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……っ、と。
[風に乗って流れてきた黒を、何故か反射的に捕らえる。
そっと握り開けば、手の中に納まったのは黒の花弁。
なんだこれ、と不思議そうに呟くも、目の前の人物に気付けば
再び掌を握る。月明りに反射するように蒼が僅かに光って]
――こんばんは。クリューガーさん。
[お仕事ですか?と僅か首を傾げ問い]
……血筋?
[中から聞こえた言葉に、微かに眉を寄せ]
そう言えば……そんな話も聞いたっけ……。
[以前、ここで交わした会話を思い出しつつ、呟く。
それから、ユリアンが投げた問いに、翠を引き締めて]
オルゴールですか……
[その言葉に僅かに思案するが、にっこりと微笑むと]
ええ、見つかりましたよ
[もちろん外で聞き耳を立てる存在になど気づく由もなく]
おや。
[耳に届いた声に、ゆっくりと振り向く。
一つに纏められた黒橡が風に吹かれて零れ、
一筋は頬にかかり、残りは流されるかのように]
いいえ、少し考え事を。
仕事と言えば、仕事になりましょうか。
[冴え冴えとした月を背に、浮かべる笑みは目もあやに]
[眸を閉じ、軽く頭を振る。紅は引いて行くけれど、何ゆえか完全に蒼になることはなく、青味の多い紫に留まる。]
[そのことに自身は気づいていないのか、扉のほうへと歩み、手をかけた。]
見つけ、なきゃ。
[何を、とは言わないけれど。少しだけ躊躇って、廊下へと出た。]
えっ。そなの?
[にこりと笑むユーディットの言葉に意外そうな声を上げる]
あー…なんてーか。そりゃよかった。ってか全然知らなかった。
[...はもう、皆が知っているものだと思っているようで、照れ隠しか頬をかきつつ]
まあ、専門的なことはわからないけどこれでユーディットの主も元に戻る…よな?多分。
エーリッヒ辺りがなんとかするだろうし
[ナターリエさんやザムエルさん達も…な。と続けつつ、あっさり見つかったということはイレーネのあの瞳の…魔というものと関係があるのか?と思っていた変化が…どうやら今回の事件に関わっていない様子なのに、内心安堵した]
それは、お疲れ様です。
[笑みを向けられれば、僅か目を細めながらもへらりと笑みを返し
ふわりと風が吹き抜ければ、青の髪が頬へと掛かる。
手の中に納まった黒い花弁を指先で弄り、執事の下へと歩み寄って。
ふとモノトーンの花に紛れ、赤の薔薇を認めれば僅かに目を見開いた]
…紅い薔薇?
[まるで、昨夜の女性を髣髴とさせる色に
ありましたっけ、と不思議そうに眉を寄せる。]
[階下へと降りたところで、呟く声を耳にしたのか。動かす視線の先には金の髪持つ青年の姿。]
[扉の前に佇む彼のほうへ、音を立てないように進んで行く。相手が気づけば会釈はしようか、けれど自分から声を掛けようとはしない。]
[頬にかかる髪を掻いて避けながら、
こちらに歩み寄る青年に緑の眼差しを向ける。
その色はやや闇を帯びながらも、光を放つ]
いいえ。
[問いかけに対して短く答え、首を振る。
自分には覚えがない、というように]
ええ、見つかりましたよ
[安堵を浮かべるユリアンの姿にクスリと哂うと]
……ただし、主人もナターリエ様もザムエル様もヘルガ様もブリジット様も元に戻ることはありませんが
[笑顔でそう続ける]
[中の会話に意識を向けつつ、近づく気配に気づいて、そちらを見やる。
それから、静かに、と。動作だけで示し]
……っ!?
[朗らかな響きを帯びて告げられた、ユーディットの言葉に息を飲んだ]
……囚われたのは……彼女かっ……。
…やっぱり、そうですよ、ね。
[執事の前まで歩み寄れば、自然と足が止まった。
赤の花へとその視線を向ける。突如花開いたそれに、僅か眉を寄せて]
……まさかほんとーに、死体でも出てきたとか?
[冗談混じりの苦笑を浮かべつつ、先日の会話を思い出して。
根元の掘り返された跡を見やれば、靴裏で柔らかくなった土を軽く蹴る]
……は?
[ユーディットの浮かべる笑みに不気味さを感じつつも、言われた言葉に、なぜにブリジットも?と思い疑問符を口にして……でも最後まで聞かない。
オルゴールが見つかっていて、でも事件が解決せず、それどころか被害者が増えていて。
そこまでくれば自ずと答えは導き出せる。]
あー……撤回。やっぱ歌嫌いかも
[なんていいつつ、険しい表情でユーディットをみながら距離を置く。]
いいえ、恐らくは……
埋められていたのは、オルゴールですね。
[思案するように口許に手を当て、視線だけを相手に。
少し伏せられた眼は、相手の様子をじっと窺う]
見つけられなかったのは、全く持って不覚です。
[動作には頷くけれど、歩む足は止めない。青年の傍まで近付いた。]
・・っ
[中の会話が聞こえたのか、青年の呟きに反応したのか。小さく息を飲んだ。]
[険しい表情をして距離を置こうとするユリアンに歩み寄りながら]
あらアら、せッかく聞カせて差し上ゲようト思いマシたのに
私ノ歌姫の音色を
……もチろんユリアン様の魂を対価にシて、デスがね
[ニコニコと哂いながら、ユリアンとの距離を詰めようとする]
―――…へぇ、
[告げられた言葉に、土を蹴っていた足が、止まる。
小さく上がる声は、驚愕と。感嘆の色を含んで。
緩やかに伏せられた瞳は、髪に落とされた闇に紛れて見えずに。
それでもその口端が、僅かに弧を描いたのは、気のせいか]
……それでも、もう検討ついてたりするんじゃない?
[まだ、青年の声を持つその声は。
何処か愉快気に、執事へと向けられて]
[魂を対価に。
その言葉が聞ければ、十分か]
……さすがに、それは見過ごせないんだがっ!
[声に籠るは憤りか苛立ちか。
いずれにしろ、平静の彼らしからぬ怒声と共に、扉を開いて中へと踏み込む]
─…→音楽室内─
……さあ、どうでしょうね?
[視線は一瞬、ちらりと邸の方へと走るが、
すぐさま青年の姿をした彼へと戻される。
瞳はすっと細められ、それも愉しげな様相に見えるか]
シード様――
いえ、“貴方”はどうお思いになりますか?
/中/
|∀・) ひっりー乱入開始!がんがれ! wktk
ぼくはまったりと庭園で待ち構えてみたり。
窓越しに庭園に脱出してしまえb(ry
[ニコニコと、離したぶんだけ距離を詰めるユーディットに不気味さを覚えつつやはり離れようとしながら言う]
いやいや、遠慮しておくよ。うん。
ってかあのオルゴールやばいって、昨日のヘルガさん見ただろ?あれどうみても正気じゃないし。返そうよ。
それにもし食わせるにしても俺の魂なんて食ったらあんたの大事な歌姫、腹悪くするってば、絶対。
[そんな軽口叩きつつ、時間稼ぎ。
普通に殴りあうなら…まあきっと問題もないだろうけど、昨夜のような不思議光景は無理。
あんなのに対抗しようもない。
でも、説得もどうせ無理っぽいなー。なんか昨日のヘルガと同じぐらいやばそうだし。とか思っていると、やはりそこは一室。逃げ場などすぐ失うのは当たり前。
何か典型的に追い詰められている自分に呆れたようなため息をつきながら、もう軽口などいっか。と]
だいたいさ。人の魂食って聞ける音なんておぞましいことこの上ないから聞きたくもねえよ
[と言う。
それは周りとは価値観が違うといわれても...の本音。それで、どうなるかなど想像がつくが、最後ぐらい気炎をはいてみたかった。そんな意地から出た言葉である]
[怒声が響き渡れば、流石に驚いたか眸を見開いた。]
[開いた扉の中は音楽室。対峙する男女からも、廊下に佇む銀灰色の髪は見えようか。]
―――…まさかとは思っていたが。
"私"に気付いてたな。
[執事の返答にくつりと口許が歪む。
喉を鳴らす青年の姿を借りた其れは、何処までも愉快気に。
指で弄り続けていた黒の花弁へと、視線を一度落とせば
愉しげに細む紅の視線を、緑の光へと向けて]
…まさか。オルゴールの行方を、私が知る由も無いだろう?
[その真意は何処にあるのか、青の合間に光る紅は相手へと見据えたまま]
お初にお目にかかります、とでも申せばよろしいでしょうか。
少々、調べさせて頂きましたが故に。
[手を胸の前に回し、嫣然と微笑んで優雅な一礼を]
そうですね……
確かに、初期には関わっていない、とは考えていますが。
[今はどうであるとも言わず、返す緑の瞳は揺らぐ事もない]
全く御存知でない、という事もないのでは。
このように“愉快な”事をお見逃しになるとは思えませんから。
正気? ふフ、そンなものアの音色の前には必要あリマせんよ
ご心配ナく。恐らクソういウ事象は魂にハありませんカラ
[ニコニコと距離を詰めながら、ユリアンの言葉に答えていたが、
彼のおぞましいことこの上ないとの言葉にスッと顔から表情が落ちると]
へぇ、私の歌姫をそういう風に仰いますか
いいです、もう少し苛めて差し上げようと思ってましたが、さっさと魂捧げちゃってください
[そう言って、懐からオルゴールを取り出す
その時、背後の扉を乱暴に開けてエーリッヒが乱入してくる
それをチラリと見て取ると、クルリと振り返り]
あら、エーリッヒ様。どうかなされたのでしょうか
[そう言う彼女の顔には再びニコニコとした笑みが浮かんでいた]
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