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“我等にとって彼等は搾取するべき資源でしかない”
[ 其れは何時かに聴いた同族の科白と同じ物。淡々と紡がれる。]
……そう云う事だ。
十八年、人として生きてきた。
然れども斯うして覚醒めてみれば、全ては容易く崩れ去った。
[ 窓の外、遙か遠くを見遣る双眸には僅か懐旧めいた色。]
あれは、……果実が熟すのを待っているだけに過ぎない。
[ 後の言葉には微かに洩れる嗤い聲。]
人としても獣としても中途半端、か?
[ 嘲りを含む其れは何処か己に向けられているかの如くにも聴こえる。]
嗚呼。そう、其の通りだ。彼等は唯の肉、何れ捥ぎ取られるべき果実だ。
お前は正しい。
ハーヴェイ=ローウェル。
[クスクスと嗤う男の双眸からは][何故か壊れた様に涙の雫が]
お前は未だ、泣く事が出来るのだな。
[ 其れが如何なる理由で零れた物か、彼には解らぬ様子――或いは仮令理解していようとも謂うまい――が、聲により紡がれる科白は何処か遠い響きを持つ。]
お前は正しきを厭うか? Giselbert.
[ 誘われる様に壁から身を起こせば緩やかに寝台に腰掛ける男へと歩み寄り、其の琥珀から流れる雫を指先で掬い取れば口許に運び紅い舌が其れを舐める。眼前の男を見遣る黒曜石は、未だ陽の照る時間にも関わらず月の如き冷艶さを湛えるか。]
……俺もお前も、変わらないよ。
所詮は、――獣だ。
[涙を掬い取られた時には]
[ふるり][身震いしたが]
[黒曜石の双眸][其処に湛えられた色に]
[魅入られた様に琥珀の眸を]
──すっかり獣に成って仕舞えば。
自分の心が変わって仕舞った事も忘れられるのだろうか。
……さぁな。
[ 琥珀から黄金へと変わる濡れた双眸を眺める黒曜石は揺れる事も無く。]
然れど、獣に堕ちてしまえば昏き闇に揺蕩えば、其れは快い事だろう。
[ せせ嗤う様な声ながらも、薄い口唇からは零れる吐息は僅かに甘い。]
成りたいのなら、――己が欲望の儘に動けば好い。
[ 差し伸べられた手は誘いか。]
[突き放す様で居て][誘い掛ける様な]
[其の言葉に]
[ゆっくりと眸、瞬かせ]
[瞬時差し伸べられた手を見つめる]
[けれども躊躇いは無く]
[手を取り]
御自由に?
[ 近付く其れにも動じた様子も無く微笑は湛えられた儘。]
尤も。俺は、喰うなよ。
[ 触れ合った手をすいと別てば彼の指先が男の口唇を掠めるもそれも叉直ぐに離れ、服の内より取り出すのは皮鞘に包まれた短剣。抜き放たれた其れの柄に刻まれしは緑髪の少年の名。其の刃で自らの左腕に立て軽く引く。]
此れくらいならやるが。
[ 零れる緋色。]
嗚呼……。
[腕に引かれた緋色の線に吸い寄せられ]
[蕩けた蜜の色した眸][黄金に煌き]
[逡巡を振り払う様に]
[久しく求めていた]
[赤く赫い][甘く甘い]
[生命の美酒に口を付ける]
[やがて、刻至れば]
[濡れた琥珀][満ち足りた微笑]
[緋色に口唇を染めて、]
[冷艶な黒曜石の眸を見据える其の顔には]
[*獣の嗤い。*]
[ 零れた緋色の雫で渇きを潤す男を見遣るは月の如き光華を湛える黒曜石の双眸。其の幼子の如き様相に彼は何を思うか、然し浮かぶのは微かな艶笑。]
……今晩和、同族?
[ 軈て欲望を充たした獣を眺めれば、先程の様に男の濡れた口唇を其の指先でつ、となぞって緋色を掬い取り、*薄い口唇は三日月を象って歪む。*]
─浴場─
[湯の中に浸かって、物思いに耽る。
表情はやや、陰りを帯びて見えたか。
しかし、薄紫の瞳には、感情らしきものは見えず、どこか虚ろ]
……結局…………最後に、決めるのは、自分なんだよね。
[ぽつり、と。
ずっと考えていた事を口にして、湯船から身体を引き上げる。
いつも男物の装いに包んでいる肢体は華奢で。
今は、表情の虚ろさとも相まって、容易く手折れそうにも見えた]
力の印……巫女の印……異能の証。
……人にも、異形にも。
どちらにもなれない、どちらにも寄れない、中途半端な存在、か。
……どちらにも、受け入れられないなら。
何のために、いるんだろうね、ボクらは。
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