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― テレーズ宅前 ―
[再び降りてきた視線は、
荷物を拾い聞く体勢に入ったミケルに一旦止まる。
彼に花が咲いている事は知らないけれど、
彼の言葉がゆったりとしているのも知っているから、笑むだけで]
ああ、ミレイユもそれなりに話は知ってたんだな。
[山頂、の単語に、彼女が自分よりも知識がある事を悟る。
けれど]
……ミレイユ?
花を刈る、って…?
[独り言のように紡がれた知らぬ言葉。
知らず、訝しげな色が浮かぶ]
― 都市の通り ―
ミレイユー? ミケルー、居ませんかー?
[きょろきょろと周囲を見回しつつ、控え目ではあるが名前を呼んでみる。
コレットの言葉の通りなら、自分かサリィの家の方へ向かっているはずなのだが]
[花を刈る。
花、といえば、視線は自分の右足に。
お話をして、ノクロが撫でる時には、ミレイユから離れていた。
だから、動きには、やっぱりすぐには反応できなくて。]
…! ミレイユちゃん…!
[一拍後、慌てて呼び止めようとした。
エトとノクロの様子に、ほのぼのし始めていたのも、反応の遅れた理由の一つだろう。
慌てて、追いかけようとして、でも荷物が重いので、置いて。]
コレットおばあちゃんの、おつかいだから!
[お願いとか、そんなこといえなくて、小さくなる後姿を慌てておいかけた。]
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