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これ…なぁに?
[手の中で、ちゃらりと転がす。
石と石のぶつかる軽く明るい音が鳴った。
ペンダントの先には色の違う大きめの石が通されており、
キラキラと光を反射して光っていた。]
うふふ、きれい…。
[光に大きな目を奪われたまま、時は過ぎる。]
……ぁ?
[どうやら眠っていたようだ。
ゆっくりと体を起すと、綿毛を敷き詰めた床を踏む。
ぱっと散って浮く様は雪のようだが、
この都市の人が雪を知っているかどうかは、また別のお話。
足に紐を絡めるようにして靴を履き、外へと出ようとして]
そうだ。
[机に置いてあった、
黒曜石のような石を連ね糸を通したペンダントを手に取った。
それを握り締めたまま、道を歌いながら歩いて行く。]
―自宅→道―
―道端―
う、うーん、確かにいっぱい物知ってるし、うーん。
でも年だって上だよ?
「幼な妻って言うじゃない。年の差婚とかいいし、ほら同い年の男よりさー」
幼な妻って年じゃないよねー
うーん、ミリィせんせーと良いかんじだし望み薄かもよ?
[※妄想です]
でも応援する!
勉強の邪魔しないでくれたらね!
「しないって! わーいありがとー! 手始めに好きなものは?」
んー、なんだろ。実は甘いものも好きだったりしそうかなぁ。
ああ、いたいた。
[追いついた頃には多少息が上がっていた。
少女と話しているらしき兄、その少し離れた場所で息を整えた後、2、3歩近付き]
…ん?
[視界の隅で何か動いた気がして、急停止。
眉を寄せ、物陰を見て]
気のせい、かな。
[その裏にリディが隠れてあれこれしているなどとは思いもせず。
視線を外した]
それ、兄さんが言えることじゃないでしょう。
…ああ、こんにちは。
[横合いから突っ込みを入れ。
傍らの少女には挨拶の言葉を。
それから兄に従って、少女には頭を下げて。
共に帰路につく]
ミルドレッドさん怒ってたよ。
「新薬の実験台になって貰おうか」って。
後で来るんじゃない?
…逃げちゃダメだからね、自業自得なんだし。
[帰り道、会話の中でそんな風に釘を刺せば、兄はどんな顔をしただろうか。
いい気味だとばかりに、少し笑って]
…だから、兄さんにそれ言われる筋合いはないんだけど。
[それでもアトリエに着いた時には、懲りてない様な軽薄な笑みに、深々と息を吐く]
まあ、うん。
またね。
[ランプを持ったほうの手を軽く上げて、独り自宅へと向かった]
でもほんとに良いのー?
年いってるじゃん。
「良いの。だいたいそっちは絵師様(はーと)でしょ?」
しつれいな、かっこはーとなぞ言っておらん!
だってさ、絵師様すっごい綺麗じゃんー。
それに絵師様だしー。
すごいよねぇ。
あ、今日二回も見たんだ! 超ラッキー
「はいはい。今度会いにいけばいいじゃん。どーせ髪とかやってたら合えなかったんでしょ?」
う、うっさい。
オンナゴコロってやつじゃないか! 憧れの人に会うときくらい、可愛くありたいオンナゴコロ!
「普段からしとけばいいのにー」
さてと。
[自宅に着き、食糧は棚の中に。
二階に上がって、ランプは机の上に。
横に纏めて置かれた楽譜と、机横の楽器ケースに視線を向けたが]
…少し寝よう、かな。
[兄に言われたのは少し不服ではあったが、長い距離を歩いた後で流石に疲労は否めず。
何日か振りに、ベッドに横になった]
♪ヴォレイ チェ ヴェロ
セシ ヴォルアン アラ
[弾むように、歌声を残して歩く。
きょろり、周りを見渡すと見知った小さな兄妹が居て
軽い白い石で石壁に落書きをしていた。]
たのしそぉ、まぜて?
[高い声をかけると、子供達はにぃと笑って
白く軽い石を渡してくれた。
一緒になって、夢中で石壁にらくがきをする。]
[彼女が描くのは、大きな鳥。
長い曲線は、大きな翼
端に消える直線は、小さなくちばし。
言われればそうも見えなくもないけれど
なかなか見ただけでそうと判るのは、難しいだろう。]
[描きながら、隣の子供の絵を見て
何を描いているのか聞いたり、
それについて話したり絵に線を増やしたりして]
絵を描くのって、素敵ね。
たのしいわ、たのしいわ。
[本当に愉しそうに、笑う。
それから彼女は手を肩から大きく振って
描いた絵は、沢山の縦横無尽の線。
それは他の人からは何の絵かは判らないのだけれど、
彼女はとても満足げに、わらった。]
(憧れと恋心ってやっぱり違うじゃん?
オトせんせーに恋心とか、持ってるってきいたけど、私はどーなんだろーな?
絵師様に、恋心とか持ってるってことになるのかなー?
わかんないや。
お話したこともないし、当然だよね。)
(私がいちばん好きなのは、海の中。
私がいちばんわかるのは、ユリアンの空への気持ち。
同志だから当然だし。
でもそれも、恋じゃないよね。ぜんぜん違うよ、多分。
だってそれしか考えられないっていうなら、私は海の向こう側のことしか考えられない。
ふわふわと空を飛んでいけるのも、きっととっても良いことだけど。
そうしたら、あの向こう側も見れるのかな。)
─食堂外─
んあ、リディじゃん。よっす。
[食堂に入ろうとしたところで同志リディに遭遇。
進捗具合を聞かれて、あー、と頬を掻きつつ、]
ちょっとばかし壁にぶち当たっちまってるんだよなぁ。
理論は間違っていねぇはずだから、あとは熱した空気を逃がさねぇようにすればいいんだが。
あー、そっちも失敗かぁ。
そっちもどれだけの空気を逃がさずに持っていけるかが問題だよな。
普通の綿毛草の布じゃ目が粗すぎて上手くいかねぇし。かといって代替のモノと言っても量が確保できねぇし。
くっそ、足りないモノばっかで、ストレスたまるぜ。
[がしがしと頭を掻き毟る。]
……っと、わりぃ。思わず愚痴っちまった。
ともあれ、まだまだ先は長そうだが、俺は諦める気は更々ねぇ。
だから、お前も諦めずに頑張れよ。
俺に出来ることあるなら手伝ってやるし、遠慮なく言えよな。
[そう言って、互いの拳をごっつんこ。
去り際のスープのお勧めには、応と手を挙げて返し、食堂へと*入っていった*。]
―アトリエ―
……っ!
[は、と転寝から目を覚ます。
痛み止めを飲んだ後、引き込まれた眠りは夢に破られて]
……重いんだよ、なぁ。
[起き上がり、右の肩越しに振り返るよに背へと視線を向ける。
背の右肩近く。そこには蒼い三日月が座す。十歳の時に『昇った』、蒼の『月』]
……ま、言っても仕方ないがな。
[小さく呟いて、立ち上がる。
身体はだいぶ楽になっていたから、幾つか作業をしておこう、と思って。
スケッチブックを片付け、画材の残りを確かめる]
ん……採取に行った方がいいか。
[小さく呟いて、採取用の道具を詰めた鞄を手に取り、肩にかける。
逃げるな、と言われた記憶には、蓋をした。
それはもう、厳重に]
あ、でも崩れてる場所もあるんだったな。
ルート、変えるか……。
[呟きながら、アトリエを出る。
いつもはちゃんとしまっておく二本の絵筆。
代々の『絵師』が手にしてきたそれを収めた細工物の箱を、作業机に置いたままにしている事には、*気づかぬままに*]
― 図書館 ―
[書庫の片隅のデスクに戻り、今日の日誌をつけていたところへ、薬師の声がかかって、立ち上がった]
・・・と。
[薬師の姿が見える前に、噛んでいた蜜蝋を紙に包んでくずかごに捨てる。彼女には匂いで混ぜ込まれたキノコの少々危ない成分が勘付かれてしまいそうだったから、自分用にいれていたキノコ茶を一口啜って、口の中も洗っておいた]
ああ、調合用の本か。少し待ってくれ。
[所望された本を記憶から検索して二冊ばかり書架から取り出す]
これとこれが参考になるだろう。そちらの写しは、俺が直そう。読んでいる間に仕上げておく。
[渡した二冊と引き換えに、文字の薄れた一冊を受け取り、絵師の事を問われると]
子供を避けて転んだらしい。湿布は貼ったが、全治三日といったところかな。
[あっさりと暴露した]
食事も相変わらずろくに食ってないようだ。一度苦い栄養剤でも処方してやってくれ。
[さらにダメ押し]
[薬師が読書室へ本を持ち出した後、預かった本の薄れたページを別の紙に丁寧に書き写して、差し替えていく。薄れている方の紙は、後で再利用するためにストックした]
[やがて読書室の薬師に修復した写しを渡すために書庫を出て、教え子が残した壮大な誇大妄想を聞かされ、眉間に皺を寄せるのは、もう少し後のこと**]
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