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よかった。
[薄桃が微かな弧を描いた]
分からないことだらけです。
終わりも、始まりも。
[終焉についての見解を聞きながら、出せたのは結局そんな言葉]
[イザベラの解釈を頬に手を当てながら聞き]
……辻褄は、合うわね。
でも象徴的に言う意味は?
殺人鬼が居ると言うのなら、そうだとはっきり言えばこんな頭を悩ますことも無いじゃない。
それともこうやって私達が頭を悩ませて居るのを見て楽しむのが番人の趣味なのかしら。
もう一つの疑問。
番人に記憶があるのは良いとして、どうして記憶があやふやな人達だけここに居る?
それとも偶然、記憶が無い人の中に殺人鬼が混ざっていた?
でもそうだとしたら、何故私達はここに集められているのかしらね。
疑問は尽きないわ…。
殺人鬼ね
一人殺せば「殺人犯」
幾人か殺せば「殺人鬼」
多数を殺せば、ある種の「英雄」だ
殺人鬼といえ、ここの全員を殺すのは簡単ではないと思うがな
現実的に考えれば、それもない、とは言えんかも知れんが。
それはそれで、わからん部分が多すぎるな。
[イザベラの解釈に、零れたのはこんな呟き。
それは、シャーロットが口にした疑問と同じものなのだが]
……そうだとしても。
それこそ、なんのために、わざわざ「生み出された」んだよ?
[ナサニエルの語る定義には、こんな疑問を投げていた]
……ナサニエルの言うことも尤もね。
記憶が無い今、元の世界があると言う保証はどこにもない。
ここに居ることに気付いた時に生み出された可能性もある。
けれど。
番人が告げたことのためだけに生み出されたと言うのは、御免蒙りたいところね。
「殺し合い」のためだけに生み出されただなんて…。
[親指の爪を噛み、苦虫を噛み潰すように表情を歪める]
[足を留めた男に距離を寄せ]
[胸に当てた手を、その腕を取るように伸ばす]
外に、連れて行ってと言ったなら、叶えては下さいますでしょうか?
[ことり]
[首を傾げて、身を寄せた]
食べて満たされるのならば、それで構いませんのに。
[くれないは音の無い笑みを浮かべるのみ]
そう……そこに論理をつけるのが難しい。
[大きな顎に手を添えて、思案する。]
論理をつけないとすると、彼が非常事態に似つかわしくない
行動をとる類の人種。つまり空気の読めない人ということ。
もしくは、単に殺し合いを傍観者の立場で見ることが
好きな人……これくらいしか思い当たりません。
本当に、頭を患ってそういう言い方しかできないとか。
[首を捻ると、同じ軌道を左眼も描く。]
後者は…記憶のない以上、JOKERを引いたという解釈しか。
別に、集めるのは誰でも良くて。
たまたま、ハズレを引いた我々が集まってしまった。
その中に、偶然のっぴきならない人間がいた…くらいかしら。
[薄桃の描く微かな弧。
そこまでのものか、などと思いは掠めても、口にはせずに]
むしろ、わかってる奴の方が珍しいだろ、この状況。
[分からないことだらけ、という言葉には、ため息と共にこう呟く]
終わりも始まりも、他人が決めるもんじゃないだろう
一番簡単、誰にでも共通した終わりは―― 死
[ネリーの言葉に対してか、男は僅か間を開けて告げた]
[そうして、イザベラの言葉を聞いて、それが一番ありえそうだなと茶化すように言った]
あら、そうかしら。仮に殺人鬼が男性だったとしましょう。
我々のうち、5人が女性です。腕力ではとてもとても。
[第一に、ということを表すように人差し指を立てる。
そして、今度は中指を立てて。]
さらに、クインジーさんとギルバートさん。
貴方たちには、死角が存在するのではないかしら?
虚を突けば、女性でも殺せるのではないでしょうか。
[薬指を立てて。]
どうやら、手負いの方や半病人の方もいらっしゃいます。
つまり、健康な男性と比べるとハンディキャップがありますね。
……もしかして、殺しやすい人を集めたのでしょうか。
ともあれ、ここで額を突き合わせていても、何も解決はしませんよ。
我々の知らないことが多過ぎるのですから。
もう少し後で考えても……遅くは無い。
[男は片手でソファのアームを掴み、慎重に立ち上がろうとして少し蹌踉いた。]
死角が無いわけはないだろう
この目は使い物にならない
だがそう簡単に、殺されてやるつもりもないがな
[男はイザベラの言葉に、振り返り口元をゆがめ笑う]
生か死かならば、己は生を選ぶ
殺さねば生きられないなら殺すまでだ
――尤も、今はそんな状況にないだろうが
論拠はありません。
ただの勘、ですね。
しかし、我々が記憶を喪ったのは、「忘れたい何か」があった所為ではないかと思うのですよ。
それ故に、この世界に選ばれたのだ、とも。
ナサニエルさん…ですね。
物覚えが悪いので、メモを取らせてください。
[そう言って、メモにペンを走らせる。]
単に暇つぶしに考えているだけです。
そこまで豊富に娯楽があるわけではないですから。
[クインジーの言葉には目を細めて。]
それは結構なことです。
[距離を詰める姿に笑い声を収め、腕に絡む白い手を黙って眺める。キャロルの唇が囀る音の意味が酒精で霞む頭では判断できず、胡乱な目で傾く首と流れる豊かな金の髪を見た]
外に行きたきゃ勝手に出ればいいだろ。
それとも…閉じ込められでもしたのか?
[寄せられる体は柔らかく冷えた体には熱いほど]
アンタほどの上玉ならいくらでも尻尾振る男はいるぜ。
…さーて甘い話にゃどんな裏があるのかねえ。
手負い……ね。
ま、否定はせんが。
[イザベラの言葉に、自身の左腕に視線を落とす。
包帯に滲む紅は、未だ色彩を違える様相はない。
それが痛みを与えているか否かは、外見からは推し量れはしないが]
……だからと言って、唯々諾々と殺されるほど、軟なつもりはないんだがね。
結局のところはっきりとした回答は無し。
全てあくまで仮定。
仮定ばかりを並べ立てても真実には届かない。
…考えるのが面倒になってきたわ。
[イザベラが並べ立てる番人や自分達についての仮定。全てを並べ立てても答えには遠く届かないような気がして、小さく溜息が漏れた]
悪いけど、私はこの目で見たものしか信じないわ。
だから今齎された話も全て、「仮定」でしかあり得ない。
「事実」に繋がる何かを手に入れるまでは、あの話も許容出来ないわね。
[宣言するかのように言葉を紡いだ。燭台に立てられた蝋燭の炎が人の動きに合わせゆらりと揺れる。その陰影のためか、少女の紅紫の瞳が暗く滅紫へ転じた]
そうですね。
一番ご存知であろう方は答えて下さいませんし。
[言いながら翠を向けるが、やはり番人は何の反応も示さず]
死で終わるのは…。
終わりたくはありません。
[扉へと向かう人には数拍遅れてからそう声を投げて]
ふむ……実に興味深いご指摘ですね。
[ナサニエルの意見を、メモにとる。]
「忘れたい何か」があるから、選ばれた。
なるほど、それは興味深い考察ですね。
もしかしたら、実際忘れているかもしれないわけです。
[首を捻りながら、メモを眺める。]
お前もそう死に急がないことだ
[イザベラに言いながら、丁度目に入ったナサニエルへと言葉を投げる]
倒れていたんだから、休んでいたらどうだ
今すぐに何か起きることもないだろう
そこのお前も
[向かう視線はハーヴェイへ]
血の臭いをいつまでもさせているな
もし万が一、人狼が居るとして――お前は良い餌になるんじゃないか
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