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[ひとしきり泣いて呟いて。
ゆっくりと部屋を出ると流し場で顔を洗う。
目に入った刺激はまだ視界を頼りないものにさせていたけれど]
なんとか、みえる。
[顔を拭き、眼鏡を掛け直して。
ホゥと息をつくと、ペタリペタリと歩き始める]
[桜花とマイコの交わす言葉を、戸惑いながら聞いていたものの。
不意に、視線を向けられ、問いを投げられれば、一つ、瞬く]
……それを聞いて……どうするの?
[今の問答からしても、答えが得られるとは思えないが。
静かに、静かに、こう問いかけて]
[扉を閉ざすと、廊下には殆ど明かりが絶えた。
教員室の壁には、月ごとに故事成句を書いたカレンダーが吊るしてあったが、どの月を見たとして嘘も方便とは書いていないだろうと思った。]
……マッチに、ライターって。
[マイコと桜花の会話に、思わずぽつりと呟いた。
生きてる樹だから、そう簡単には燃えないだろうが問題は其処じゃない。
笑みを浮かべて紡ぐ言葉にしては、余りにも物騒すぎる。
前に会った時は、そんな印象は無かったのだが──、
と、マイコから向けられる問いに僅か眉を顰めた。
知ってはいる、とは言得るのだろう、…が。
両者の会話に、緩く視線を向けて]
―――…、
[ショウのいる位置から、フユの顔は見えない。
言葉が投げられて、扉の閉まる音がした。
手から滑り落ちた懐中電灯の蓋が外れて、電池が転がった]
……敵討ち?
[思いつくものなど、それしかなかった。
頑なに拒んでいた事実を受け入れ、そして、それを成したものを探している、という状況は、他の予測を入れる余地もなく]
けっこう重要だと思いますよー
これでもいいですけど、さすがになんていうかー
[と、アズマに向かってはバトンを横に振ってみせて]
ざんねーん。ちょっと違いますよ
[マコトの答えに笑った。]
で、何か知ってるんですか?
……違う?
[マイコの言葉にやや、首を傾げ。
続いた問いに、答えるかどうか、思い悩んでいた矢先]
……ウミ?
[呟きを、感覚が捉えて]
追いかけるって……一人じゃ、危険だ!
[追おうとしているものが何か、『感じて』いるから。
後を追うように、自分も走り出そうと]
…──重要、って。
[笑いながら、でもあくまで冗談の言葉ではないのだと
マイコの言葉と振られるバトンに、眉を寄せた。
と、続く言葉に緩く目を瞬いた。]
……ちょっと違うって事は
多少は、的を射てるんだ?
…あ。
ゴメンな、リュウ。
[円い眼をますます丸くする仔犬に謝ると、
しゃがみ込み、電池を拾って入れ直し、蓋をした]
―――行こう。
[点けたままの電気を消しもせず、逆側の扉に向かう]
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