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―― 生徒会室 ――
[蛇口を捻る。勢い良く流した水で、手を腕まで洗う。
顔も、髪も、ついた血を洗い流す]
[視界の端に、かきかけの絵や覆いがかかった絵が写る。
けれど、今にでも扉が荒々しくノックされて、引きずり出されるような気がしてしまって。あまり長く注目はしなかった]
[水をたっぷり含ませたタオルで、スカートやシャツの血を叩く。
タオルはあっという間に赤くなっていく]
………………。
[自分の何よりの願いを聞かれて、深く頷いた。
次いでなされた問いには、気持ちを落ち着かせるよう途切れ途切れに、徐々に声を震わせて、それでも最後まで紡ぐ]
露島先輩だけ、なんです。
露島先輩だけしか、知り合いがいないんです。
私と他の人と対立したときに、私の側に立ってくれそうなのが、先輩だけなんです。
狼ぽい人は、学長とか、森先輩とか、もっと他にいて。
ただ確かめたいだけだった。でも、あんなに変なこと、私言ってるのに。先輩、今も優しくて、余裕があって。
……あぁ、狼なんだ、って。
そう思ったんです。
[基本、あまり論理にはなってない。
自分の気持ちを、あまり上手く表出できない]
─2階・廊下─
……っと。
諏訪先輩、はるさん、たのんますっ!
[>>41 春陽の返事を聞いて駆け出す佑一郎の背に、こんな言葉を投げかける。
先の様子からして、彼に任せるのが一番安心だろう、というのがあったから。
それに、今は]
……ああ。通じんはず……なのに、メールがきとる。
[>>44 春陽の問いに答えつつ、液晶に落ちる視線は険しい]
……何がどうしてどうなったんかは、わからんけど。
『吊り』があったらしい。
……一度、パソ室戻るで。
確かめ、いかんと。
[低い声で告げると、ぱちり、と携帯を閉じて。
答えも待たずに、走り出した]
― パソコン室前 ―
[赤い、血の跡を残していたがそれも途中でうすれる。
膝と手についた血が、体温によってかわきはじめていたけれど、桜子自身は恐怖による寒さを、感じていた]
――っ、蛍子、先輩……
[パソコン室前にやってきたときに、ちょうど一之瀬がでていくところだったようで、その姿を見て泣きそうに顔をゆがめた]
─パソコン室─
[蛍子が扉へと向かってから、椅子を立ち上がり揺らめきながら壁際へと移動した。
椅子に座っているより、地面に座って背中を壁に付け、寄りかかった方が楽なように思えたために]
……もー、なんなの。
[こう言う時に限って、と言う言葉は込み上げる気持ち悪さに続かなかった。
こんな時だからこその不調でもあるのかもしれない。
緊張しっぱなしであるのは、事実だったから]
[ハルエが来る少し前、布をかぶせていた絵を見ると、文字は消えていて、
そして学長とマリーが描かれていた場所にも今は青のみが残っている。
確認をしてすぐに、ハルエがきたのでボクは詳しくは見ていられなかったけど、ちょうどいいかなって、そう思っていたんだ]
―生徒会室―
そっか。
頼れる人がいないのは心細いよね。
[ハルエの言葉にボクは笑顔のままで]
宮町さんはただの村人なんだっけ?
ボクはね、
[布の覆いのかかったキャンバス、その布を取って見せる。
そこの乗っているのは、ヒビキと学長とマリーを抜かしたメンバーが青い背景の中に描き込まれている。
右下に当初書かれていた文字は今はなかった]
このとおり、死んだ人がわかるみたいでね。
[言いたいことは通じるかな?]
―2F廊下―
『吊り』?
[険しい表情を見ながら、慎太郎の言葉を繰り返す。
来ない筈のメール。
その文面までは見えなかったが、それらから連想されるものは]
……まさか、
― 学長室 ―
[春の握るタオルが白から赤へと変わってゆく。
学長の胸に宛がわれた其れに一瞬声を失った。
見開かれた眸に宿るのは驚愕の色。
やがて何かを耐えるように柳眉を寄せて]
春……
[静かに労るように呼ぶのは友の名。
ゆっくりと歩み寄り学長の口許に掌をかざし
それから首筋へとその手を宛がい脈を探る]
――…春、学長はもう……
[脈は触れない。
胸にタオルを宛がう彼にも既にそれはわかっているだろうけど
彼がその行為を終わらせる切欠を作るために言葉を紡ぐ]
─ →パソコン室前─
[パソコン室へ向かったのは、メールで示された人物を最後に見たのがそこだったから。
自分が外に出た後に、移動していた事は知らぬから、そこへ向かうしかなかったのだけど]
……っ!
[駆けた先、目に入ったのは、蛍子と桜子の姿]
一之瀬先輩、百乃喜!
金髪留学生、どこだっ!
[桜子についた赤色に息をのみつつ、とっさにこう問いかける。
ちなみに、名前を覚えきれていなかったりするため、なんか無茶な聞き方になっていた]
[気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い]
[口にしたわけじゃないのに、口の中に鉄錆の味が広がる。
嫌な臭いが鼻を抜けて行く。
不調の原因。それは学長を襲ったが故の結果だった]
―― 生徒会室 ――
[人を殺したって言った。
私の全身は真っ赤で。血まみれだった]
[なのに、相手の笑顔が消えない。それも酷く恐ろしい]
[制服は大分マシになったとは言え、今も血の色と匂いがかすかに残る。手も、顔も、髪も。
キャンバスから覆いが外されるのを、見た。
現れる絵。告げられる役職]
……霊能、者……?
狼じゃ、ないんですか?
[少し驚いたような、取り返しのつかないことを嘆くような、声。
絵に近づいてまじまじと見る。
のどの奥で、呻いた。目から涙が溢れ出してくる]
……吊らないでください。
食べないでほしいのに。狼が、分からない。
どうしたら。どうしたらいいんですか。
あの留学生の人まで殺したのに――!!
[そうして、見開いた目からぽろぽろ涙を流したまま少し呆然と立っていた**]
―生徒会室―
[彼女の疑問の声にこたえる変わりに、そっとその頭を撫でる]
他の皆には、内緒だよこのことは。
[そっと告げてから]
どっちも相手の死に通じる意味では、似ているのかもね。
[そんな言葉をボクは漏らして]
おきてしまったことはもう覆すことはできないけど、でも、
宮町さんは、それが正しいと思って、やったんだよね?
[少しだけ真剣な様子で尋ねかける]
─PC室前─
[桜子の身体についた血は乾き始めていたけれど、それでも肩に添えた手には朱が移った。
桜子に問いかけているところに聞こえてきた足音に、思わず身を竦ませたが。]
真崎君、どうし…え?
マリーちゃん、は…
[自分もマリーがどこにいるのか知らなくて、戸惑うように慎太郎と桜子の顔を見た。]
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