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─ 翌朝/個室I ─
[結局、湯を使った後は広間に戻る事はせずに個室に戻っていた。
とはいえ、すぐに眠る事もできず。
夜半近くまで続いて流れたオルゴールのメロディに、気づいた者はどれだけいたか。
やがて訪れた目覚めは、酷く気だるいもので]
ん……なん、だよ。
[聞こえてきた悲鳴に、数度、瞬いて。
それでも、動かぬ訳には、とゆっくり起き出し、階下へと向かった]
― 朝/集会場外 ―
そうですね。
わかりました。着替えてきます。
[ゼルギウスに促されて、ユーディットの遺体から体を離し立ち上がったところに掛けられた、着替えて来いというエーリッヒ>>80の言葉に、一度は「大丈夫です」と返しかけたが。
ユーディットもつらいだろう、という言葉が続けば、目を伏せて頷いた。
いつも貴族様とか呼んでいた彼が、自分を名前で呼んでいた事には、この時点では気付く余裕が無かった]
……伯父上。
[クレメンスが駆けつけてきたのは、部屋に戻ろうとする前だろうか。
大丈夫か、という問いかけ>>83には小さく頭を振って]
大丈夫でいないと、いけないんです。
ボクは、ユーちゃんの仇をとらなきゃいけない。役目を果たさなきゃいけない。だから……
[父に雰囲気の似ている伯父に、泣きつきたいと思う弱い部分を押し殺して。
そう言って、自分より背の高いクレメンスを見上げた]
─ 翌朝/集会場 外 ─
[外に出たなら、感じ取るのは外気の冷たさと、昨日から立て続けに感じている臭い。
天鵞絨が、僅かに細められた]
……誰、が?
[何があった、とは聞かない。聞く必要性を感じない。
だから、その場にいたゼルギウス>>65に向けたのは、短い問いかけ。
落ち着いた様子と問いかけは、ユーディットを蒼花の主、と捉える彼には異様なものと取れるだろうか。
伝承において、対なる二花は、一方の消滅に衝撃を受けるもの、とされている事が多いから]
― → 集会場外 ―
[着替え終えれば、再び外へ出て行く。埋葬が終わる前に、もう一度ユーディットの顔を見る事はできるだろうか?
外に出て行った時の服装は、肩の大きく開いたドレスの上にコートを羽織ったもの。
昨日まで隠していた右胸の蒼花が見える服装にしておいた。
例によって背中は締めれなかったが、まあそこはとりあえずコートで隠しておいて、後で誰か女性に頼んで締めてもらおうと]
─ 集会場 外 ─
[問いかけへの答えを得て、亡骸の方を見て、悼むように目を伏せる。
足元についてくる茶猫は、落ち着きないまま。
不安げな様子は、他者にも容易に気取れるか]
ん……姉さん?
[伏した天鵞絨は、姉の呼びかけ>>95にそちらを向いて]
……そう、か。
既に名乗り上げる危険がどうの、と言っている場合でもなし。
姉さんは、姉さんの思うように。
[ここで秘匿する事に意義は感じない。
だから、静かにこう返した]
─ 集会場 外 ─
……それも、仕方ない。
[あの状況じゃ、と姉の言葉>>99に苦笑を滲ませて。
姉の視線が足元に落ちると、自分も茶猫に天鵞絨を向けた]
ん、ああ。
なんだか、落ち着いてないんだ。
[朱花が花弁を開いてから、茶猫はどこか落ち着きない。
その理由は知る術もなく、撫でられた猫を両手で抱え上げた。
埋葬の方は、手が足りているようなら、手出しはしない。
できる体力がない、とは、気づける者は気づいているだろうが]
[平時であれば「寒くないか?」 とか、「胸ないのは知ってるから無理しなくていいんだぞ」とかそんな残念な言葉が飛び出そう。でも今は別の言葉が変わって出る]
そうだな、見送りの時は綺麗な姿で見送られたいな。
[別れの言葉をかけるものは、他にもいるだろうか。雪をかける前に、自分も祈った]
ユーリー。実は、お前さんがとっても羨ましかったんだ。
[そばに居て、主従の尊敬だとか、同性同士のコミュニケーションとかと思っていたけれど現実はかなり違ったが。素直に敬意や好意を表現できる彼のことが、ずっと]
でも、多分今はお前さんがとってもこっちをうらやんでると思う。だから。
お前さんが、これからできないことを、俺はやるよ。だから、安らかに。
[雪をかけて、埋める。ユーリーの姿はやがて見えなくなった]
[そして、集会場へ戻る。これからのことを話し合う必要があるだろう**]
→集会場
―昨日―
[一度エーリッヒに引っ張り上げられた時には素直に立ち上がった>>37けれど、手が離れるなりまたすぐに座り込む。
泣き続けるうち話し声がして、別の誰かの手が頭に触れ>>47。
見上げても後から溢れる水が邪魔をして、声で漸くクレメンスだと理解したくらいで。
だから他に誰がいたのか、ベアトリーチェにはあまり分からなかった]
……っ、く……ぅ……
[そうして外から連れられ、広間へ入る頃には流石に疲れていたか。大声を張り上げる程の力はなく、しゃくり上げるくらいのもので]
……!
[ただ一度、ゼルギウスがその呼び名>>61を口にした時、疲れてぼんやりし始めていた表情が大きく歪んだ。
もう声を上げることこそなかったものの、また零れ出した涙を抑えようとしてか、近くのテーブルに突っ伏して。
折角用意された飲み物を口にする機会はないまま、泣き続け、そしていつしか眠りに落ちていた]
[部屋で眠り続けた。姿形は変わらないまま。
同胞のこえが届いた頃には、浅いところにあった意識は一度浮上した]
…… ダミー?
あの、ねーちゃんじゃなかったの?
[ぼんやりとした意識でそれだけ返した。
既に月の加護も弱い時間帯。狼として未だ未熟な少女は、月が無ければ変化できない。
疲れで身体が重かったこともあり、聞かされた遺体の場所に行くことはないまま、再びの眠りに落ちて―――]
[返された苦笑>>104には、ただ、軽く肩を竦めるに止め。
手伝いが邪魔になりそうな予感があったから、埋葬は結局他者任せとなるか。
埋葬の後、胸元から引き出した銀細工の十字架を手に、弔いの祈りを紡ぐ。
そんな様子は、修道士としての常の様子と変わる事はなく。
祈りを捧げ終えると小さく息を吐き、集会場へと戻って行く]
─ 翌朝/→台所 ─
[井戸から水を汲んで湯を沸かして。
ティーポットやティーカップも温めて持っていく用意をする。
ポットに入れるお湯を沸かし直している時は手持ち無沙汰になり、自然と今後どうするかが頭を過ぎった]
誰かヤんねぇと…。
でも誰がそうなのかは分かんねぇ。
いっそ片っぱし──────っ、く、っそ……。
そうじゃねぇ、誰でも良いわけじゃねぇんだ…!
[気を緩めるとまた昏いものが意識を取り囲んでくる。
今はまだ軽いものだから抑えは効くが、この状態が長く続けばどうなるか分からない]
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