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―― 西殿・結界前 ――
[中庭の方には気付かずに、まっすぐ西殿まで駆けてくる。ちなみに機械竜は食堂に残したままだった]
何が…あったんですか?!
[先に、その場に居た、年長の竜達に尋ねる]
明 夏玲殿が、取り込まれました。
恐らくは、虚竜王様の不機嫌によって。
[ 俯いた侭に、小さく音が漏れる。
生命の竜に触れられて、篭めていた力が僅かに緩んだ。
制御するなれば我の方が得手ではあれど、均衡の崩れた現状では、下手に発現すれば影そのものが消失する危険がある故に、手出しは出来ぬ。]
……無事なら、いい。
身体も、心も。
[ 呟きは祈るような響きを帯びていた。
月闇の竜より伸ばされる手に抗う事もない。
代わりのように、腕が解かれて手が落ちた。]
[判断は早かった時空の竜王の起こした影響は、時空を司る竜であるユーディットにも影響しただろうと小猫を下に置き、鎖で繋がった腕と指に戒めてある精霊銀の輪を外す。
夢を見るのは竜だけではない。精神を持つ生き物など何処にでもいる。ただ竜の夢より渡るのに力が必要なだけだ。
次の瞬間、夢を渡り青年はユーディットの背後に立っていた]
………。
[心の動きを止めた気配の無い精神の竜は、現れると同時に手を伸ばし時空竜の肩を掴む。
既に集めていた心の力を使い、結界内へと*送り込んでいた*]
―西殿・結界前―
エーリッヒ殿。
[駆け込んできた機鋼竜を振り返る]
確認はまだ出来ておりませんが。
ハリョン殿が、中に取り込まれてしまったかもしれず…。
─西殿・結界前─
むぅ、結界を解析するはもはや難しいか。
虚竜王様は余程不機嫌になっておると見受ける。
[ブリジットの言葉に右手で顎髭を撫でながら唸った。
直後駆け込んでくるエーリッヒの姿]
どうも、ハリョン殿この場より姿を消したらしい。
可能性として、結界の中へ取り込まれたのでは、と。
[知り得る情報をエーリッヒへと告げる]
―西殿・結界前―
[掛けてきた機竜の仔へと、ゆるりと首を振る]
まだ、推測でしかありませんが……虚竜の王の力が、働いたようです。
[端的に、エーリッヒへと伝える。
そこで結界前に駆けて来たのは、風の若竜で]
ティル!今まで、どこに?それより、陽竜の――
[そこまで尋ねたところで、風の若竜は首を振るって。
裏庭で見たことを、場に居る竜たちへと、身振り手振り交えて説明してくれた]
虚竜王……
なんということを。
[呟き、目を伏せる。
結界を見れど、中の様子は見れず。]
[そうと、ノーラの髪を撫でる。
少し考え、安らぎを与えるのは、わずかにした。
あまり多ければ、狂ってしまう。それは影輝の在り方として、どうなのだろう。]
[安らいでほしいと願うけれど、
それは叶うか、*叶わぬか*]
―裏庭―
[ノーラの力が緩んだのを感じれば、手は離れる。
寄って気にかけるオトフリートの肩をぽんと叩いて、後は任せたと暗に告げながら、ノーラの傍からは少し離れた。]
…大丈夫さ。
というか、大丈夫でいてくれないと。
虚竜王と陽竜王の大戦争が始まるぞ…。
[馬鹿兄とは誰からか聞いていた。
さて弟可愛さにまともにぶつかり合ったらどうなるか。
…どっちが強いかとか考えたくはないし、意味が無い。
遠い目になったのは、仕方が無い事だと思う。きっと。]
―― 西殿・結界前 ――
陽光の?!
[天竜に告げられた名は意外といえば意外だった。あの幼竜が虚竜王の機嫌を直接に損ねるとは思い難かったし、結界を創ったものが邪魔にする程の力を持っているとも思えない]
…ほんとに、無差別なんだ…
[なんか若干、虚竜王に対する尊敬が揺らいだかもしれません]
[まだ残っていた傷がいえる感触。
目は送らなかった。]
――無理をするなと言ったはずですけど。
いざというとき、使えなかったらどうする気ですか?
[それから、結界の発動を感じる。
混乱の中、アーベルへそっと囁く。]
――お疲れさまです。
ご無事、ですか?
[混じるは、心配そうな色**]
ティルさ…ティル殿!
[もう一人、駆け込んできた疾風の竜に顔を向けた。
裏庭で何が起きたのか、それを実際に見てきたものから告げられて。そしてその判断を聞いて]
やはり、そういうことですか。
…無差別ですね。こちらはこちらで…。
[厄介なとは音にしないだけの分別は残っていたらしい。
だが眉が寄っているのを見れば、機鋼と同じようなことを考えているのは分かるだろう]
―結界内―
[肩に触れたまま同時に結界内に転移し、睨み上げてくる強い瞳を赤紫の瞳が覗き込む。その胸元では鎖に繋がった眼鏡が揺れる]
――…あぁ、貴女は強い心をお持ちですね、ユーディット殿。
何者にも揺れぬ、気高き心を。
けれど、剣の持ち主ではない。
[囁くように告げて、後ろに飛び退る。
そして青年は笑みを浮かべたまま、結界の外へと消えた]
それは、御免蒙りたいな。
[ クレメンスの言葉に苦笑らしき気配が滲んだ。
どちらが勝とうとも、良い結果を生まないのは間違いない。]
……悪い、心配かけた。
参ってる場合でもないな。
[ 視線の先を追う事はせぬものの顔を上げ、静かに謝罪を告げる。
天秤の傾きは未だ僅かなれど、水面に広がる波紋は確かに影響を与える。そも、浮かんだ先の表情ですら、その証と言えよう。]
―裏庭―
…ちと、結界見てくるわ。
[そう言いながら、足は西殿の方へ]
―→西殿―
[西殿の結界前に集まった竜らに近づき。]
どうだ、こっちは変わりは。
[無いかと尋ねながら。]
─西殿・結界前─
[少なく情報交換をしている最中に駆け込んでくるティルの姿。伝えられるは裏庭での出来事]
ぬぅ、虚竜王様の不機嫌がハリョン殿を取り込んだと言うことか。
無限の鎖によるものとなれば、まず間違いはあるまい。
…無差別の中に少しくらい親切心が混ざっていることを願うとするかの。
[光竜王の傍へ置くために、と考えれば少しは揺らぎそうな虚竜王の体裁も保てるだろうか]
―― 西殿・結界前 ――
[疾風竜からも、確かに陽光の仔が消えたことを聞き、大地竜と氷破竜の推測にも頷く]
竜王方がいらっしゃる結界の中だから…外より危険ということもないだろうけど…
[今まで近付きはしても触ったことのない結界に、動く右手を付いて、中が覗けないかというように目を眇める]
いざという時に万全でいてくれないと、おいさんの方が困るのよ。戦えない身の上じゃな。
補給がいっぱいでも武器がナマクラじゃ何にもなるめ?
[そうオティーリエに告げながら、こちらも感じるは発動の気配。誰を送ったかは、すぐに知ることになる。]
[そうして抱き上げた小猫を東殿内の天聖の使用人達に渡し、青年は再び外へと出た。
乱れた心の動きが幾つか――幾つも感じられた]
………。
[僅かな逡巡を経て西殿の結界へと向かう]
―西殿・結界前―
やはり、難儀になってきましたね。
本格的に、色々と対処を考えないと――
[そこで、抱えている翠樹の仔の表情が、薄く曇っていることに気付く。
余計な話を聞かせすぎてしまったろうかと、少しだけ悔やんだが、]
大丈夫、そんな顔しないで?
私やオトフリートも居るし、他の竜たちだっているから。ね?
[優しくあやすように、ベアトリーチェの背を優しく撫でた。
そこで聞こえてきたのは、命竜の言葉で]
―西殿・結界前―
こっちは……、ということは。あっちのは、既に知っているのね。
[ひらり、翠樹の仔を抱える方とは逆の手で、手を振り]
結界が、さらに不安定に、不規則になってるの。
それ以外、大きな変化は無いようだけど……。
[命竜へ、ゆるりと首を振るった]
─西殿・結界前─
[更に現れたクレメンスに右手を挙げて]
結界がまた複雑になったようじゃ。
…ハリョン殿が取り込まれたと言う話は聞いたか?
[相手の問いの答えを返し、重ねて問いかける]
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