をする。
それを最後に男の体は、自らの血溜りの中にそのまま崩れ落ちて。
大き目のガレキが後輩にぶつかり、その体は通りの向こう側へと転がっていった]
ドイっ!
―アコルデ家・台所―
[離れて行く感覚に、自分以外の誰かが狙われているのはすぐ分った。
様子を見に来た主だろうか。それとも。
(ジョエルさん戻ってきたのかしら。)
どちらにせよ、相手はサイキッカーだ。きっと分が悪い。
何とかしないとと、動かない身体を無理やり動かそうと試みるが、四肢はガタガタと壊れた機械のように震えるばかりだった。]
[牽制が運良く当たる事はなく、打たれた方は倒れたメイドの傍から離れ、すぐさま2発発砲する。
それが避けられるのは想定しているのか、3発目の代わりに閃光を放った。]
―住宅街―
カルロスくんが…!?そんな………、あ…まさ、か…
[レッグから、其処に倒れている彼がサイキッカーだった、と告げられれば驚きに目を見開いて。
次いで、彼が友人を撃ってしまったという事実に気付き、悲痛に目を閉じて肩を抱く力を込めた]
…―良いの、それ以上言わなくても。
早く逃げましょう、此処から。
何処か、何処か安全な…
[言葉の先が出てこなくて言いよどむ。
シャッターで囲まれた此処の中に安全な場所など何処にあるというのか。
答えが出てこなくて途方に暮れ、*空を仰いだ*]
―住宅街―
だね。俺も名前は知ってた。
あの放送の前にもクレープ持って歩いてたよね。
[実は見ていたなんてことを告白しつつ]
あー。呆けてる場合じゃないよな。
早く家に戻って…。
[その家だって安全なのだろうか。語尾が萎む]
…ふらふらしてるよりはマシ、だよね。
遭わなくていいものに会わないで済む。
……
[掌へ視線を遣った。
小刻みに続く、震え。
顔を顰めて、呼吸を繰り返す。]
(だいじょうぶ、だいじょうぶ、だいじょうぶ)
[眸を閉じて、こくりと喉を鳴らした。]
―集会場前―
[そちらの方に駆け寄っていくと、まだ微かに息はあり、
それでも地面に転がるようにして倒れたその体はいまだ生きてることの方が不思議な状態ではあった]
「せん…ぱい…ぶじ……で……」
[口から血をこぼしながら微かに漏らす声に首を振り]
しゃべるな、ドイ。ありがとうな助かった、早く手当てをするぞ。
[無駄だと理性は告げても、見捨てることは自分の感情が許さなかった]
「いいっす、せんぱい………、たすからないのは……、…でも……これで、にかいきゅう…とくしんっすね……」
[最後に軽口を残して、数回の呼吸と吐血の後動かなくなったその体を前足でかかえるようにして]
ああ、ドイ……お前の死は無駄にしないよ……。
[奥歯をぎりっと噛み締めて、その肩からアサルトライフルをとると自分の肩にかけた。小型化されたそれは、肩にかけたままでも四足歩行できた。
一度、集会場前の端末を操作すると弾の補充を行った]
―住宅街―
……、はー……
[肩で息をしながら、銃口を下ろす。
立ち上がって膝をはたく。
先程の衝撃の所為で、眼鏡の右のレンズには罅が入っていた]
……これが『ギム』なんだよね。
[確かめるような口調からは、罪悪感等といった感情は伺えない。
地面に転がる元人間は2つに増えていた。
その何れにもその目は向かず、近くの建物へと向いていて]
あ。
ここって、エリカさんの……
[目の前の事態にばかり気を取られていて、他の喧騒にまでは意識が回っておらず。
奏者の家の近くまで来ていたことに、今漸く*気がついた*]
(あら――)
[先に気づくのは、こちら側に居続けた『私』]
(共鳴、共振?)
[何処からか聞こえてくる、声とはちがう音に、楽しげに。]
(―生まれようとしている貴方は誰?)
[囁き返す]
―集会場前―
[その場を去る前に、後輩の亡骸のに向けて敬礼をして]
今は、事態の収束を…。
これ以上無駄な犠牲を増やさないためにも…。
[混乱の渦中にある区画内のどこかへと*かけだした*]
……安全。
何処、かな。
[ナターシャの言葉を続けるように呟いた。
応えはシャッターの向こうに飲まれてしまった気がした。]
あ、見られてた?
[クレープの姿を見られてた事には
あえて、ふざけた調子で言って笑うも
少し引き攣ってしまったかもしれず]
だいじょうぶ。
……私の家に、行こう?
[二人を誘う、声。]
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