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おんっ
[思考による間が空いた後、犬はくぐもった声で一声鳴く。
それからついて来いと言わんばかりに道を歩き始めた。
行き先は当初から自分が向かおうとしていた場所]
[正直な所、誰がどうなっているのか、なんて考えている余裕はない。
現状は、直感だけで動いていた]
……しーかし、ったく。
なんで、こーゆー事態にぶち当たるんだろねぇ、オレ。
[内容は大分違うが、退役する理由の一つには、閉鎖空間での市民暴動が関わっている。
あの時のそれは人為的なものだったが、今回はどうなのか。
そんな、考えてもわかりそうにない疑問を振り払い。
離脱するタイミングを測りつつ、幾度目か、撃鉄を起こした。**]
『ピッ』
[旧型の銃よりも軽い音が放つのはレーザー。
おもちゃのようなそれは運良く相手の額を貫いて。
どさりと人の倒れる音がすると、作り物みたいな赤い色が地に広がってゆく。
焼けるような匂いは、すぐ傍が火事のおかげで紛れてしまっていた。
ぶはぁ、と息を吐いて、吸う。いつの間にか呼吸を止めていたようで、たっぷり息を吸い込むと血生臭い匂いが鼻へと昇ってきて噎せた。]
うぇ…げっほ、げほ……
[吐きはしなかったが、ただ暫くの間噎せると身体は自然と人の形に戻っていった。
足が痛いのは相変わらずで、気にならないとは言い難かったが。
目の前に倒れた、いや倒した人間の姿から目が離せなくて。]
いくら違うったって…。
生きてる人を殺すってのは、やっぱり……。
[怖いと呟いて、面の下で眉を下げた。
ちょっと泣きそうだった。]
「そうか、ならばその人にもお礼を言わなければな」
[犬ということは結局最後まで伝わることはないだろう]
「君も無事で、しっかりとお礼をしたいからね」
[最後にそういい残して、すぐに追いかけようとした者はレッグに足止めされることになり、無事にその輪から逃げ出すことには成功した。
もっとも、どこも似たようなやりとりをしており、すぐにまた別の騒動に巻き込まれることになり、結果として……]
― 雑貨屋・店外 ―
[壊れて歪んだシャッターをくぐり抜ける。
周囲に視線を巡らせど、動く者はいなかった。
離れたところから上がる煙や、遠くから聞こえる喧騒がまだ騒ぎが収まっていないと知らせていたけれど。]
…え?
[ふと、壊れているはずのシャッターが元通りになっているのに気付いた。
なんで、と伸ばした手はシャッターを透り抜け。
余計に、何がどうなっているのか解らなくなった。
まさかケイジが成した細工だとは思いもよらず。
困惑したまま、シャッターを見つめている姿は誰かの目に留まったなら不思議に思われたろうか。]
─ →自宅 ─
[警備員がついて来る>>92のを確認しつつ、人の少なそうな道を選んで向かったのは犬の住まう場所。
この辺りは粗方喧騒が通り過ぎたのか、比較的静かなものだった。
その代わりに道に転がるものも良く眼にすることになるわけだが]
ふぁふ
[とある家の前に立ち、ここだと言うように空気の抜けた鳴き声を出す。
以前少女や青年を連れて来た時のように鳴かなかったのは、隠れる場所を必要とする警備員に配慮してだった。
こちらから呼びかけなければ、飼い主は実験に没頭して顔を出すことはない。
それも普段ならば、の話ではあったが]
[鼻先で家の扉を開けて、警備員を振り返り尻尾を振る。
入って良いよ、と言う雰囲気で見上げた後、先導するように犬は家の中へと入って行った。
家の奥からは音も聞こえず、静かなもの]
くぅ?
[飼い主の気配もなく、犬はリビングに繋がる廊下の真ん中で首を傾げていた]
─ 街中 ─
ん〜〜〜〜〜〜、んっ!
[撃たれた箇所を掴みながら力んで唸ると、足に埋まっていた弾が零れ落ちた。
縛れるサイズのハンカチやら持っていなかったので、仕方なく上着を裂いてきつくしばっておく。
治癒力は高い。暫く放っておけば塞がりはするだろう。]
っかし……どうしよ。
これ爺さん捜しどころじゃないなぁ…。
[もはや捜せる状況じゃない事は身に染みて。
仕方なく約束した通り雑貨屋まで戻ろうと、鞄をかけなおし歩き出した。
なるべく人気のない道を選び、回り道をしながら歩く。
さっき撃たれた原因が「血が青いから」とかいう、宇宙人としてはとんでもない理由だった為に、青色に染まった身をあまり見られたくなかったためだ。]
―街中―
[静かになった町の中、血溜まりと死体の中で、ゆっくりと覚醒する。
自分をかばうように抱く父親は血まみれで胸を何かで貫かれたか、打ち抜かれたか、
愛するわが娘をかばうかのように抱いたままで動かなくなっていた。
すぐ傍にアンドロイドの死体も転がっており、こちらも胸に大きな穴が開いていなければ、それだと気づけなかっただろう]
とー……さん……
[父親の姿をしたそれは、声をかけても反応はないし触れても何も感じられない。
心も、思いも、その温もりも。
胸の辺りの穴には目を向けることができず……]
ふぇぇぇぇぇぇぇん。
[一人で通りの真ん中でないていた。血にぬれて、胸のあたりが少し痛む、怪我をしているらしく、泣くとそこが痛んだ。
とっても……その胸の内にいたるまで]
─ 街中 ─
ん?
[こそこそと秘匿工作員よろしく隠れながら、雑貨屋までの道を遠回り遠回りに進んでいたら、聞こえてくる泣き声>>97に足が止まった。]
うっわ、子供…。
どどどーしよ。
[声の高さから男の子か女の子かは分からないが、子供が泣いてるのを聞いてだまって行くほど薄情にはなり切れない。
迷いはしたが、意を決して影から出ると、通りの真ん中にぽつんと立つ少女の姿が目に入った。]
あ、君。
[つい最近見たことあるなぁと思って記憶を手繰り寄せると、親子で犬と一緒に居た事を思い出した。]
ええと……大丈夫?
お父さんは一緒じゃないの?
[と尋ねるのは、父親だと認識していた人物の姿が周囲に見あたらないからだった。]
─ パトラッシュの家 ─
『無事だよ。上手く隠れられてるなら動かないで。迎え行く』
[問いかけながら、手早く返事を打って送った。
最初の放送の時から怯えていたフランが、この銃撃戦の中応戦出来てるとは思えない。だから隠れているのだろうと踏んだ]
……あ。
この内装、同居人がいるはずか。
[一つ目の連絡を終え、改めて家の中を見回して。
何か考えるように唇に携帯端末を握った指を当てた]
ふぇぇ…
[涙を零しながらぼやけた視界に仮面をかぶった姿を映す。
心配そうに声をかけてくれているのはわかって]
おかーさん……にせもので……ひっく……PSMで……えっぐ……
みんな……いなくなって…ふえぇぇぇぇん……
[泣きながらの断片的な答えでも、現在の状況から何があったかは大体伝わるだろうか。
父親のことを聞かれると血溜まりの中で、ほかの死体とかと一緒になっているひとつを指差した]
─ 自宅 ─
くぅん …
[警備員に問われて>>98、振り返り小さく鳴く。
尻尾が力なく揺れていた。
それからまた視線を前へと戻し、犬は奥へと入って行く。
実験室まで入ってしまえば、警備員の居る場所からは見えなくなってしまっていた]
くぅん くぅん
[小さく鳴きながら入った実験室。
そこもまた静かのもので、人の気配は無かった]
くぅ?
[否、人はそこに居た。
この家の家主であり、犬の飼い主である人物が]
わふ …… わぅん
わぅわぅ …… きゅーん …
[ただし、ピクリとも動かず床に倒れ伏した状態で]
[裏口に程近い実験室は、その場所を含めて酷く荒らされていて。
綺麗なままだった玄関付近とは打って変わった様相をしていた。
犬は銜えていた袋を床に置き、鼻先を飼い主へと近付ける]
くぅん ……
[それから動かない飼い主の頬を、ぺろぺろと舐め始めた。
触れる肌が冷たい。
胸元に空いた風穴が飼い主の状態を物語っていたのだけれど。
犬は眼を覚ましてと言わんばかりに何度も飼い主の頬を舐め続けて*居た*]
[さて血塗れた道の真ん中に、女の子を一人置いていくのは忍びない。かといって、お家に帰りなさいと言える状況でもない。
仕方なく、屈んで視線を合わせながら。]
どうしようか……ねえお嬢ちゃん、お父さんとお母さん以外に知ってる人の所に行く?それとも俺と一緒に行く?
俺は今から知り合いのお姉さんの所まで様子を見に行くつもりなんだけど…。
あと、お嬢ちゃんのお名前何かな?
俺は〓………ケイジって言うんだ。
[一瞬名乗りかけた本名は、不快音に余計に泣かれる可能性もあるので止めておいた。
彼女の返答次第では、雑貨屋へ戻るのは遅れる事になるだろう**]
― パトラッシュの家 ―
外に出たんなら…。
[語尾は沈黙に変わった。外出中でも無事な保証はかなり低い。
力なく尻尾を垂らして奥に入ってゆく犬>>102を一度見送り。
少し迷うようにしてから、銃をホルスターに仕舞った。
携帯端末の裏面を片手で押さえながら、忙しなく操作する。
「御姉様」への連絡手段。使うと面倒もあるけれど、今はそうも言ってられないし。一番確実な情報源のはずで。
けれど反応は戻らなかった。その理由はすぐに知れる>>#1]
……最悪に最悪が重なってく。
[クローディアなら「交渉」も可能だが。これではもう下手に接触を図ることも出来ない。
あーあ、と肩を落として、奥から戻ってこない犬がどうしたのか確認するために奥まで踏み込んだ]
さっきの、キミの名前も含まれてたんかな。
カレン? パトラッシュ?
[名前は今度こそ間違わずに確認できただろうか]
私はエリカ。
ジェファーソンの雑貨屋寄りながら指示通り移動するけど、キミはどうする?
[軽く首を傾げて尋ねる。
共に来るなら連れ立って、動かないようなら「また後で」と小さく告げて、沈黙に沈んだ街の雑貨屋へと*向かった*]
[頭を撫でられ、伝わってくるのは人とちょっと違った何か。
でもその思いの本質は変わらないらしく心配してくれてるのは伝わってきた]
えうっ……えうぅぅ……
[ぐしぐしと涙に濡れた目を擦ってから名前を聞かれると]
かれん……かれん……どいる……
[まだぐずった声のままで答えて、それから続いた問いかけには小さく頷き]
いく……
[この場所にこれ以上一人でいたくなかった。
少なくとも、悪い人ではなさそうだったから]
けいじ……さん……
[それからその後ろに大人しくついていきながら、凄惨な様子の街中を歩いていく]
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